世界的に大人気なだけでなく、盲導犬としてもおなじみのラブラドールレトリーバー。この犬は「レトリーブ(retrive);回収する、取り戻す」という言葉からもわかるように、狩猟犬として活躍してきました。何かを取ってきたりする運動を好むほか、被毛に撥水性があるため、水中での運動や泳ぎも得意です。性格は社交的で、飼い主を喜ばせることや学習することが大好きなため、ドッグスポーツでも優秀な成績を収めます。

 

ラブラドールレトリーバーのパラメーター

ラブラドールレトリバーの飼いやすさ

お留守番耐性 ★★★☆☆
しつけやすさ ★★★★★
必要な運動量 ★★★★★
抜け毛の多さ ★★★☆☆
必要なブラッシング量 ★☆☆☆☆

ラブラドールレトリバーの性格

人への人なつっこさ ★★★★☆
他の犬への友好度 ★★★☆☆ 

公式データ

JKC分類

8G  7グループ以外の鳥猟犬

AKC分類

スポーティング・グループ

原産国

カナダ

体高

オス57-62cm メス54-59cm

体重

オス29-36kg メス25-32kg

 

ラブラドールレトリーバーの性格

明るく友好的な性格で社交性があり、飼い主の言うことをよく聞きます。活発なので、走ったり、泳いだりする運動が大好きです。理解力があり、俊敏で、柔順で、飼い主を喜ばせることを非常に好みます。

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その一方でやんちゃな面もあり、人や他の犬にじゃれようとして飛びかかってしまうこともあります。注意すべき点としては、全般的におとなしい性格ですが、個体差があるのでしつける際にはその犬の性格を見極めてしつける必要があります。言うことを聞くようになるまで、根気強くしつけましょう。

 

ラブラドール・レトリーバーの歴史とルーツ

もともとは16世紀のカナダ、ニューファンドランド諸島を起源に持つ、水中回収犬でした。大型で短い毛に覆われたラブラドールレトリーバーは獲物を回収するだけにとどまらず、魚網を引いたり、網からこぼれ落ちたニシンやタラを水の中に入って取ってきたりするなど、泳ぐことが得意な犬種として漁師から重宝されていました。

 

その後、19世紀初頭にイギリスに持ち込まれ、撃ち落としたアヒルやガチョウの回収を生業とする犬に改良されて猟師の相棒となり、現在の作業犬の基礎となりました。

 

現在では、盲導犬、聴導犬、介助犬、災害救助犬、麻薬探知犬など多様な仕事を任されています。関連記事「さまざまな場面で活躍する「使役犬」。どんな仕事をするの? その歴史とは?」もご覧ください。

 

 

ラブラドールレトリーバーを飼うときに気をつけたいこと

ラブラドールレトリーバーは、活発な性格のため、室内にあるものすべてに興味を示すので、床には物を置かずに、扉付きの収納スペースにしっかりとしまいましょう。また、においをかいで食べられると判断した時にはゴミでも食べてしまう可能性があるので、においを発するものの管理には注意が必要です。関連記事「拾い食いをさせないためのトレーニング」もご覧ください。

 

耐寒性には優れていますが、耐暑性は弱いので室内で飼育をする場合は、夏場の温度管理はクーラーで一定の温度を保ちましょう。外飼いも可能ですが、家族と触れ合う機会の多い室内飼育のほうがお勧めです。室温に関しては「暑すぎ?寒すぎ?犬のサインから読み解く最適な室温」もご一読ください。

 

幼少期は限られたスペースでも飼育はできますが、成長するとある程度のスペースがないと窮屈で、ストレスを感じてしまうことがあるので、マンションよりも一戸建てのほうが向いています。床がフローリングだと傷がつき、痛みやすいので絨毯などを一枚敷くと傷がつくのを防げます。

 

 

小さいお子さんがいても、仲良くできる性格を持っているので安心です。かわいいからと言って、幼少期に甘やかしすぎてしまうと、家族内での序列で自分自身が上位にいると勘違いし、飼い主を手玉に取って反抗する機会が増えるので、幼少期のしつけはしっかりしましょう。また、この時期に吠え癖を直さなければ、成長した後も吠え続けることがあります。

 

★「しつけ」に関する獣医師解説記事は、こちらをご覧ください。

 

 

ラブラドールレトリーバーの成長

ラブラドールレトリーバーは大型犬ですが、生後1カ月時点で体重が約700gしかありません。

 

生後2カ月~3か月の幼年期では、生後1カ月の時点の10倍以上の体重6kg~10kgに増えて、28本ある乳歯もすべて生え揃います。歯の生え変わりについては「犬の歯の生えかわり時期って?気をつけることはあるの?」をご覧ください。

 

 

生後3カ月~6カ月の少年期では体重が10kg~20kgになり、体の基礎が作られるので予防接種もこの時期に行います。家族との上下関係も自覚し始めるのでしつけは愛情深く行いましょう。1歳頃には、体格の基礎が出来上がりますが、体の大きさは子犬の時期の可愛さを残しています。2歳に差し掛かかるころには、子犬の面影を残しつつも徐々に体全体が大きくなり、引く力やじゃれあう時の力も大きくなります。3歳には体の骨格も出来上がり、大人の大型犬としての仲間入りを果たします。

*関連記事☞「室内での骨折に要注意!あなたの愛犬は大丈夫?【獣医師が解説】

 

ラブラドールレトリーバーとお散歩

活発な性格の犬種なので、しっかりとした運動が必要です。できれば、一日に、30分の散歩を二回行えるとベストです。散歩中は様々なことに興味を示し、いろいろな物の臭いをかぎにあちらこちらに行きたがります。このときに、力強く前後左右に引っ張るのでリードはしっかりと手に巻きつけて離さないように持ちましょう。リードは、丈夫な素材であるナイロン製をお勧めします。ナイロン製以外のリードだと散歩中に切れてしまうこともあります。

 

★「お散歩」に関する専門家監修記事は、こちらをご覧ください。

 

 

近くにドッグランなどがあれば積極的に活用して運動させましょう。食欲旺盛でもあるため、散歩を怠ると肥満になってしまい、糖尿病股関節や脚部の形成不全を発症する可能性もあるので、運動させることが大切です。

ラブラドールレトリーバーの毛のお手入れ

毛が短く、密集しているラブラドールレトリーバーは手入れが簡単で、トリミングの必要はほとんどありません。抜け毛が多い「換毛期」は週に1回のペースでブラッシングを行いましょう。この時期のブラッシングが少ないと、抜け毛がベタッとした塊になってしまい水はけが悪くなるだけでなく、皮膚炎につながります。

 

スリッカーブラシを使い、下毛を漉いて取り除きます。特に寒冷期になると、ラブラドールレトリーバーの毛も二重になるので、ブラッシングでは対応できなくなります。その時はアンダーコートナイフを入れてとかします。特に、尻や太股、尻尾の毛は念入りにくしを入れることをお勧めします。

シャンプーは1カ月~2カ月に一回を目安に行いましょう。シャンプーをしすぎると、シャンプーの成分が被毛をコーティングする脂まで洗い流してしまい、かさついた被毛になってしまうだけでなく、皮膚の脂分も洗い流されてひび割れや皮膚炎の原因にもなります。

 

★「トリミング」に関する獣医師監修記事は、こちらをご覧ください。

 

ラブラドール・レトリーバーの毛の色

毛色は、全体に真っ黒なブラック、チョコレート(レバー)、イエローの大きく3つに分けられます。ブラック、あるいはチョコレート(レバー)の場合、胸に入る白い班は許容されています。

ブラックの個体は、俗に黒ラブ(黒ラブラドール)、チョコレート(レバー)の個体は、俗にチョコラブと呼ばれています。

ラブラドールレトリーバーのからだつき

体格の特長として、上から見たときの頭の形は幅広く、胸と助骨は幅広く深いことや、腰および後脚は幅広であることが挙げられます。体格バランスとしては、肩から基尾部までの長さと、体高がほぼ同じ長さです。骨太でしっかりとした肉付きの良い体をしています。パワフルに泳いだり、走ったりするために四肢はとても力強いつくりをしています。オスの体高は57cm-62cm、体重は29kg-36kg。メスの体高は54cm-59cm、体重は25kg-32kgです。

 

ラブラドールレトリーバーの気をつけたい病気

 

ラブラドールレトリーバーは遺伝性疾患が多い犬種です。特に、代表的な遺伝性の病気は股関節形成不全です。股関節の異常により、片脚を引きずったり、腰を振りながら歩いたり、正しいお座りが出来ずに横座りをする症状が見られます。体重が増加し、動きが活発化する生後6カ月~1歳頃のラブラドールレトリーバーで気づくことが多いです。

 

★犬種別病気ガイド『レトリーバー』も、ぜひご覧ください。

 

★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、犬種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べることができる『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。  

☞『うちの子おうちの医療事典』で本記事に関連する病気を調べる
 

股関節形成不全

胃拡張胃捻転症候群

外耳炎

腫瘍

アレルギー性皮膚炎

 
 

★「子犬期」に関するワンペディア専門家監修記事は、こちらをご覧ください。

アイペット獣医師

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