成犬よりも抵抗力がない子犬は、環境の変化にとても敏感。最初はたいしたことはないと思っていても、急に悪くなることもあります。子犬の小さな異変を見つけるためには、日々、丁寧に健康状態をチェックしなければなりません。ここでは、子犬の不調をできるだけ早く見つけるためのポイントについて詳しく解説します。

成犬と子犬はどんなポイントが違うの?

一般的に生後1年までを子犬と呼びますが、大型犬・超大型犬種は1歳または2歳を超えても成長を続ける場合もあります。人間の子どもと同様に、子犬は成犬に比べ、免疫力も体力もありません。そのため病気にかかりやすく、飼い主さんの丁寧な健康管理とチェックが大切です。

子犬と成犬の違い

体:脳や感覚器官、内臓器官、骨格、筋肉などが未発達

免疫力:弱い

歯:6ヵ月齢くらいまで乳歯

性格:好奇心旺盛で活発(際限なく遊んでしまう)

食事:成犬よりも多くのエネルギー、たんぱく質、脂質などが必要

日常的に確認した方が良い項目とは?

食事量と体重

子犬は成長のために、成犬よりずっと多くのエネルギーが必要ですが、消化器官が未発達であるため、一度にたくさんの量を食べると嘔吐下痢の原因に。そのため成犬は1日に1~2回の給与数でかまいませんが、子犬では3~4回に分けて与える必要があります。もし1食でも食べないことがあれば注意が必要です。

また、食欲不振で体重が増えない場合はより重篤な病気のサインかもしれません。子犬は生後2ヵ月までは生まれてから10~15倍ほども体重が増加し、その後成長率は緩やかになるとはいえ、2ヵ月齢から成犬になるまで2~5倍は体重が増えます。順調な体重増加は子犬の健康のバロメーター。定期的に体重を計測・記録し、なかなか増えない場合は獣医師に相談しましょう。

 

【観察ポイント】

□ 食欲がない、食べない

□ 体重が順調に増えていない

□ 食べたあと、嘔吐する

□ 食べているとき、鼻から食べ物が出てくる

 

排泄

子犬は消化器官が未発達であり、ちょっとしたことで下痢を起こしたりします。健康なウンチ、おしっこをしているか毎日の観察がとても大切です。

ウンチ

子犬は成犬よりも食事回数が多いため、ウンチの回数も多めです。1日5回する場合もありますので、ウンチの多さにあまり神経質にならなくても大丈夫です。しかし、下痢の場合は脱水を起こしやすいため、早めに動物病院を受診してください。反対に、3日以上していなければ便秘と考え、この場合も獣医師に相談してください。

 

<子犬の健康なウンチの特徴>

授乳期のウンチ:歯磨き粉程度の柔らかさ。色は黄色~薄茶色。

離乳期のウンチ:油絵具程度の柔らかさ。色は黄土色・薄茶色~茶色。

離乳後のウンチ:成犬のような硬めのウンチ。臭いもきつくなる。

 

【観察ポイント】

□ 3日以上ウンチをしていない

□ 離乳後なのにウンチが柔らかい(下痢と判断)

□ (授乳中だとしても)水っぽいウンチをしている

□ 血が混じっている(色に赤味がある)

□ 表面にヌルヌルした粘液がついている

おしっこ

子犬は、膀胱が小さいため、成犬よりも1日におしっこをする回数がずっと多く、1日に5~6回します。中には3〜4時間に1回おしっこをする子もいます。つまりおしっこの回数が少なければ、水分が足りていないのかもしれません。また、回数が多いからといって1時間に何度もおしっこをするようであれば獣医師に相談してください。

<健康な子犬のおしっこの特徴>

離乳前のおしっこ:色も薄く、臭いもほとんどない。

離乳後のおしっこ:黄色味が強くなり、臭いもきつくなる。

 

【観察ポイント】

□ 1時間に何度もおしっこをする

□ 半日に1回程度しかおしっこをしない

□ 色が濃すぎる、薄すぎる

□ 赤味がある、茶色味がある

□ 離乳したのに、おしっこの臭いがほとんどない

 

呼吸

子犬の呼吸数は1分間でおよそ15~40回程度です。ときに遊びすぎたり、散歩や気温が高い時期に呼吸が荒くなることがありますが、じっとしているのに、いつも口でハアハア息をしていたり、遊んでいてもすぐに休みたがったりする場合は、循環器や呼吸器に問題がある可能性があります。なるべく早めに動物病院を受診してください。とくに短頭種は呼吸器に異常が起こることが多く注意が必要です。

 

【観察ポイント】

□ 呼吸数が1分間に45回以上

□ 呼吸するとき、胸やお腹が大きく上下している

□ ちょっと遊んだだけで、口でハアハア息をし始める

□ 遊びたがらない、遊んでもすぐ休む

 

睡眠時間と活動時間

子犬の時期はよく眠るため、1日の睡眠時間は合計すると18時間~20時間もあります。しかし、図①のように起きているときは驚くくらい活発で、よく遊び、よく駆け回ります。もし、子犬が食事や遊びにも興味を示さず、ずっと寝ていて活動量が低下しているようであれば、病気かケガをしている可能性があります。その際は発熱や下痢といった他の症状がないかを確認し、動物病院を受診しましょう。

 

【観察ポイント】

□ 元気がない

□ おもちゃや遊びに興味を示さない

□ 遊んでもすぐ疲れて寝てしまう

□ 眠ってばかりいる

 

図①:子犬の1日の活動グラフ

※データ出典:日本動物高度医療センター JARMeC

 

定期的に確認すべき体の状態

毎日は必要ありませんが、耳や目など、体の状態を週に1回など定期的に確認しましょう。子犬の体は小さくて気づきにくいこともあるため、丁寧に観察することが大切です。

 

【観察ポイント】

□ 目:目ヤニや充血はないか、目を痒がっていないか、瞬膜が出っぱなしになっていないか

□ 耳:耳垢が多くないか、耳垢がネバネバしていないか、悪臭がしていないか

□ 鼻:鼻水が大量に出ていないか、鼻の表面が乾いてないか

□ 口:口臭が強くないか、舌や唇の色が白っぽくないか。歯がちゃんと生えているか

□ 皮膚・被毛:フケが出ていないか、痒がっていないか、脱毛はないか

 

子犬のワクチン接種と健康診断について

犬のワクチンは、法律で義務付けられている狂犬病予防ワクチンと、そのほかジステンバーウィルスなどの感染症予防のための、任意で行うワクチンです。狂犬病予防ワクチンは、生後3ヵ月で接種し、その後年1回の接種が義務付けられています。そのほかのワクチンは、移行抗体が切れる2ヵ月齢くらいに初回ワクチンを打ち始めます。

 

また、一般的に母親からの抗体が消失する時期は個体差があるため、複数回、時間をあけて打つことが推奨されています。子犬を感染症から守るためにもワクチン接種は必要であり、接種前には必ず健康診断があるので、この機会を活用して、日常気になっていることを獣医師に相談してみるのも良いでしょう。

 

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竹原獣医科医院 院長

竹原秀行

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