犬の耳の病気といえば、代表格は外耳炎。実際に、ペット保険の請求でも犬の総合傷病ランキング(*)で2位にあがる病気です。湿気が強い日本では犬とは切っても切れない病気と言えるかもしれません。外耳炎は原因も症状もさまざま。それぞれを具体的に解説します。

*データ出典:アイペット損害保険会社「ペットの傷病ランキング2018」

外耳炎になるとどうなるの?かかりやすい犬種は?

外耳炎の症状

外耳炎とは耳の穴に炎症が起きる疾患です。症状はさまざまですが、最も代表的なものは痒みです。前足で耳を掻く、耳を床にこすりつける、頭をブンブン振るなどして痒がる様子をしていれば、外耳炎を疑いましょう。ほかにも、耳が赤く腫れている、耳から異臭がする、いつもより耳垢が多いといった症状が現れることもあります。どういう症状が出るかは、外耳炎の原因や生活環境の違いにより異なるので、獣医師の診断を仰ぎましょう。

外耳炎になりやすい犬種

ダックスフンドやビーグル、レトリバーなどの耳が垂れている犬種は、テリアやスピッツなど耳が立っている犬種に比べて、外耳炎になりやすいと言われています。垂れ耳の犬は、耳自体が耳の蓋をしてしまうことで、内部が蒸され菌が繁殖しやすい状態になるからです。耳の形状とは別に、アトピーになりやすい犬種も外耳炎によくかかると言えます。シーズー、柴、プードルなどは、梅雨から夏場の空気がジメジメする季節は特に注意をしましょう。

外耳炎の原因は年齢や飼育環境で異なる

<原因①>マラセチア

外耳炎の原因の一つがマラセチア性皮膚炎です。マラセチアとは皮膚に常在する真菌で、ふだんはほかの菌と共生しているので体への悪影響はありませんが、体調を崩すと悪さをはじめます。激しい痒みが現れるので、ひどく引っ掻くように。犬の耳から酸っぱい匂いがすれば、マラセチア性外耳炎の可能性が高いと考えられます。
*詳しくは『【獣医師監修】犬の耳にカビが生えることがあるの?マラセチアの症状、原因、治療法とは?』をご覧ください。

<原因②>アトピー

アトピーが原因で外耳炎になることもあります。犬のアトピーはほとんどが3歳頃までに発症するので、3歳以下の場合はアトピーの可能性も。3歳以上の場合は、アトピー以外に原因がある可能性が高いと言えます。アトピーなら肌を見れば分かるのでは?と思うかもしれませんが、肌に症状が現れていないのに、外耳にだけ現れることもあります。アトピー性外耳炎は治療が長引くこともあるので、根気よく続けましょう。

<原因③>ホルモン異常や腫瘍

今まで外耳炎になったことがない犬が、高齢になってはじめて外耳炎を患ったとなると、甲状腺の問題や副腎ホルモンのバランスが乱れている可能性があります。ホルモンというとメス犬を想像する人も少なくないかもしれませんが、オス犬・メス犬に差はありません。高齢の場合はホルモン以外にも、内耳や脳、神経系に腫瘍ができることもあり、それが原因で外耳炎を引き起こす恐れもあります。高齢ならではの不調ということもあるので、これまで健康だった犬でも一定の年齢を超えれば定期検査を受けた方が安心です。

外耳炎は治療が長引くこともあるので、予防が大事!

外耳炎の治療法

外耳炎のタイプにより治療方法が異なるので、まずは動物病院で検査を行いましょう。耳の中に耳鏡(じきょう)と呼ばれる小さな鏡を入れて、耳垢をチェックします。単発の外耳炎なら点耳薬での治療ですみますが、アトピー性の場合は長期間投薬が必要になることも。痒みがひどい場合はステロイド薬を使用することもあります。外耳炎は再発しやすいうえ、放置しておくと中耳炎や内耳炎にもつながりかねないので、早めに治療を開始することが大事です。

外耳炎の予防法

耳を清潔に保つために耳掃除は必要ですが、やり過ぎるとかえって傷をつけて、そこから外耳炎などの耳トラブルを引き起こすことがあります。よく間違われることですが、外耳炎は不調のシグナルであって、耳が汚れているから発症するわけではないので耳掃除はほどほどに。特に綿棒を使うことはやめましょう。
また垂れ耳の犬は、耳の中が見えづらく異常に気づくことが遅れることがあります。ふだんから耳をめくって中の様子を観察してあげてください。

 

外耳炎は急性から慢性まで、多くの犬がかかる病気です。ここにあげたもの以外にも、細菌性や分泌腺、異物などが原因で発症することがあります。悪化すると最悪の場合、難聴につながる恐れもあるので、早めに処置を行いましょう。

アニーマどうぶつ病院 院長

村谷 親男

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