「つい最近まで家のチャイムが鳴るとすぐに吠えていたのに、めっきり反応しなくなった…」。それは犬の耳が遠くなったのかもしれません。犬の聴覚はもともと人間よりも優れていると言われていますが、年とともに鈍くなっていきます。また「実は老化ではなく先天性難聴だった」というケースも。犬の聴覚について詳しく解説していきます。

犬の聴覚障害とは?

犬の嗅覚が人間よりも優れていることはよく知られていますが、聴覚にも同じことが言えます。どれくらい聞こえるのか、ということは詳しく判明していませんが、一説では、人間にとって高すぎて拾えないよう超音波のような音も拾えると言われています。そんな犬にも難聴という障害はあります。犬の難聴は大きく分けて2つ。生まれながらにして耳が悪い「先天性難聴」とのちに聴力が低下する「後天性難聴」です。

聴覚が徐々に落ちるのは後天性難聴

愛犬の聴力が低下しているかどうかはどうすれば分かるのでしょうか。名前を呼んでも反応がない、周囲で音がしていてもピクリとも耳を動かさない、チャイム音がしても以前のような反応がない、という場合は聴力の低下が考えられます。

後天的難聴の特徴とは

聴力の低下でまずあげられる原因は老化です。ほかの生き物と同じく、犬もまた老化により五感が鈍くなります。聴力に影響が現れる年齢には犬種や個体差がありますが、以前と同じ状況でも耳を動かさなくなったなら聴力低下の可能性を考えていいでしょう。老化以外にも、病気や遺伝で聴力障害が起きることもあります。

事故や病気で難聴になることも

若い犬も事故による怪我や病気で難聴を引き起こすことがあります。以前は反応していた音に反応しなくなったと感じる場合は、老化はまだ先という年齢でも一度検査を受けてみましょう。大きな事故をしたわけではないのに聴覚に影響が出ているようなら、耳や脳に腫瘍ができている恐れもあります。いずれにせよ、以前と様子が変わったと感じることがあれば、早めに受診しましょう。

生まれつき難聴が多い犬種

ダルメシアンは生まれた時から耳が聞こえづらい、いわゆる先天性難聴が多い犬種だと言われています。これはこの犬種特有の遺伝的疾患です。
後天的難聴になりやすいと言われているのは、シェパード、テリア、ボーダー・コリーなどです。呼んでも振り向かなくなる、あるいは、頭が左右どちらかに傾いているなどという場合は、難聴の症状が現れはじめているのかもしれません。

難聴の犬がいる場合、生活面で気をつけることは?

耳が聞こえない、または聞こえづらくなると、人の気配に疎くなります。そのため背後から無音で近づいたり、近くで急に大声を出したりするとビックリさせてしまうので要注意。近づく時は名前を呼んだり、声をかけながら近づいたり、視線を合わせながら近づいたりして、聴覚を補うようにしてあげるといいでしょう。ハンドジェスチャーなどでうまくコミュニケーションをとるのもおすすめです。

病院で聴力低下を確認する方法

病院ではまず耳鏡(じきょう)を使って耳の中や鼓膜を視診します。そして耳の横でパンと手を叩き、音にどれくらい反応するかを観察します。老化による聴覚の低下は自然なことなので、特に治療をする必要はありません。しかし、耳に何らかの病気があって難聴を引き起こしている場合は治療の可能性が出てきます。聴力が低下してきたかなと感じる場合は、獣医師の診察を受けましょう。

 

聴覚が鈍ると、生活上に支障が起きることも。愛犬の耳が悪くなったことを飼い主さんが理解し、驚かせないなどの心遣いをしてあげるだけで、これまでと大きく変わらない生活をおくることも可能です。

アニーマどうぶつ病院 院長

村谷 親男

詳細はこちら

関連記事

related article