人間の社会では「言葉」や「表情」を通して意思の疎通を行いますが、犬の社会では「耳の動き」がその役割を担います。耳を倒しているときは恐怖や不安の表れ、耳をピンと立てているときは好奇心の表れなど、耳の動かし方によって気持ちを表現します。感情をより正確に読み取るためには、耳の動きにあわせてどんな表情をしているか観察してみましょう。

犬にとって耳は気持ちを表す大切なツール

犬社会では耳の動きは言葉の代わり

犬はどのように耳を動かしているのでしょうか。犬の耳には5つの筋肉があります。耳をお腹の方向や後方に引く「耳下腺耳介筋(じかせんじかいきん)」、後方や外方に引く「後耳介筋(こうじかいきん)」、外耳を引き上げ後方や前方に引く「背耳介筋(はいじかいきん)」、耳の根元を前方に回旋させる「前耳介筋(ぜんじかいきん)」、外耳を回旋させる「深耳介筋(しんじかいきん)」です。

 

ちなみに人間の耳を動かす筋肉は3つ。犬はそれよりも多い5つの筋肉をうまく使い分けることで、人間にはできない複雑な動きをし、気持ちを表現するのです。

犬同士も耳の動きでコミュニケーション

犬の耳の動きから気持ちを読み取れるのは、飼い主さんに限った話ではありません。犬同士にとっても、お互いの気持ちを知らせあう大切なコミュニケーションツール。散歩中、ほかの犬が近づいてきたら、愛犬の耳はどんな動きをしていますか?耳を倒している、あるいはピンと立てている、などの動きをしているはずです。動きにより犬同士が敵対しているのか、好意を抱いているのか、服従の気持ちを表しているのか、などを知らせあっているのです。

耳の動きから犬の感情を読み取ってみよう!

耳をピンと立てているのは好奇心や警戒心

耳をピンと立てているときは、何かに興味を示しているときや、好奇心を抱いているときです。耳を立てながら、穏やかな顔や嬉しい顔をしているときは、「オヤツがもらえる」など、何か良いことを期待していると考えられます。反対にしかめっ面をしているときは、良くないことが起きると警戒しているのでしょう。犬は好奇心も警戒心も強い動物。耳はその両方を表す大事な器官なのです。

耳を後ろに倒しているときは恐怖や服従

犬が耳を後方にぐっと倒しているときは、恐怖や不安を感じているときです。このとき、耳を倒しながら歯をむき出しにしていると敵対心の表れ、怯えたような表情をしていると「降参」の合図と受け止めていいでしょう。
しかし、これとは全く逆のこともあります。それは、穏やかな顔で飼い主さんを見つめながら耳を倒しているとき。この場合は、これから頭を撫でられるのを分かっている、あるいはそれを期待して、撫でられやすいようにしているのです。このように同じ耳の動きでも全く違う感情をもっていることがあるので、犬の表情をよく見ることが大事です。

耳を横に倒しているときは不満

耳を顔の外側に広げるように倒しているときは、不満を抱えているとき。「おもちゃを取り上げられた」、「遊びたいのに遊んでくれない」、「呼んでいるのにかまってくれない」、などの場合に見られる仕草です。
また犬同士が接近したとき、尻尾をピンと立てながら耳を横に倒しているときはケンカが始まるかもしれないので注意しましょう。

 

言葉を話せない犬にとって耳は大事なコミュニケーションツールです。犬との意思疎通がうまくいっていないと感じる飼い主さんは、まず犬の耳の動きを注意してみましょう。犬はコミュニケーションを大切にする動物。自分の気持ちが飼い主さんに通じていることが分かると、その距離はぐっと縮まるはずです。

アニーマどうぶつ病院 院長

村谷 親男

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