あなたの愛犬が好きなことって何ですか?反対に、苦手なことは何でしょう?「犬はお出かけが好きなはずだ。」「撫でられると喜ぶはずだ。」と思い込んでいませんか?犬にも個性がありますので、その子自身の好みを理解することはとても大切です。たとえば、お散歩。中にはキライな子だっているのです。このことをきちんと理解しておくだけでトレーニングにも役立ちますし、より素敵な関係性を作ることもできるはず。ぜひこの機会に一度じっくり考えてみましょう。

愛犬が好きなこと、苦手なことを書き出してみよう

まずは紙とペンを用意してください。箇条書きで愛犬の好きなこと、嫌いなことを挙げていってみましょう。

愛犬が好きなことって・・・?

好きなこととはつまり、愛犬が一番喜ぶことです。愛犬が無我夢中になって楽しめることを、できるだけ詳細に考えてみてください。

食べることが好きな子の場合

食べることが一番好きという子は多いと思いますが、食べ物の中でも特にその子が大好きなものは何でしょう?「おうちでは喜んで食べるボーロなのに、外に出ると見向きもしない。でもチーズを出すと、いつでもどこでも飛んでくる。」こんな風に食べ物の中にも優劣があるはずです。また、食が細くて、食べ物にあまり興味がないという子でも、「これだけは喜んで食べる」というものがあるはずです。このように愛犬の大好物をいくつか把握しておくと、お薬を飲ませる時などに助かりますよね。

お散歩が好きな子の場合

一言でお散歩と言っても、いろんな楽しみ方がありますね。仲良しのワンちゃんに出会えることが何よりも楽しそうとか、公園でボール遊びをするのが一番好きとか、コンクリートの道路を歩く時よりも、山道のようなところを歩く時の方が何だかいきいきしているとか・・・。ドッグランで自由に駆け回るのを喜ぶ子もいれば、道の上の鳩を追いかけるのが大好き、という子もいます。お散歩も好みが大きく分かれます。

おもちゃで遊ぶのが好きな子の場合

ボール、ぬいぐるみ、音が出るもの、ロープなど、おもちゃのもたくさんの種類があるので、ぜひ、お気に入りのおもちゃを見つけてあげてください。遊び方も色々あって、飼い主さんが投げたおもちゃを持ってくるのが好きな子もいれば、ひっぱりっこをすることが好きな子もいるでしょう。隠したおもちゃを探すことが好きな子もいると思います。その子が喜ぶ遊び方を理解してあげるとよいでしょう。

 

ちなみに、おもちゃの中でも、ぜひ好みを見つけていただきたいのが、「知育トイ(知育玩具)」と呼ばれるおもちゃです。中にドライフードやおやつなどを入れられて、転がしたりすることで中身が出てくるというもので、愛犬が自分で一生懸命考えながら遊べるため、頭を刺激することができ、エネルギー発散にもつながります。そして何よりも、飼い主さんが相手をしてあげられない時などにこの知育トイはとっても便利なのです。もしかしたら、「一度与えてみたことがあるけれど、すぐに飽きちゃって、それ以来与えたことがない・・・」という飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、知育トイの種類はどんどん増えています!行動治療の現場でも、数種類の知育トイを使うことがあるのですが、今まで使ったことのない知育トイを与えると、飼い主さんも驚くほど、犬が夢中になることが何度かありました。知育トイで愛犬の問題行動を抑えることもできるので、ぜひお気に入りを見つけてあげてください。知育トイについては『愛犬がスグに大人しくなる!便利なおもちゃとは』も合わせてご覧ください。

 

その他にも、愛犬が好きなことを色々探してみてください。どんな些細なことでもかまいません。撫でられることが好きという子も、特に首のあたりが好きとか、お尻のあたりが好きというように、好みがあるかもしれません。どんな時に愛犬が楽しそうなのか、喜んでいるのか、よく観察してみてください。

愛犬が苦手に思うことって・・・?

反対に、愛犬が苦手なこともきちんと把握しておきましょう。苦手だな、嫌だなと思う時には、以下のようなサインを発しているはずです。

 

□ 逃げようとする、後ろに下がる

□ 固まる

□ 震える

□ 耳を倒す

□ 目をそらす

□ 口をぎゅっと閉じる

□ あくびをする

□ 鼻を舐める

□ パンティング(口を開けてハアハアと息をすること)をする

□ 体を掻く

□ 吠える

□ 唸る

□ 歯を剥き出す

 

これらのサインが見られたら、愛犬は「嫌だな」とストレスを感じている可能性があります。ストレスどころか、恐怖を感じているかもしれません。犬が苦手なことの代表が、足拭きや爪切りなどのお手入れ関係ですね。嫌がるワンちゃんに無理強いさせてはいませんか?大きな音が苦手な子、掃除機が苦手な子も多いです。

触られたり撫でられたりするのがキライな子もいます

また、撫でられることが苦手な子もいます。先ほどは褒めるときの例で撫でることを挙げましたが、首やお尻を触られるのが苦手な子も、実はたくさんいます。頭の上から手を出されることが苦手な子も多いですよね。触られるのが苦手な子にとっては、撫でられることがご褒美になりません。飼い主さんが褒めるために撫でていたとしても、「褒められているのに嫌なことをされている」と、愛犬を混乱させてしまうだけなので注意しましょう。触られるのが苦手な子を褒める時は、飼い主さんの言葉と(可能であれば)大好きなおやつだけで充分です。

お散歩がキライな子もいます

お散歩が嫌いな子もいます。犬だから散歩は好きなはず!と思い込み、なにがなんでも連れて行こうとする飼い主さんをたまに見かけますが、犬にとってはストレスが溜まるだけ。また、ドッグランで他の犬と遊ぶことが大好きな子もいれば、犬が苦手な子もたくさんいます。さらに、いつもと違う場所にお出かけをすることを嫌う子もいます。「たまには愛犬と遠出をして気分転換をしてあげよう」という優しさから犬を連れ出してあげる飼い主さんもいらっしゃると思いますが、車が苦手な子もいますし、いつもと違う生活パターンを送ることが苦手な子もいることを理解しておきましょう。

嫌がる子への接し方は?

まずは、苦手なことはできる限り避けてあげてください。例えば、散歩後の足拭きが苦手であれば、無理やり足を拭くことはやめましょう。散歩から帰ったら、用意しておいた濡れたマットの上を歩かせて、その次に乾いたマットの上を歩かせてあげる等、工夫をしてあげるとよいでしょう。苦手なことを克服させたい場合は、ぜひ好きなこと(ご褒美)を活用してください。例えば、おやつが大好きな子であれば、苦手なことを我慢させた後におやつをあげるだけではなく、苦手なことをさせている時におやつをあげます。同時に行うことで、苦手なイメージを良いイメージに変えていくのです。同時に行うのが難しい場合は、少しずつ小分けにして練習していきます。足拭きを例にして考えてみましょう。まずは嫌がらない程度に足をちょっとだけ触って、嫌がる前にすぐにおやつを与えます。もし嫌がる素振りを見せたら、足を触るフリから始めます。これを何回も何回も繰り返して、少しずつ足を触る時間を長くしていきます。大切なのは、おやつを与える時は必ず言葉でも褒めてあげることです。慣れてくると同時におやつをあげられなくても、その時に褒め続けることで、おやつの喜びと結びつけることができます。

 

おやつ以外にも、好きなことをご褒美としてたくさん使ってあげてください。「苦手」を上回るくらいの「好き」を与えてあげることで、少しずつ苦手なことを克服できるようになるでしょう。現状できないことにあせらず、その子の個性を楽しんであげてください。きっと愛犬との関係性が今よりもずっと素敵なものになると思います。

菊池 亜都子
東京大学附属動物医療センター 行動診療科

菊池 亜都子

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