前回は、犬とあなたとの関係について、「支配関係」や「上下関係」ではないというお話をさせていただきました。
では、どのような関係を築いていくのが理想的なのでしょうか。犬のわがままをいつも聞いてあげて、好き勝手にやらせてしまっては、人間も振り回されてしまいますし、犬にとっても決して幸せとは言えませんね。犬は、私たちと共に人間社会で暮らしていかなければならないのですから、すべてを犬の思い通りにさせてしまっては、人間社会から受け入れられず、最終的に不幸な結果を招くことにもなりかねません。
このようなことから、犬にしつけをする、もしくは犬をトレーニングすることはとても大切です。しかし、ここで言うしつけやトレーニングは、犬の地位を下げるためのものではなく、あくまでも良好な関係を築くためのものです。
リーダーであるために
しつけやトレーニングをする際に、飼い主はどのような立場に立てばよいのでしょうか。
ここで、ある言葉をご紹介したいと思います。イギリスの百貨店チェーンの創立者ハリー・ゴードン・セルフリッジ氏が「ボスとリーダーの違い」について語ったセリフです。有名なので、ご存じの方も多いかもしれません。
- ボスは部下を追いたてる。リーダーは人を導く。
- ボスは権威に頼る。リーダーは志・善意に頼る。
- ボスは恐怖を吹き込む。リーダーは熱意を吹き込む。
- ボスは私と言う。リーダーはわれわれと言う。
- ボスは時間通りに来いと言う。リーダーは時間前にやってくる。
- ボスは失敗の責任をおわせる。リーダーは黙って失敗を処理する。
- ボスはやり方を胸に秘める。リーダーはやり方を教える。
- ボスは仕事を苦役に変える。リーダーは仕事をゲームに変える。
- ボスはやれと言う。リーダーはやろうと言う。
この引用はビジネスの世界で活用されることが多いので、当てはまらない部分もありますが、飼い主は、ぜひともこんなリーダーになっていただきたいのです。「リーダー(飼い主)の指示に従ったらいいことがある!」「リーダー(飼い主)に褒めてもらえるのは楽しい!」と犬に思ってもらえたら最高ですよね。
ご褒美を用意する
さて、具体的な練習方法についてお話しします。まずは、ぜひともご褒美を用意してください。望ましくない行動に対して罰を与えるのではなく、望ましい行動に対してご褒美を与えてください。ご褒美となるものは、あなたの犬が大好きなおやつです。ただし、ご褒美として1回に与える量は少ないので、ちぎって与えることのできる犬用チーズや乾燥レバー、ジャーキーなどが適当でしょう。そして、今後このおやつは望ましい行動をした時以外は与えないようにしてください。おやつを与えたことがない、または病気などの理由でおやつを与えることができないときには、ドッグフードを用いることもできます。
静かに優しく
そして、小指の先くらいの大きさにしたおやつを10個くらい用意して、片手に持ち、コマンド(指示の言葉)を出します。そのコマンドに従ったら、すぐに言葉で静かに優しく誉めて(「いいこね」「グー」など)から、おやつを差し出します。この言葉はいつも同じものを使ってください。この時、頭や体を撫でなくでも結構です。
無理はせずに
コマンドは、あなたの犬ができる簡単なもの(「オスワリ」「オテ」など)で大丈夫です。まず、名前を呼んで、あなたの元に来たら誉めておやつを与えましょう。コマンドは、話しかけるように、穏やかな口調で1回だけ与えてください。コマンドに従わなかった時は、「残念」などと言うか、無視をして背中を向けて10秒ほど待ち、その後もう一度コマンドを出してみましょう。1回の練習は5分くらいで終わらせてください。1日に2回以上練習するのが理想的ですが、あなたが疲れている時や気分が乗らない時は、無理して行わなくても大丈夫です。また、仕事などで遅く帰って来て、犬が熟睡しているのを無理やり起こしてまで練習しなくても大丈夫です(実際にそういう飼い主さんがいらっしゃいました)。あくまでも、あなたと犬の楽しい時間を作るための練習なのですから…。
少しずつ、出来ることを増やしていく
この練習が家の中でできるようになったら、お散歩中など、いつもと違う刺激があるところでも練習をしたり、普段の生活の中でも取り入れてください。おやつをすぐに与えられるように、室内のいろんなところに用意しておくのもいいかもしれません。また、犬にとって苦手なことも徐々に加えていくといいでしょう。例えば、サークルやキャリーに入るのが苦手な子には、「ハウス」と言って、ハウスの中におやつを投げ入れ、入ったらすぐに誉めて、ハウスの中でおやつを与えます。最初は、扉を開けっ放しにして、すぐに出てきてしまっても構いません。少しずつ、出来ることを増やしていけばいいのです。一気にあれもこれもやろうとしないように注意しましょう。
コマンドでメリハリをつける
それから、犬が何か(抱っこなど)を要求してきても、すぐには応じないようにしてください。必ずコマンドを与えて、従ったご褒美として要求に応えるようにしましょう。ご褒美はおやつだけではありません。要求に応じてあげることもご褒美になります。
ここでお伝えしたことは、あくまでも一般的な方法ですので、生活環境や犬の性格、もしくは今抱えているかもしれない問題行動などによっても、変わってきます。うまくいかない、やり方がわからない場合は、行動治療を専門とする獣医師に相談するか、信頼できるドッグトレーナーなどに相談してください。
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愛犬の行動から、病気の可能性を調べてみる「うちの子おうちの医療事典」
「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、犬種など、
☞愛犬の「行動」から、
■ 足をあげる
■ 歩かない
■ 頭を振っている
■ ふらつく
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■ 遠吠えをする
■ 性格が変わる
☞下記のような切り口から、
【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり
【対象】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い ■男の子に多い ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い
【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい
【うつるか】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる
【命への影響度】 ■ 命にかかわるリスクが高い
【費用面】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額