Pug dog lying in bed under blanket
「うちの子、ちょっと太っているけど愛嬌があるからこのままでいいや」と思っている飼い主さん、その考えは危険です。その子にあったベストな体重をキープしておかないと、体のさまざまな場所に負担がかかり、将来的に犬も飼い主さんも辛い思いをすることになります。ここでは適性体重の計り方と、肥満によるリスクを解説します。

パーセンテージで考えて

体重3kgの小型犬の体重が0.5kg増えたとしたら、みなさんはどう思いますか?

たった0.5kgだから大丈夫、と考える方もいるのではないでしょうか。しかし体重が3kgの小型犬にとっての0.5kgは、かなりの増量になります。この小型犬の場合は15%も体重が増えたことになるのですが、これは45kgの女性が約52kgに、60kgの男性が約70kgになることと同じです。こう考えるとなかなかな増量ですよね。

このように、愛犬の体重の増減についてはパーセンテージで考えると分かりやすいと思います。その子の適正体重を15%上回っている場合、その子は肥満とされています。

肥満には様々な病気のリスクが潜んでいます

犬が肥満になると足腰や内臓に負担が大きくかかります。これが原因で病気にかかりやすくなったり、持病が悪化したりする可能性があります。

体重の増加によって高まるリスク

関節炎

関節に負担がかかって炎症がおこり、慢性的な痛みをもたらす病気です。怪我をしていないのに歩き方がおかしくなることがあります。

椎間板ヘルニア

背骨と背骨の間にある椎間板と呼ばれる部分が飛び出し、神経を圧迫する病気です。悪化すると麻痺を起こす場合があるので注意が必要です。体重が増えて腰に負担がかかった状態で無理な運動をすることが、原因の一つとして考えられています。

脂肪が増えることで高まるリスク

呼吸器系の病気

もともと呼吸器系に病気がある子やかかりやすいリスクのある小型犬の場合は、肥満になると脂肪で気道が圧迫され、悪化する恐れがあります。呼吸器系の病気は、一気に状態が悪化することがあるので、悪化する要因はできる限り取り除いてあげましょう。

皮膚炎

皮下脂肪が増えると皮膚がたるんで皺ができます。その皺の間に皮膚炎が起こりやすくなります。

便秘

脂肪によって腸が圧迫されることで、便の通りが悪くなり便秘を引き起こすことがあります。また、肥満によって筋肉量が落ちると腸がまがって便秘になる会陰ヘルニアにもなりやすくなります。

その他

糖尿病

糖分を過剰に摂取すると、血糖値を下げるインスリンの働きが鈍くなり、常に血糖値が高い状態になってしまいます。うまく血糖値のコントロールができないと、合併症をおこしたり、命に関わることもあります。

犬が太る原因は?

Dog treats in a bowl on wooden table

「食事は与えられた分だけ食べておく」という昔からの習性がある

犬の祖先であるオオカミは「食べられる時に、あるだけ食べる」という食事の摂り方をしていました。この名残で、犬も飼い主さんが与えた分だけ食べ物を食べようとします。食事の量が適量以上だったとしても、「食べきらなくては」という犬の本能から、出されたものは全部食べてしまう習性があります。

消費しきれない程食べている

肥満の根本的な原因は、食事で取り入れるエネルギーが、活動で消費するエネルギーを超えてしまうことです。運動で消費しきれない程たくさん食べることで、どんどん体内に脂肪として蓄積されて太ってしまいます。

食事の切り替えタイミングは要注意

子犬から成犬へ

成長期の子犬は、食事で取り入れたエネルギーを「活動用」と「成長用」の2つで消費します。そのため成犬に比べてたくさんのエネルギーを必要とします。

しかし、成長期が過ぎた1歳くらいから、犬は徐々に代謝が落ちていきます。消費エネルギーが子犬の頃に比べて減っているのに子犬の時期と同量の食事を与えたり、子犬用の高カロリー食を与えたりしていると、太る原因になってしまいます。

避妊・去勢手術後

また、避妊・去勢手術を受けた犬は、性ホルモンのバランスが崩れて、手術前に比べて代謝が落ちると言われています。必要なエネルギー量は手術を受ける前と比べて少なくなるので、食事の量や種類を見直してみて下さい。

肥満を未然に防ぐために飼い主さんができること

愛犬の適正体重を把握する

犬種の標準体重やペットショップで伝えられた理想体重を参考にする方もいらっしゃるかもしれませんが、同じ犬種でも個体によって体格や肉付きは違います。その子にあった適正体重がありますので、まずはかかりつけの獣医さんに愛犬の適正体重を確認しておきましょう。

理想体重のはかりかた

被毛のボリュームによって、犬の外見はガラリと変わる場合もあるので、自分で判断できるようになるのは少々難易度が高いのですが、おうちでもできる理想体重の計測方法を解説します。気になる方は、最初は獣医さんに確認をしながらぜひ取り入れてみてください。

 

ボディ・コンディション・スコアを参考に、犬の体を様々な角度から見たり、実際に触ってみたりして、体型や肉付きから肥満度を評価する方法です。ポイントは犬を真上、真横からの見たときの体格、そして胴をなでた時の触り心地、の3つです。

 

BCS1・痩せ型

肋骨(ろっこつ)・腰椎・骨髄が外から容易に見える。触ると脂肪がなく、骨が容易に感じられる。腰のくびれ、腹部の吊り上がりが顕著。

BCS2・やや痩せ型

肋骨が少し浮き出ていて、容易に触ることができる。上から見て腰にくびれがあり、横から見て腹部の吊り上がりもみられる。

BCS3・理想体重

胴が薄い脂肪で覆われており、触ると肋骨が感じられる。上から見た腰のくびれ、横から見た腹部の吊り上がりはゆるやか。

BCS4・やや肥満

脂肪の沈着はやや多いが、触るとわずかに肋骨が感じられる。上から見たときの腰のくびれ、横から見た腹部の吊り上がりは顕著ではないが見られる。

BCS5・肥満

厚い脂肪に覆われていて、肋骨が容易にさわれない。腰のくびれはないか、ほとんど見られない。腹部の吊り上がりは見られないか、垂れ下がっている。

 

ちょっと丸っこい愛犬の姿を愛らしいと感じる飼い主さんもいらっしゃるかと思いますが、犬の肥満には色々なリスクがあるのです。大切な愛犬に健康で長生きしてもらうためにも、体重管理はしっかりしてあげてくださいね!

アイペット獣医師

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