手術を待つ犬

犬の避妊については、いろいろな情報や意見が溢れています。賛成派の意見も反対派の意見も、色々ありますよね。

ここでは獣医師の視点で、犬の避妊のメリット・デメリットを中心にご説明します。とはいえ、麻酔のリスクや健康な体にメスを入れることに抵抗があるという方もいらっしゃると思いますので、この記事を参考に、かかりつけの獣医さんとよく話し合って、避妊手術するかどうかを決めてくださいね。

避妊手術のメリット

1.病気を予防できる

獣医師が避妊手術を勧める1番大きな理由は、避妊手術により防げる病気がたくさんあるということです。特に乳腺腫瘍や子宮蓄膿症など、命に関わるような病気でも、避妊手術をすることで、予防することができるのです。

乳腺腫瘍

名前の通り、乳腺にできる腫瘍で、メス犬の500頭に1頭が発症するという研究データがあります。発症した場合、50%が良性、50%が悪性と言われていて、悪性の場合は肺転移などを起こし亡くなる事もあります。初回発情前に避妊手術を行った場合は、99.95%という高い確率で発症を防ぐことができます。

しかし1回目の発情を迎えてしまってから手術をした場合だと予防できる確率は92~94%へと落ち、さらに2回目の発情を迎えてしまったあとに手術をした場合は75%と減っていきます。発情を迎える度に予防できる確率は落ちていくため、多くの獣医師が発情期を迎える前に避妊手術を薦めるのです。

子宮蓄膿症

外部からの細菌が入りこんで子宮の中で増殖し子宮に膿が溜まる病気です。出産経験のない高齢の女の子に多いと言われています。中高齢で発症するため、発症したときには麻酔リスクやショック症状を起こす可能性が高く、非常に危険な病気です。こちらの病気も、避妊手術で予防することができます。

2.発情中のストレスが減る

発情中の女の子は「落ち着かない」「食欲がない」「不安そう」「オスの近くへ行きたがる」など普段と違った様子を見せます。ストレスを感じやすい時期と言われ、神経質になる犬もいます。普段とあまりにもかけ離れたような行動を示すことがあり、飼い主さん側がショックを受けるケースもあるようです。避妊手術をすると発情がなくなるので、発情によるストレスから解放されます。

3.望まない妊娠を防ぐ

ドッグランや公園でのお散歩など、他の犬と接する場所に連れていく場合は要注意です。ちょっと目をはなした隙に、妊娠してしまう可能性だってあります。

「子どもを産む予定がなかったのに、妊娠してしまった。」「子どもがたくさん生まれて、飼う場所が足りない。」そういったトラブルを、避妊手術で防ぐことができます。

避妊のデメリットは?

1.妊娠ができなくなる

当たり前ですが、避妊手術をしたら妊娠はできません。将来、子どもを産む予定がある場合は、避妊手術はしない方がいいでしょう。

2.太りやすくなる

女性ホルモンの影響がなくなる分、繁殖とそれに付随した行動のために費やしていたエネルギーの消費も減ります。基礎代謝が下がるので手術前に食べていたのと同じ量の食べ物を与えると、太ってしまうことが多いです。

3.麻酔リスク

若くて健康な犬は老齢犬に比べ麻酔リスクは低いです。しかし、麻酔ですのでリスクがないわけではありません。麻酔アレルギーや不慮の事故が起きる可能性もゼロではありません。避妊手術のメリットは大きいですが、麻酔リスクについてはかかりつけの獣医師と良く話し合い、納得したうえで決めましょう。

4.尿失禁

避妊手術との関連性が証明されているわけではありませんが、避妊手術をした中齢以上の大型犬に尿失禁が起こる可能性ある事が知られています。

避妊手術ってどんな手術?

お腹の中央の部分を毛刈りして、切開します。子宮と卵巣または卵巣のみを摘出し縫合します。

いつ手術するのがいいの?

麻酔に耐えられる大きさに成長した後で、最初の発情期を迎える前に行うのが理想です。個体差もあるので、最初の発情期となる6ヶ月齢よりも前に、獣医さんに相談しましょう。

※発情が来ると、陰部の腫脹、陰部からの出血、そわそわと落ち着きがなくなるなどの兆候が現れます。

手術時間は?

切開~縫合までの時間は約20分~40分です。病院によっても違うので先生に確認してみましょう。

全体の流れは?

予約→術前検査(手術当日または事前)→手術→入院(通常1泊)→抜糸(1週間後)

料金は?

4~5万円程度と言われていますが、病院によって料金が異なります。

事前に確認しましょう。

確認するポイント

  • 入院~退院までにかかるトータル料金
  • ↑に術前検査料金(血液検査・レントゲン検査)が含まれているのかどうか

 

初めて犬を飼う飼い主さんにとって、避妊手術は最初の大きなイベントとなります。麻酔は危なくないの?そもそも手術をした方がいいの?どの病院で手術すればいいの?お金はどのくらいかかるの?子犬を入院させても大丈夫?など、不安は尽きませんよね。

避妊手術に対する考え方は人それぞれです。そもそもメリット・デメリットではなく、倫理的な観点から、どうしても受け入れられない方もいらっしゃるかもしれません。ですので、あくまでこの記事を参考に、かかりつけの獣医さんとよくよく相談して決めていくといいと思います。

アイペット獣医師

ワンペディアの運営会社であるアイペットに在籍している獣医師チーム。臨床経験...

関連記事

related article