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犬を飼うと「避妊」や「去勢」について一度は考えることがあるのではないでしょうか?手術を受けさせたほうがいいのか、それにはどんなリスクがあるのか…飼い主さんは正しい知識を持って、判断しなくてはなりませんよね。

ここでは獣医師監修のもと、愛犬の「避妊」「去勢」のメリット、デメリットについてご紹介します。愛犬にとってどの選択が幸せなのか、納得できるまでしっかりと考えてから決断しましょう。

 避妊・去勢手術によるメリットとは

病気の予防につながる

避妊・去勢手術を行うことで様々な病気を防ぐことができます。

避妊手術によって防げる病気とは?

――乳腺腫瘍

名前の通り乳腺にできる腫瘍で、メス犬では最も多い腫瘍です。発症した場合、50%が良性、50%が悪性と言われていて、悪性の場合は肺転移などを起こし亡くなる事もある病気です。初回発情前に避妊手術を行った場合は、99.95%という高い確率で発症を防ぐことができます。

しかし1回目の発情を迎えてしまってから手術をした場合、予防できる確率は92~94%へと落ち、さらに2回目の発情を迎えてしまったあとに手術をした場合は74%と減っていきます。発情を迎える度に予防できる確率は落ちていくため、多くの獣医さんは発情期を迎える前に避妊手術を薦めます。

――子宮蓄膿症

外部から細菌が入りこんで子宮の中で増殖し、子宮内に膿が溜まる病気です。やがて、たまった膿で子宮がパンパンに膨らみます。そして子宮が破裂するなどして、子宮内の膿が全身に回ってしまうと、ショック症状を引き起こして死んでしまう可能性がある、非常に恐ろしい病気です。また、中高齢で発症するため、発症したときには麻酔リスクやショック症状を起こす可能性が高くなります。

去勢手術によって防げる病気とは?

――精巣腫瘍

精巣にできる腫瘍です。特に、潜在精巣といって、精巣が正常な位置まで下りてこないで、おなか付近にとどまっている場合は、腫瘍になりやすいと言われています。高齢犬の潜在精巣では、精巣腫瘍の発生率は10%以上と言われています。高齢になってから発症する事が多く、治療には手術が必要なためリスクを伴います。

――前立線肥大

オスの生殖腺である前立線が肥大して、頻尿や便秘などの症状がでます。老犬に多く見られる病気ではありますが、症状が出ない場合もあるので気付かないことも多いのです。隠れた前立腺肥大は、未去勢のオスの75%以上がかかっているという論文もあります。若いうちに去勢手術をする事で高い確率で予防する事ができます。

発情中のストレスが減る

女の子の場合

発情中は「落ち着かない」「食欲がない」「不安そう」「オスの近くへ行きたがる」など普段と違った様子を見せます。ストレスを感じやすい時期で、神経質になる犬もいます。普段とあまりにもかけ離れたような行動を示すことがあり、飼い主さん側がショックを受けるケースもあるようです。避妊手術をすると発情がなくなるので、発情によるストレスから解放されます。

男の子の場合

オスに発情期というものはなく、発情しているメスが近くにいることで発情します。犬の嗅覚は非常に優れているので、遠く離れたところにいる発情したメス犬の存在も嗅ぎわけると言われています。発情したメスが近くにいるのに交尾できない状態はオスにとってストレスです。去勢手術をすればこのストレスは無くなります。

望まない妊娠を防ぐことができる

子どもを産ませる予定がなかったのに妊娠してしまった、させてしまった…

子どもがたくさん生まれても飼うことが出来ない…

こんなトラブルを、手術を受けることで防ぐことができます。

女の子の場合、生理トラブルに悩まない

女の子は早ければ生後6か月を過ぎた頃から生理が始まります。飼育環境や品種にもよりますが、1年に1~3回程生理が来ます。体の大きさや個体差によって陰部からの出血量は違いますが、人間と違ってパンツをはいていないので血液が色々なところについてしまい、飼い主さんはお掃除も、抱っこするのも大変です。おむつをはかせる方法もありますが、おむつを履かせたままオシッコやウンチをすると皮膚が蒸れてしまうので、一般的にはおむつを一度脱がせてからトイレをさせます。

トイレの時間を気にするようになると、飼い主さんは家を長時間空けることが難しくなりますよね。避妊手術を受けることで、発情中のストレスに加え、生理トラブルも防ぐことができるのです。

避妊・去勢手術によるデメリットは?

妊娠できない、交配ができない体になる

手術をうければ当然、妊娠できないですし、交配もできません。

もし子どもを産ませてあげたいと考えるならば、手術を受けないという選択肢を選びましょう。

太りやすくなる

繁殖しないことで、本来そこへ費やしていたエネルギーの消費が減ります。また、基礎代謝が下がるので、手術前の食事量と同じ量を食べていると、太ってしまうことがあります。食事の量は獣医さんと相談して調節しましょう。

麻酔のリスク

若くて健康な犬は、老齢犬に比べて麻酔のリスクは低いです。しかし、リスクがないわけではありません。麻酔アレルギーや不慮の事故が起きる可能性もあります。避妊手術によるメリットは大きいですが、麻酔リスクについては、かかりつけの獣医さんと良く話し合い、納得したうえで実行にうつしてください。

女の子にみられる尿失禁

避妊手術との関連性は証明されていませんが、避妊手術をした中齢以上の大型犬に尿失禁が起こる可能性があります。

避妊・去勢手術の適正時期とは?

予約から術後までの流れ

予約

 ↓

術前検査(手術当日または事前)

 ↓

手術当日

 ↓

入院(1泊程度)

 ↓

抜糸(術後、1週間程度)

 ↓

一般的にこの流れで避妊・去勢手術を行います。

女の子の避妊手術

女の子の場合、お腹の中央の部分を毛刈りして切開し、子宮と卵巣または卵巣のみを摘出する手術を行います。

適正時期は、麻酔に耐えられる体の大きさと体力を持つまでに成長していること、そして最初の発情期を向かえる前に行うことが理想です。発情期がくると、陰部の腫脹、陰部からの出血、そわそわと落ち着きがなくなるなどの兆候が現れます。個体差もありますが、6ヶ月齢よりも前に、獣医さんに相談しましょう。

犬種やその子の状態によっても変わりますが、手術の時間はだいたい40~60分くらい。料金はだいた4~10万円程度だといわれています。この金額の中に、手術前の検査が含まれるかどうか、事前に確認をしておくことをおすすめします。病院により異なるので、価格・時間・手術の流れについては事前に確認しましょう。

男の子の去勢手術

男の子の場合、下腹部を毛刈りし、陰嚢という精巣を包んでいる袋を切開して精巣を摘出する手術を行います。

実は、男の子には発情期が無いので、いつまでに去勢手術を受けるべきかというデータはありません。しかし、性的ストレスを感じさせない様にするためには、発情したメスに合う前に去勢手術をしてあげる事が大切です。6か月を迎える前に、なるべく早いうちに行うのが良いでしょう。また、足をあげて排泄をする事が習慣になる前に去勢手術をした場合は、その後も足をあげないで排泄する子になる事が多いです。

犬種や状態によりますが、手術時間は、30分程で終わります。料金は2~3万円ほどです。避妊手術にも記載しましたが、この金額に手術前の検査も含まれるのか、事前に確認するようにしましょう。病院により異なるので、価格・時間・手術の流れについては事前に確認しましょう。

 

いかがでしたか?避妊・去勢手術を受けるかどうかどうか、どちらをとってもメリット・デメリットがあるので判断は難しいですよね。どんなふうに生きることが、その子にとって幸せなのか、また、一緒に暮らすうえでどんなカタチが理想なのか。考え方は飼い主さんそれぞれだと思います。その子の体質や性格もあるので、獣医さんと相談したうえで判断するようにしてくださいね。

アイペット獣医師

ワンペディアの運営会社であるアイペットに在籍している獣医師チーム。臨床経験...

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