リードを引っ張る犬
 

犬にグイグイと引きずり回されながら、額に汗を浮かべて散歩をしている飼い主を見かけることがあります。

その姿はさしずめ、モーターボートに引っ張られる水上スキー。微笑ましくはありますが、これでは犬をコントロールできていませんよね。

そもそも、犬は”引っ張る動物”です

そもそも犬は、胸などに圧力がかかると反対方向に引き戻そうとする「抵抗反射」という性質を持っています。人間はその習性を利用して、犬ぞりや荷車を引かせてきました。ですから、引っ張り癖を力で直そうとしても逆効果になりがちなのです。そして、いつも引っ張りながら散歩をしている犬は、これが正しいお散歩方法なのだと学習してしまいます。

引っ張り癖を直したいなら、まずはしつけのテクニックよりも先に、犬の運動欲求を汲み取る必要があります。1日1回しかお散歩に行かない、お散歩時間が短いなどで運動不足に陥った犬は、お散歩に出ると興奮して先へ先へと進みたくなりますし、飼い主の歩くペースが遅すぎると、犬にとっては物足りず欲求不満が溜まります。お散歩は人と犬が軽快にウォーキングする時間、と考えたほうがいいでしょう。

まずはリードの持ち方を見直しましょう

十分なお散歩時間と運動量が確保できたなら、次はリードの持ち方です。リードはつねに両手で持ちます。片手持ちでは飼い主の意志を犬に伝えづらくなりますし、犬が突然ダッシュしたときなどに適切なリードさばきができません。

犬を自分の左に付けて歩かせたい場合は右手の、右に付けたい場合は左手の親指をリードの輪に通し、手のひらと指でリードをつかみます。リードの輪を手首にかけていると、とっさの場面でがっちりホールドできませんし、親指を通していないとリードが手からすっぽ抜け、交通事故や子どもへの飛び付き、他の犬とのケンカなど思わぬ事故を引き起こしかねません。また、リードがすっぽ抜けた拍子に指を傷めたり爪をはがしたりと、ケガも負いやすくなります。

もう片方の手はリードの中間、自然な位置を順手でつかみます。こうすれば細かなリードさばきを行いやすいですし、突進を止めるときなどでも両手でしっかりとリードを確保できます。リードをつかむ手は順手が基本です。逆手に持つと力を入れづらく、指を傷めがちですのでご注意を。

引っ張る犬には「考えて」もらいましょう

お散歩中に犬が引っ張ったら、対抗してグイグイ引き戻さず、その場に立ち止まります。リードを引っ張ったら歩いてもらえなくなる、だったら引っ張るのを止めよう、と犬に考えてもらうのです。グイグイ引っ張られても根負けしてはいけません。動いてしまうと犬は、思いきり引けば歩くと学習してしまいます。

立ち止まる際には、リードをガンッと引っ張る必要はありません。犬の引く力をグーッと吸収するように、大きな動作でゆっくりと犬の歩みを止めます。引っ張り返すのではなくその場で固定するイメージです。散歩の再開はリードが完全に緩んでから。慣れてきたら、犬が引っ張るのを止めたかを見極め、「ツケ」または「ツイテ」と声をかけて人の脇に寄り添うようポジションを整えます。

オスワリができる犬なら、適切なポジションに犬を座らせ、「ツケ」と声をかけます。その後数歩歩いて再び「ツケ」と声をかけながらポジションを整える動作を繰り返せば、比較的早く覚えてくれます。人の脇についたときに誉めてあげるのも効果的な手段です。

ただし、最初から最後まで脇につかせ、ずっと早足で歩き続けるだけの散歩は、犬にとっては楽しくありません。電柱のニオイを嗅いだり草むらを探検したりできる安全な場所では、リードを緩め犬を自由にさせてあげましょう。歩く時間と遊ぶ時間のメリハリをしっかりとることが、引っ張り癖を直すことにもつながります。

アイペット獣医師

ワンペディアの運営会社であるアイペットに在籍している獣医師チーム。臨床経験...

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