首輪とリードを初めて身につける際には嫌がる犬も多いと思います。ただ、首輪とリードには犬を交通事故等の不慮の事故から守る、他の犬とケンカをしてしまうことを防ぐ、等の役割がありますから非常に大切です。いわば、愛犬の命や身体を守るための命綱のようなものです。ここでは、犬が首輪とリードを身につけても嫌がらない状態にする手法をご説明します。

首輪とリードの必要性

首輪とリードは愛犬と散歩等に出かける際には必須のアイテムです。自転車、オートバイ、自動車は外に出れば必ず存在します。クラクションやエンジン音に反応し、道路に飛び出しでもしたら死亡につながる大事故になる可能性があります。

それだけではなく、暴走した犬は他人や他の動物に危害を加えてしまう恐れもあります。ある飼い主の飼っている大型犬が、散歩中に同マンションの住人の太ももに噛みつき、ケガをさせた事例があります。この飼い主は被害者と、病院代と慰謝料を支払うことで示談が成立したのですが、この事件をきっかけに噛まれた被害者が引っ越しをしたため、マンションの管理会社が空き家になったことに伴う損害賠償請求を提起し、裁判の結果1,000万円以上の支払い命令を受けました。

散歩に出かけたら、どのような危険が潜んでいるかわかりません。思いがけず、加害者になる可能性も被害者になる可能性もあります。家族の一員として犬をお迎えしたら、早い段階で首輪とリードに慣らしていく必要があります。

 

まずは首輪かハーネス(胴輪)か選びましょう

犬によって首輪でなく胴輪(ハーネス)の方が望ましい場合があります。それぞれのメリットとデメリットを理解して、愛犬にあったものを選びましょう。

首輪

 

首輪は首につけるもので、そこにリードを付ける形になります。リードを引っ張ったときの力がそのまま首に伝わるので、コントロールがしやすいというメリットはあるものの、気管を締め付けてしまいます。そのため、小型犬や、気管が詰まる気管狭鎖症にかかりやすいダックスなどの犬種は、首輪の使用を避けましょう。

 

ハーネス(胴輪)

 

胴輪(ハーネス)は元々そりを引くための道具であり直接的に力が加えられず犬への負担は少なくて済みます。ただ一方でコントロールがしづらいことでもありますので、力の強い大型犬などに胴輪は不向きです。飼っている犬の種類や大きさなどを考慮して、首輪をつけるか胴輪をつけるか選択してあげましょう。

 

選ぶときの注意点

首輪について

首輪は軽いものの方が犬への負担が少ないです。また、鈴やタグなどはない方が気を散らさず集中できますので、最初はつけない方が教えやすいです。なお、首が閉まってしまうためチョークチェーンは絶対につけてはいけません

リードについて

リードは犬が噛むことも想定して丈夫そうなものを選びましょう。長さは犬の大きさにもよりますが、1.2~1.5m程度のものが一般的です。長すぎると動きをコントロールしづらいので、しつけ初期には向いていません。一般的にナイロン製のものは丈夫ですし、価格とのバランスを考えるとオススメです。

 

実際に身につけてみよう

最初から外に出るのではなくまずは家の中で実際につけてみましょう。

首輪を装着する際に、犬が嫌がって逃げる場合もあります。その際は、追いかけっこ(犬にとっては一種の遊び)にならないように注意してください。追いかけっこを楽しみ始めると首輪の装着がますます困難になってしまいます。

 

首にバンダナを巻く

いきなり首輪をつけると嫌がる犬もいますので、

圧迫感のない柔らかい素材のものから慣らして

いきます。まず、おすわりをさせ落ち着かせてから

バンダナをにおわせてから首にかけて

みます。嫌がらなかったら「おりこう」と声をかけごほうびをあげます。次にバンダナを首に軽く巻きます。

嫌がらなかったらほめて、ごほうび

をあげます。これを繰り返していきましょう。

バンダナで違和感がある犬はもっと細くて軽いリボンなどから練習するのも一つの手です。嫌がる場合は無理につけようとせず軽く首にあてるところからやり直します。

 

首輪をつける

首にバンダナを巻けるようになれば、実際に首輪をつけてみます。まずおすわりをさせて首輪をかがせます。

首輪を首に触れさせ嫌がらなかったら「おりこう」と声をかけごほうび

をあげます。

次に首輪を緩くして首に巻きます。嫌がらなかったらほめて、ごほうび

をあげます。これを繰り返していきます。

首輪を装着する時は首輪と犬の首のあいだに指が1、2本入るくらいのきつさを目安に

してください。首輪をつけた状態で、家の中で遊べるようになってきたら、首輪を気にせず動けるようになってきた証拠です。(リードにも同じ事が言えます)

 

リードをつける

首輪になれたところでリードをつけていきます。

リードに対して抵抗感が強い場合はリードではなく軽いひもから

始めてください。この状態で家の中を動き回ってもらいましょう。犬がリードを噛んで困ってしまう場合には、市販の噛みつき防止剤等の使用も検討してよいと思います。噛みつき防止剤は苦味があるので、犬に不快感を与え、リードを噛むこと自体を嫌がるようになっていきます。

 

犬の集中力は15分くらいしか続きません。だらだら長く続けると集中力が切れてしまい、しつけ自体を嫌がるようになりますので、注意力散漫になってきたら潔くしつけを中断し、日を改めてしつけの練習をするようにしてください。

 

 

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■ リーダー:怖いボスと頼れるリーダーの違い

■ドッグカフェ:ドッグカフェでいい子にしてもらうためのしつけ

■ 失敗談:みんなのしつけ失敗談。先輩の失敗から学ぼう!

 

 

 

 ★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

例えば、下記のような切り口から、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり

【症状面】■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い

【対象】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い

【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつるか】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる

【命への影響度】 ■ 命にかかわるリスクが高い

【費用面】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防面】 ■ 予防できる ■ワクチンがある

 

★「うちの子おうちの医療事典」で子犬が注意すべき傷病を調べてみましょう

□ 子犬に多い傷病

□ 低血糖症

□ 水頭症

□ 骨折

□ 回虫症

□ ジアルジア症

□ コクシジウム症

□ ケンネルコフ

□ 犬パルボウイルス感染症

 

アイペット獣医師

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