タキシードを着ているような模様と三角形のかわいい大きな耳が特徴のボストンテリア。非常に賢くおおらかな性格をしているといわれています。その名前から、ボストン出身でありそうなことは大方予想されますが、実はアメリカ原産の犬種としては3番目に誕生した、長い歴史を持つ犬種なのです。ボストンテリアについてどこよりも詳しく解説します!
ボストン・テリアの歴史
その名の通りボアメリカ合衆国の「ボストン」でボストンテリアは誕生しました。イングリッシュ・ブルドッグ、ブルテリア、ボクサーなどの様々な犬種からつくり出されたボストンテリアは当初は体重20kg以上ある闘犬で、「ボストン・ブル」と呼ばれていました。気性の荒い子が多い犬種でしたが、テリアなどの小型の愛玩犬を交配することで品種改良に成功し20年以上の歳月をかけて現在のような穏やかでスマートな犬種が確立したと言われています。
1893年にボストン・テリアの第1号がアメリカン・ケンネル・クラブに登録されたことからアメリカ内で非常に人気の犬種となっていきました。
ボストン・テリアの性格
知的な犬種として有名で、人ともうまくコミュニケーションが取れる子が多いようです。あそびや運動が大好きで、寛容な性格のため、小さな子どもとも仲良く遊ぶことのできる犬種です。
活発に動き、筋肉もある犬種のため、小型犬の中では運動量が必要です。また、一度興奮すると持ち前の筋肉で激しく動き過ぎてしまい、コントロールが効かなくなる面もあるので飼い主さんの指示にきちんと応えられるようなトレーニングが必要です。
基本的には、知らない人やお客さんにもそつなく接するフレンドリーな性格ですが、飼い主さんの様子には人一倍敏感に反応する繊細な部分もあります。少し嫉妬深い面もあり他の犬や子どもに対してやきもちを焼いてしまうこともあるようです。また、強く怒られると自信を失ってしまう繊細さを持ち合わせた犬種なので、褒める時にはたくさん褒めて、良好な信頼関係を築くと良いでしょう。
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ボストン・テリアの特徴
ボストン・テリアは筋肉質かつ、スリムな体型をしています。ピンッと直立した耳は先端が尖っており、しっぽは短めです。顔立ちはブルドッグ系統ですが、輪郭はブルドッグやフレンチ・ブルドッグに比べて丸く小顔で、首は長めのため、スタイルの良い見た目をしています。
ボストン・テリアは体重4.5~11kg、体高38〜43cmと幅のある犬種です。そのため、ジャパン・ケンネル・クラブ(JKC)では、体重別に3サイズに分類しています。
ボストン・テリアの毛色
全身はスムースコートと呼ばれる短い艶のある毛で覆われています。ベースの毛色は黒色ですが、胸元と目の間、マズルの周りが白色のツートンカラーが特徴的で、「ボストンカラー」とも呼ばれます。「タキシードを着た紳士」と呼ばれることもあるほど素敵な配色をしています。
フレンチ・ブルドッグとの違い
ボストン・テリアとよく似ている犬種、フランスで誕生したフレンチブルドッグと見分けるポイントをご紹介します。
ポイント1「耳の形」
ぱっと見て最も比較しやすいポイントは、耳の形です。ボストン・テリアはピンと尖った三角の耳ですが、 フレンチ・ブルドッグは「バットイヤー」と呼ばれるコウモリが羽を広げたようなフォルムで、耳の幅は広く、先端は丸い形をしています。
ポイント2「毛色」
どちらの犬種も毛色には個体差がありますが、なんといってもボストン・テリアの「ボストンカラー」は大きな特徴です。対して、フレンチ・ブルドッグは、明るい茶色の「フォーン」、ウシ柄のようなまだらの「パイド」、優しく淡い「クリーム」 黒地に白の指し色が入った「ブリンドル」などさまざまなカラーバリエーションがあり 「ブリンドル」がもっともボストン・テリアに間違われやすい毛色と言えるでしょう。
ポイント3「体型」
ボストンテリアは手足や首が長く、スラっとしたスタイルの良いプロポーションをしています。それに対してフレンチ・ブルドッグは、まさにブルドッグ寄りの体つき。手足が短く、ずんぐりむっくりしていますが、その分パワーはフレンチ・ブルドッグが勝るでしょう。また、ボストン・テリアは小顔でシュッとした顔立ちですが、フレンチ・ブルドッグは四角く大きめの顔で、顔の皮膚が垂れているのも特徴です。
ポイント4「性格」
見た目は非常に似ている2つの犬種ですが性格はかなり異なります。ボストン・テリアは知的で繊細なタイプが多く、長い手足を活かして活発には動きますが、落ち着きのある性格をしています。学習能力も高く、トレーニングにも積極的に参加する子が多いでしょう。
一方、パワー系のフレンチ・ブルドッグは、好奇心旺盛で人懐っこく、のんびりとした甘えん坊気質な子が多い犬種です。
ボストン・テリアを家族に迎えたら
適切な温度管理を
ボストン・テリアはマズルが短く鼻ペチャの「短頭種」にカテゴライズされます。体温調節が苦手な犬は「ハッハッハ」という口呼吸(パンティング)や鼻での呼吸によって体温調節を行いますが、短頭種の犬たちは鼻や喉の構造上、他の犬に比べてさらに体温調節が苦手です。そのため、夏場はエアコンを24時間かけるなど、丁寧な温度・湿度管理が必要となります。
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体重管理も重要
ボストン・テリアはスレンダーな見た目をしていますが、実は太りやすい体質の犬種です。活発で動くことが大好きなので、短めのお散歩ではもの足らず、長距離のお散歩やアジリティなどの運動を好みます。
運動は犬にとっても体力づくりやストレス発散になりますが、暑い時間帯や真夏の運動は避けるようにしましょう。
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お手入れのポイント
ボストン・テリアは短いスムースコートですが、上毛と下毛の2重構造をもつダブルコートです。毛が生え換わる夏前、冬前(換毛期)にはたくさん抜け毛が発生するので、毎日のブラッシングやお部屋のお掃除が必要となります。
また、ブルドッグのように顔に深いシワがたくさんあるので、シワの部分を清潔に保つことも重要です。日頃はシワをのばしながら蒸しタオル等で優しく汚れを取り除き、月に1〜2回程度は全身をシャンプーしてあげましょう。こまめにお手入れをしてあげることで、皮膚病や体臭を防ぐことに繋がります。
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ボストン・テリアのかかりやすい病気
白内障
眼の中にある水晶体が白く濁る病気です。加齢性の病気で、7歳を過ぎた頃から白濁し始めることが多いですが、遺伝的に発症しやすい犬種では2歳以下で発症する若年性白内障を起こすこともあります。また、食欲旺盛であることから、糖尿病や高脂血症などの全身性の病気に合併して白内障が起こる場合もあります。進行の程度は個体によって違うので、生涯視覚を保ったまま生活できる犬も少なくありません。失明や視覚障害を起こしている場合には、専門施設での手術が唯一の根治治療とされています。詳しくは「犬の白内障の症状や予防法【獣医師が解説】」をご覧ください。
アトピー性皮膚炎
ボストン・テリアがかかりやすい皮膚疾患として代表的なものは、生後半年〜3歳頃までに発症する「アトピー性皮膚炎」です。環境中のカビやダニなどに免疫が過剰に反応しやすく、痒みが出るという特徴があります。多くは春〜秋にかけて季節性の悪化が認められますが 季節を問わず通年性に見られることが多い「食物アレルギー」も比較的かかりやすい傾向にあります。
アトピー性皮膚炎の治療は、過剰に働いている免疫を抑える内服薬や、二次感染に対する内服・外用薬を用いますが、肌質に合ったシャンプー剤を使って皮膚を清潔に保ったり、シャンプーした後は保湿剤を使ってあげるなどのスキンケアが重要となります。
毛包虫症(ニキビダニ症)
毛包虫(ニキビダニ)というダニが毛穴に寄生することで、脱毛や皮膚の炎症を起こす病気です。アメリカのコーネル大学の統計では ボストン・テリアは毛包虫症を発症するリスクのある犬種の上位10位に入るほど、毛包虫症にかかりやすい犬種です。しかし、毛包虫が寄生しても必ず症状が出るわけではありません。
症状が出やすいのは免疫力の低い子犬や高齢犬で、子犬は母犬から移ったり栄養不良や衰弱によって免疫が低下していると毛包虫が異常繁殖しやすくなります。高齢犬では免疫の落ちるような全身性の基礎疾患を持っている場合に悪化します。
顔面、頭部、四肢から症状が出ることが多く、進行すると全身に広がっていきます。飼い主さんが気付きやすい症状としては脱毛やフケで、症状が局所的な場合には、成長に伴い生後12〜18ヵ月齢までに自然に治癒することも多いです。症状が強い場合には、毛包虫の駆虫薬や、二次感染に対する抗菌薬の投与シャンプー療法などが必要となりますが、高齢犬では重症化することが多く、完治が難しい場合もあります。初期の段階で適切な治療を行うことが重要です。
短頭種気道症候群
運動やあそびが大好きなボストン・テリアですが、運動させてあげる際に気をつけていただきたいのがこの「短頭種気道症候群」です。ボストン・テリアやフレンチ・ブルドッグ、パグをはじめとする短頭種は鼻・喉・気管などの「上部気道」とよばれる空気の通り道に、生まれつき形態学的な異常があるので、基本的に呼吸がしにくいという特徴があります。
特に息を吸う時に呼吸困難になりやすく、いつもより強い力で胸を膨らませて呼吸しようとしますが、そうするとさらに上部気道が狭くなり、もっと呼吸が苦しくなることによって悪化していきます。肥満体型や興奮しやすい性格の犬、高温多湿の環境下で発症しやすい病気です。
運動が大好きなボストンテリアですが、運動時の気候や犬の呼吸の様子には常に注意するようにしてあげましょう。また、呼吸がうまくできない状況が続くと、熱中症を起こしてしまうことも。
安静にしているのに荒い呼吸が落ち着かない、下の色が紫色になってきた、体温が高い、などの症状がみられた場合には、すぐに病院を受診するようにしてください。
出典:犬と猫の品種好発性疾患(第二版)/鷹栖雅峰監訳 interzoo
いちばんよくわかる犬種図鑑 /奥田香代監修 メイツ出版
新犬種図鑑 /ブルース・フォーグル著 ペットライフ社
Small Animal Dermatology 38 / interzoo
★犬種別病気ガイド『ボストンん・テリア』も合わせてご覧ください。
★犬種や季節、年齢など、
ボストンテリアのかかりやすい病気を『うちの子おうちの医療事典』でみる
白内障
糖尿病
アトピー性皮膚炎
食物アレルギー
毛包虫症(ニキビダニ症)
短頭種気道症候群
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