バーニーズ・マウンテンドッグ

世界で最も有名な山岳犬として知られるバーニーズマウンテンドッグ。がっしりとした丈夫な体に、温和で非常に人懐っこい性格。豊かな長い毛につぶらな瞳という、まるで大きなぬいぐるみのような愛らしい見た目で人気者の彼らですが、一時期は絶滅の危機に瀕したこともある数奇な運命をたどってきました。それではバーニーズマウンテンドッグの魅力をひも解いてみましょう。

バーニーズマウンテンドッグのパラメーター

バーニーズマウンテンドッグの飼いやすさ

お留守番耐性 ★★★★☆
しつけやすさ ★★★★☆
必要な運動量 ★★★★★
抜け毛の多さ ★★★★★
必要なブラッシング量 ★★★★☆

バーニーズマウンテンドッグの性格

人への人なつっこさ ★★★★☆
他の犬への友好度 ★★★☆☆ 

バーニーズマウンテンドッグの性格

心根が優しく、愛情深く、そして穏やかな気性で非常に飼いやすい犬種です。飼い主にはその愛情が一心に向けられ、従順且つ献身的な愛犬となってくれるでしょう。また飼い主だけでなく家族を愛し、他の犬達とも友好的に接することができる犬として高く評価されています。もちろん子供にも優しい犬ですが、家族以外にはあまりなつかず、警戒心を出すこともあるシャイな性格をしています。

 

 

バーニーズマウンテンドッグの歴史とルーツ

スイスの山岳地帯を中心に、牛追い犬や荷車の牽引犬、番犬として人間を護るガード・ドッグなど、様々な役割をこなせる使役犬として活躍してきました。この頃はまだバーニーズマウンテンドッグという名前になっておらず、当時この地方にあった村落と旅館の名前をとって“デュールベッヘラー”と呼ばれていました。しかし19世紀に自動車が発明され、彼らの荷車を引っ張るという仕事は徐々に失われはじめます。“失業”した彼らの個体数はどんどん減り続け、20世紀初頭には絶滅の危機にまで瀕するのです。

 

デュールベッヘラーの愛好家たちがこの危機に気がついたころには、かなり限られた個体数にまで頭数が減ってしまっていました。彼らは残った頭数の犬達を基に繁殖を試み、1910年、ついにドッグショーに出演するまでに個体数は回復しました。

 

さらにこの年には山岳犬の犬種として正式に登録されることとなり、改めて“バーニーズマウンテンドッグ(ベルンの山の犬)”という名前が与えられたのでした。

 

 

バーニーズマウンテンドッグを飼うときに気をつけたいこと

極寒の山岳地帯を生き抜いてきたタフな犬ですので、エネルギーが有り余っています。そのエネルギー相当の運動量が必要といえるでしょう。成犬では少なくとも1日1~2時間以上、子犬のうちはそれ以上の時間をかけてあげることが必要となってきます。加えて、牽引犬として物を引っ張ることを非常に得意としています。散歩に出るときは引っ張られても大丈夫なように、しつけを含めしっかりとした準備が重要です。

 

屋外、そして寒いところを好み、暑いのは苦手です。しかし、それ以上に人間と一緒に暮らすことを好むので、屋外で完全に隔離して生活させてしまうのは精神的にあまりよくありません。一方で、室内で飼う際には、体が大きいので十分なスペースの確保が必要となります。

*関連記事「暑すぎ?寒すぎ?犬のサインから読み解く最適な室温」もご覧ください。

 

たくさん運動し、食欲も旺盛ですが、体重が重くなりすぎると四肢の負担が重くなり支障をきたすことがあります。体質的にも肥満になりやすい為、食べすぎは厳禁です。

 

バーニーズマウンテンドッグの成長

幼犬期には非常に活発に動きまわり、そのエネルギーはまるで際限がないように見えるほどです。また幼犬であっても力が非常に強いため、物を壊すのは日常茶飯事。飛んだり跳ねたり引っ張ったり、暴れまわるにしても小型犬のそれとはワケが違います。この頃が一番やんちゃに見える時期と言えるでしょう。

しかし1歳を超えてくるあたりから大人になり始め、徐々に落ち着きを獲得していきます。骨格がしっかりとし、歩き方もゆったりとした歩調に変わっていきます。

 

★『子犬期』に関するワンペディア専門家監修記事はこちら

 

バーニーズマウンテンドッグとお散歩

古来より物を引っ張る使命を受けてきたバーニーズマウンテンドッグですが、お散歩のときは人間が引っ張られないようにしたいものです。子犬の頃から首輪をつけ、リーダーウォークに慣れさせておくとよいでしょう。

 

★『お散歩』に関するワンペディア関連記事は、こちらをご覧ください。

 

 

バーニーズマウンテンドッグの毛のお手入れ

艶のある鮮やかで綺麗な被毛で知られています。寒さから身を守るために被毛は分厚く、そして長くできています。ブラッシングは週に1~2回、また時々はお風呂にも入れてあげましょう。毛量が非常に多いので毎回は大変ですが、丁寧なブラッシングをかけてあげるだけでもだいぶ違います。かなり体力がいる作業でもあるので、トリマーなど専門家に任せるのも良案といえます。

春~夏にかけては換毛期であり、ただでさえ多い毛量の中からごっそりと毛が生え換わります。この時期は頻繁にスリッカーブラシなどでブラッシングを行い、無駄な被毛をこまめに取り除いてあげることで皮膚炎を予防することができます。

 

★『トリミング』に関するワンペディア獣医師監修記事は、こちらをご覧ください。

 

バーニーズマウンテンドッグの毛の色

3色からなるトライカラーが特徴的です。この配色はハウンド・カラーとも呼ばれ、バーニーズ・マウンテンドッグだけでなく、バセット・ハウンドやビーグルにも見られる配色です。胴体はジェットブラック(漆黒)を基調とし、四肢及び胸にリッチ・タン(濃黄褐色)の斑、その他の箇所に個々の白斑が見られます。頭部には左右対称の白斑があり、鼻の周囲にもマズル・バンドと呼ばれる白斑があるのが特徴的です。

 

バーニーズ・マウンテンドッグ

 

バーニーズマウンテンドッグのからだつき

成犬は大型犬に該当します。がっしりとした骨格で、全体的に筋肉質な体つきですが、見た目よりも機敏に動けるのが特徴的です。成犬になるとその性格にふさわしく知的な顔立ちになり、垂れ耳にマズル(鼻の部分)が短いのが特徴的です。ふさふさの尻尾は長く太く、下方に垂れ下がっています。毛は全体的に直毛またはゆるいウェーブがかっており、程よい長さに伸びます。

 

 

バーニーズマウンテンドッグの気をつけたい病気

股関節形成不全は、股関節が緩みやすくなる、または関節炎を発症し、ひどくなると歩行が困難になってしまう病気です。まれに片足のみに発症しますが、両足で発症することが多いです。体重が重い大型犬が発病しやすい病の一つでもありますので、適切な体重コントロールが必要です。

また、山岳地帯に生きていたころの知恵で、肉球の間の毛が大変伸びやすくなっています。そのままフローリングなどを歩くと滑ってしまうため、ここの毛は定期的にカットしてあげるのも重要な予防になります。分厚い被毛をまとっているため暑さには非常に弱く、熱中症には要注意です。

 

★『熱中症』に関するワンペディア獣医師監修記事は、こちらをご覧ください。

 

★犬種別病気ガイド『バーニーズ・マウンテン・ドッグ』も合わせてご覧ください。

 

 

公式データ

JKC分類

2G 使役犬

AKC分類

ワーキング・グループ

原産国

スイス

体高

オス64‐70cm メス58‐66cm

体重

オス41‐54kg メス32‐45kg

 

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股関節形成不全

関節炎

進行性網膜委縮症

熱射病

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