可愛い見た目と、賢くチャーミングな性格で日本では大人気のトイ・プードル。そのルーツは体の大きなスタンダード・プードルから始まったと言われています。ここではそんなプードルの歴史や特徴、毛色による性格の傾向やかかりやすい病気について解説します。
トイプードルの歴史
プードルには、スタンダード・ミディアム・ミニチュア・トイと4つのサイズがありますが、犬種としてはすべて同じプードルになります。
プードルはフランスを原産とする代表的な犬ですが、もとを辿ればロシアやアジア北部が発祥で、ヨーロッパを横断中に地域の犬と交雑しながら広がり、最終的にフランスに入ったと言われています。
プードルの歴史はスタンダード・プードルから始まります。初期のプードルは、オオカミや泥棒から羊を守る護羊犬や、カモ狩りをする水猟犬として働くワーキングドッグ(使役犬)として活躍していました。今から500年ほど前に、ドイツからフランスに水猟犬として入った際には、すでにさまざまなサイズのプードルが生み出されていたと言われていますが、小型化されカットを施されるようになったトイ・プードルは17世紀に貴族たちの間で人気を博し始めたとされています。
トイ・プードルの特徴
トイ・プードルは体長と体高がほとんど同じくらいで、特徴的なカーリーな被毛に覆われています。ジャパンケンネルクラブ(JKC)では、トイ・プードルの体高は24〜28cmが標準で、ワンサイズ大きいミニチュア・プードルは28〜38cmが標準であると定めています。
トイ・プードルは毛が抜けにくいというのも大きな特徴です。毛が抜けにくいということは室内で飼育しやすいだけでなく、病院などを訪問するセラピードッグにも適した犬だと言えます。
トイ・プードルの性格
トイ・プードルはとても頭がよく、運動能力も高い犬種です。また、好奇心が旺盛なのでハンドリングにもとても意欲的。家族に対しての愛情はもちろん、家族以外の人や犬に対しても上手に接する優等生的な性格です。
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トイ・プードルの毛色
トイ・プードルにはさまざまな毛色があり、毛色によって性格に特徴があるとも言われています。もちろん、犬にもそれぞれ個性があるので一概には言えませんが、代表的な毛色と性格の傾向について少しご紹介します。
レッド・アプリコット
現在トイプードルの中でも人気の高いレッドやアプリコット。陽気で元気な性格で、活発に遊ぶのが特徴です。元気な反面、協調性に欠ける部分があり、他のペットとの同居にはあまり向かないと言われています。服従心よりも活発さが勝る毛色なので、しつけに苦戦する場合がありますが、とてもやんちゃで元気な子が多いです。
ブラウン
ブラウンのトイプードルは穏やかでマイペース。独立心があり、飼い主さんに依存しすぎないので一定の距離を保つことが出来ますが、協調性よりもマイペースさが目立つためしつけには根気が必要なことも多いようです。
シルバー
毛色のグラデーションが美しいシルバーは、ブラウンに近い性格だと言われています。「協調性がなくマイペースなタイプ」と「他の犬との調和を重んじるタイプ」に分かれるようで、基本的には飼い主さんに従順な子が多いです。
生まれたばかりの時はブラックに近い毛色をしていますが、成長とともにシルバーへと変化していきます。毛質がとても繊細なので、こまめなブラッシングが必要です。
ブラック
ブラックはとても賢く、運動能力も高いことから、しつけがしやすい毛色とされています。これまでにご紹介してきた毛色は「中間色」と言われるものですが、ブラックは「基本色」で、遺伝子的に安定している個体が多いので、遺伝性疾患を持つ子が少ないと言われています。
控えめな性格で落ち着いているので、初めて犬を飼う方や、多頭飼育にも適しています。毛質は丈夫で硬く、毛量も多いのが特徴です。
ホワイト
ホワイトはブラックと同じ「基本色」のカラーで、安定した性格のため飼いやすい子が多いと言われています。ブラックとの違いは甘えん坊度が高いということ。飼い主さんに甘えることはもちろん、他の犬とも友好的に接することができます。
ホワイトには、純白〜薄いクリームまで幅広いカラーがありますが、いずれにしても汚れは目立ちやすい毛色です。涙やけなども目立ってしまうので、日々のお手入れには少々気を遣うかもしれません。
トイ・プードルを家族に迎え入れたら
トイ・プードルは、日々の被毛のお手入れが特に必要な犬種です。抜け毛は少ないですが、くるくるとカールした毛は実は日々伸び続けています。伸びた毛は毛玉を作りやすいので、週に2〜3回はブラッシングをしてあげましょう。1ヶ月に1回程度の定期的なトリミングも必要です。
また、トイ・プードルは運動能力が高く体力も豊富な犬種です。運動不足はストレスになり、家の中を荒らしてしまったりする原因になります。毎日のお散歩やドッグランなどで、十分に運動させてあげるとよいでしょう。
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トイ・プードルがかかりやすい病気
流涙症
生まれつき、あるいは病気がきっかけで、涙を排出する眼と鼻をつなぐ「涙管」から涙がうまく排出されずにあふれてしまう病気です。眼の周りの被毛は、あふれ出た涙と反応して赤茶色に変化し、「涙やけ」を起こします。原因としては、角膜炎やまつげの異常による涙の分泌量の増加、瞼の異常、涙管閉塞などが考えられ、その原因に対する治療が必要です。あふれた涙を放置してしまうと、そこで細菌が繁殖を起こすなどして涙やけを悪化させてしまうので、眼の周りを清潔に保つことが大切です。詳しくは「犬の流涙症(涙やけ)」を参照してください。
白内障
白内障は、眼の黒目の部分の中にある水晶体が白く濁る病気です。犬の白内障の多くは老化によるもので、7歳を過ぎた頃から白濁し始めるケースが多いですが、トイ・プードルに関しては遺伝的に白内障が多いことが知られているため、2歳以下の若年性白内障を起こすこともあります。また、糖尿病などの全身性の病気に合併して起こる場合もあります。
初期の段階では気付かれないことが多く、進行すると、暗いところで動かなくなった・段差につまずくようになった・物にぶつかるようになったなどの視覚障害が現れることがあります。進行の程度はさまざまなので、生涯視覚を保ったまま生活できる犬も少なくありません。視覚障害や失明を起こしている場合には、専門施設での手術が唯一の根治治療とされています。詳しくは「犬の白内障の症状や予防法」を参照してください。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼は、後ろ足の膝蓋骨(ひざのお皿)がずれたり外れてしまったりする病気です。小型犬に多く、生まれつき膝蓋骨がはまっている溝の部分が浅い犬や、膝蓋骨を支える靭帯が弱い犬で発症しやすいとされています。膝蓋骨脱臼を起こすと、後ろ足をぴょこぴょこと挙げて歩いたり、スキップのような歩き方をしたり、痛みがある足をかばって3本足で歩くようになります。初期段階では、自然と症状が治まったり、痛み止めなどのお薬で改善したりすることが多いですが、進行してしまうと手術が必要な病気です。
肥満になると膝への負担は大きくなります。予防のためにも、適正な体重を維持するようにしましょう。また、足に大きな力が加わった時に発症しやすいので、健康診断などで一度でも膝蓋骨脱臼を指摘されたことがある場合には、階段の上り下りや、高いところからのジャンプは控えるようにしてください。フローリングなどのツルツルと滑る床も非常に危険です。滑りにくいマットなどを敷くようにして、足への負担を減らしてあげましょう。詳しくは『小型犬に多い「膝蓋骨脱臼」とは?治療法と予防法【獣医師が解説】』を参照してください。
レッグカルベペルテス病(虚血性大腿骨頭壊死)
レッグ・カルベ・ペルテス病は、1歳未満の若い犬に見られる、股関節に異常をきたす病気です。原因は不明ですが、大腿骨(太ももの骨)の付け根部分に血液がうまく供給されず、骨頭が壊死してしまうため、「虚血性大腿骨頭壊死」とも呼ばれています。歩く時や体重をかける際に、壊死している大腿骨頭に痛みが出るので、その足をかばうようにして歩くようになります。初期段階では歩き方の変化に気がつきにくいですが、痛みが数週間続くと、かばっている方の足の筋肉が落ちてくるため、左右の太ももの太さに違いが出てくることがあります。また、痛みから元気がなくなったり、震えたりする場合もあります。
壊死した大腿骨頭が再生してくることはないので、根治には大腿骨頭を切除する外科手術が必要です。早期に手術をして、術後にしっかりとリハビリをすれば、また正常に歩くことができるようになります。詳しくは「小型犬に多い股関節の病気の一つ、レッグペルテスとは」を参照してください。
外耳炎
トイプードルは垂れ耳なうえに、耳の中にも毛がたくさん生えているので、外耳炎を起こしやすい犬種です。耳を掻いたりこすりつけたりする、耳が臭う、耳を触るのを嫌がる、頭を振るなどの症状が見られます。外耳炎の原因としては、細菌や真菌、耳ダニなどが耳の中で繁殖して炎症が起こることが一般的です。
また、耳掃除のしすぎも耳の粘膜を傷つけたり、耳垢を鼓膜の方へ追いやったりしてしまうことがあるので要注意。獣医師の指導による正しい耳掃除に加え、点耳薬や飲み薬で治療しますが、重症になると手術が必要になる場合もあるので、早めの対処が重要です。詳しくは「犬の外耳炎」を参照してください。
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外耳炎
大腿骨頭壊死症
膝蓋骨脱臼
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