パピヨンはフランス語で「蝶」という意味である犬種名のとおり、蝶が羽を広げたように大きな耳と飾り毛、絹糸のような美しい毛並みが特徴です。ほっそりした四肢で繊細な印象ですが、明るく活発な性格で運動能力も高く、優雅なショードッグとしてだけでなく、訓練競技や様々なドッグスポーツの世界で活躍しています。
パピヨンのパラメーター
パピヨンの飼いやすさ
お留守番耐性 | ★★★★☆ |
しつけやすさ | ★★★★★ |
必要な運動量 | ★★★☆☆ |
抜け毛の多さ | ★★☆☆☆ |
必要なブラッシング量 | ★★★★★ |
パピヨンの性格
人への人なつっこさ | ★★★★★ |
他の犬への友好度 | ★★★★☆ |
公式データ
JKC分類 | 9G 愛玩犬 家庭犬、伴侶や愛玩目的の犬 |
AKC分類 |
トイ・グループ |
原産国 |
フランス |
体高 |
オス・メスともに28cm以下 |
体重 |
オス・メスともに2~5kg |
パピヨンの性格
明るく友好的で社交性があり、とても人懐っこく愛想の良い犬です。その可憐な外見からは意外なほどに大胆で自己主張も強い方ですが、甘え上手でもあります。愛玩犬の中では群を抜いて運動神経が良く、賢くて順応性も高いため、しつけもしやすいのが魅力です。小型犬にみられる神経質なところもあまりなく、他の犬や人に対し攻撃的な面もほとんどありません。子どもの遊び相手としても最適といえます。また、愛情深い犬なので一人暮らしの方のパートナーとしても最適でしょう。ただ、賢いが故に甘やかすとわがままで攻撃的になり、吠え癖がついてしまうこともあります。
パピヨンの歴史とルーツ
祖先はスペイン原産のトイ・スパニエルの一種と言われています。16世紀頃、ヨーロッパ各国の上流社会で一躍人気となりました。フランスの国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットから寵愛を受けた話は有名で、この時代の貴族の肖像画などには必ずと言っていいほど華やかな貴婦人とともにパピヨンが描かれています。現在のパピヨンは、19世紀以降にフランスやベルギーでチワワやスピッツと交配させて改良されたものです。初期のパピヨンの耳は垂れていましたが、ある時突然立ち耳のパピヨンが生まれるようになりました。現在においても両タイプが認められており、立ち耳のパピヨン(蝶)に対し、垂れ耳はファレン(蛾)と呼ばれます。
パピヨンを飼うときに気をつけたいこと
パピヨンは体臭が少なく、長毛ながら抜け毛が少ないため、とりわけ室内飼いに適しており、飼育する環境は特に心配することはありませんが、屋外での飼育はあまりおすすめしません。活発で陽気な性格なので、毎日適度に運動させ、刺激を与えてあげる必要があります。飼い主の心理を見事に見透かし、飼い主を手玉に取ることがありますので、小さい頃からのしつけはきちんと行いましょう。膝頭をはずしやすいことや、足が細く華奢なので、骨折に要注意です。
★「しつけ」に関する獣医師解説は、
- アイペット獣医師による【うちの子 HAPPY PROJECT】『動画で学ぶしつけ』
- 社会化☞「子犬期のうちに絶対にやっておくべきトレーニング」
- アイコンタクト☞「全てのしつけに必要!愛犬とのアイコンタクト
」 - 失敗談☞「みんなのしつけ失敗談。先輩の失敗から学ぼう!」
- 子犬☞「子犬を迎えたばかりのお家は要注意!そのしつけ、
本当に大丈夫? 」 - ドッグカフェ☞「ドッグカフェでいい子にしてもらうためのしつけ
」 - おいで☞「呼んだら来てくれる「おいで」のしつけ」
- 待て☞「犬のしつけ「待て」はとっても重要!
トレーニングの方法は? 」 - 咬み☞「噛む犬のしつけ方」
- 吠え☞「犬の無駄吠えのしつけ方 <原因別に解説>」
- クレート☞「クレートを好きになってもらってお留守番上手に」
- リーダー☞「怖いボスと頼れるリーダーの違い」
パピヨンの成長
パピヨンの名前の由来である蝶は卵から孵化して幼虫となり、やがてサナギの時代を経て美しい蝶に変身しますが、パピヨンもその成長過程でその姿は大きく変わります。
生後3ヶ月くらいまでの子犬の時代はふわふわコロコロしてとても可愛い時期ですが、生後4ヶ月を過ぎてくると、ふわふわのベビーコートが抜け始め、脚が伸びてくる頃と重なり、ひょろっとして毛がなく、優雅なパピヨンとはかけ離れた、蝶でいうサナギの時期があります。実際に飼われている方の中では「ヤギ期」や「ハゲ期」と呼ぶ方もいます。
生後7ヶ月くらいになると徐々に体の毛も長くなってきて、パピヨンらしく成長していきますが、個体差がとても大きく、1歳くらいでゴージャスなパピヨンに変身してしまう場合もあれば、3歳過ぎまでかかる場合もあります。
パピヨンとお散歩
活発でエネルギッシュな犬なので運動は必要です。1日2回、20~30分程度のお散歩に連れて行ってあげることが理想です。お散歩は肥満予防だけでなく、ストレス解消や飼い主とのスキンシップにもなります。また、他の犬と触れ合ったり、色々な音に慣れたり、社会性を身につけるためにも大切です。
★「お散歩」に関する獣医師監修記事は、
パピヨンの毛のお手入れ
パピヨンは長毛種のため一見お手入れが大変そうに見えますが、基本的にカットは足裏の毛のみでトリミングは不要です。毛玉やもつれができないよう、こまめにブラッシングをしてあげましょう。ブラッシングはピンブラシで行い、コームで仕上げます。毛玉やもつれがあるときはスリッカーを使います。下毛のないシングルコートのため、抜け毛は少ないです。
シャンプーは月に1~2回が目安です。やりすぎはよくありません。ブラッシングをこまめにすれば、それほどシャンプーをしなくても大丈夫ですが、汚れや毛のベタつきが気になってきたらシャンプーのしどきです。タオルドライのあと、ドライヤーを使って完全に乾かします。濡れたままにしておくと風邪や皮膚病の原因となります。
足の裏やお尻の周りなどの毛は伸びたらカットしましょう。足裏の毛が伸びていると滑る原因となります。お尻周りは便などで汚れないようにカットしておくと清潔に保てます。
★「トリミング」に関するワンペディア獣医師監修記事は、
- トリミングの目的☞「意外と知らない、
犬にトリミングが必要な理由 」 - 自宅でトリミング☞「初心者でも簡単!自宅でできるトリミング」
- バリカン講座☞「初心者向けのバリカン講座!
犬の足裏のお手入れ方法 」 - ブラッシング☞「獣医師が解説!犬の正しいブラッシング」
- 足裏ケア☞「もうフローリングで滑らない!愛犬の足裏ケア」
- サロン選び☞「優良なトリミングサロンを選ぶ6つの基準」
- 耳掃除☞「犬の耳掃除。どれくらいの頻度ですればいいの?
注意点は? 」 - シャンプー☞「愛犬がシャンプー好きに!正しい頻度と洗い方」
- 毛並み☞「愛犬の毛並みを良くするためのお手入れ」
- お手入れまとめ☞「愛犬に必要なお手入れまとめ」
パピヨンの毛の色
白地であれば全ての色が認められます。色は大きく分けて、白×茶、白×黒、トライ(白×黒×茶)の3パターンとなります。ボディは白の割合が多いものが好ましいとされています。頭部の中央にある白い模様をブレーズと呼び、幾分広く左右対照であることが好ましいとされています。ブレーズのないものを面かぶりといいます。
パピヨンのからだつき
パピヨンのスタンダードとされる体高は28cm以下で体長の方が体高よりも若干長く、体重は2~5kg程度です。背はまっすぐで、おなかはしまっており、尾はリスのしっぽのように前方にアーチ形をなしています。
絹のような長毛で手足が長く、耳と尾には特に長い飾り毛があり、優美で気品のある姿をしています。大きな立ち耳が特徴ですが、垂れ耳も認められています。
目はアーモンド形で、やや大きめで暗色。歯はシザーズバイト(上の切歯の内側に下の切歯が接する)です。
パピヨンの気を付けたい病気
・眼瞼内反症
パピヨンは先祖犬が大型犬ではなかった上に年月をかけてゆっくりと小型化してきたため、小型犬としては遺伝疾患が少ない犬種と言われています。気を付けたい病気としては、パピヨン特有というよりも、小型犬全般がかかりやすい病気があげられます。このように、華奢なからだつきながら丈夫で病気知らずと言われるパピヨンですが、身軽で活発な故に病気よりも怪我に気をつける必要があります。高いところからジャンプして骨折したり、フローリングで滑って膝のお皿がずれて脱臼したりすることがありますので、無理なジャンプをさせないようにしたり、滑りやすいフローリングにはマットを敷いたりして工夫してあげてください。
★犬種別病気ガイド『パピヨン』も合わせてご覧ください。
★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、犬種など、
膝蓋骨脱臼
骨折
★『子犬期』に関するワンペディア専門家監修記事は、こちらをご覧ください。
- 健康チェック☞「成犬とはどこが違う?
子犬の健康を細かくチェックする方法とは? 」 - 注意すべき病気とケガ☞「子犬は絶対に気をつけて!
注意すべき病気と怪我 」 - 低血糖症☞「子犬は要注意!短時間で死に至る「低血糖症」とは」
- 水頭症☞「1歳未満の子犬に多い水頭症とは?
治療法と飼い主さんができること 」 - 胃液を吐いた☞「子犬が黄色っぽい液体を吐いた!原因と対処法」
- 骨折☞「子犬の骨折が発生しやすい月齢は? 発生しやすい3大要因と予防策」
- 環軸亜脱臼☞「子犬がかかりやすい、環軸亜脱臼」
- お部屋☞「子犬のためのお部屋作り」
- しつけ☞「子犬を迎えたばかりのお家は要注意!そのしつけ、
本当に大丈夫? 」 - トレーニング☞「子犬期のうちに絶対にやっておくべきトレーニン
グ 」 - トイレトレーニング☞「子犬のトイレトレーニング、
失敗しても大丈夫! 」 - パピーパーティ☞「他の子犬たちと出会えるパピーパーティーとは
」 - 父犬の役割☞「子犬育ての参考に!お父さん犬の隠れた役割」
- 社会性☞「子犬に社会性を身につけてもらうために!」
- お散歩デビュー☞「獣医師がわかりやすく解説!初めてのお散歩」
- ドッグランデビュー☞「その子犬、
ドッグランに連れて行っても大丈夫? 」 - 夜鳴き☞「子犬が夜鳴きするのはなぜ?夜鳴きの対処方法」
- 食糞☞「子犬の食糞の理由や予防対策」
アイペット獣医師
詳細はこちら