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一頭目を飼い始めて、多頭飼いにも興味を持ちはじめる人は少なくないと思います。「もっと犬に囲まれて暮らせたら、幸せだろうな」「他にも犬がいたら、この子のお留守番も寂しくないかな」など、思うことはさまざまですが、多頭飼いを始めると、やはり今の犬との暮らしに比べて注意すべき点が多くなります。ここでは、多頭飼いで新しく犬を増やすとき、気になる点や注意すべき点とは何か、についてご紹介します。

多頭飼いのメリット・デメリット

多頭飼いのメリット

多頭飼いは、きちんと行えば飼い主にとっても犬にとってもメリットがあります。

言うまでもありませんが、飼い主にとってはたくさんの楽しさや幸せを得られるという大きなメリットがありますね。

一方、犬にとってのメリットとして一番大きいのは、社会性が身に着くことでしょう。一頭のみの飼育の場合、犬は飼い主に甘やかされることが多く、結果として「この家のリーダーは自分だ!」と思うようになったり、人や他の犬に攻撃的になったりします。しかし多頭飼いの場合は、他の犬と一緒に生活するため、飼い主の過保護な接し方が改善されやすくなるほか、犬としての社会性が養われます。そのため多頭飼いの犬は、協調性があり、問題行動を起こしにくいお利口さんが多いといわれています。

多頭飼いのデメリット

デメリットについても飼い主と犬の両方にあります。

まず、飼い主には金銭、スペース、体力など、さまざまな面で一頭のみの飼育時に比べて大きな負担がかかります。また、無駄吠えなどのしつけを徹底できていないと、すべての犬が連鎖的に吠え始めるなど、近所迷惑となってしまう場合もあります。

そして犬にとっては、特に初期で、大きなストレスとなることが多いです。先住犬がいて追加で犬を飼う場合は、多頭飼いを始めるまでたくさん飼い主に可愛がられていたときほど、先住犬のストレスは大きくなり、新しくきた犬に攻撃的になったり、食欲不振などの体調の変化がみられたりする場合もあります。

環境には余裕が必要

多頭飼いをするには、必要な費用、飼育スペースは頭数に比例して増加します。経済面では、予防接種や病気になった時の治療費、また食費や手入れなどに必要なお金が今までの倍になります。また、多頭飼いができるほど住環境に余裕があるかどうかも重要なポイントとなります。ペットOKのマンションでも、多頭飼いができるほどスペースに余裕がない場合も少なくありません。

また、「留守をしがちなので、お留守番の時犬が寂しくならないように新しく犬を飼いたい」と考えている方も、少なくとも多頭飼いを始めたばかりの時期は、一頭飼いのときよりもたくさんの時間が必要ということを理解しておきましょう。最初に犬同士を慣れさせる段階では、飼い主の方が目を離さずに犬たちを見張っていなければなりません。

性別・体のサイズ・性格の相性を考える

次に考慮すべきポイントが、飼う犬同士の相性です。組み合わせのバリエーションとその特徴を飼いやすさ順にまとめました。

性別の組み合わせ

オスメスどちらもいる

競争が起きにくいため性格上は最も飼いやすい。ただ繁殖を望まないならば避妊・去勢手術を行う必要がある。

すべてメス

同性のため競争が起きる場合があるが、オスに比べ気性が穏やかなため飼いやすい。

すべてオス

年齢差が小さく、穏やかでない犬がいる場合、順位付けなどのトラブルが起きやすい。去勢済みであったり、年齢的・性格的に落ち着いた犬ばかりならうまくいくこともある。

体のサイズの組み合わせ

同犬種同士

体のサイズや気質の差が生じにくいため、飼いやすい。ただし、柴犬などの日本犬やブルドッグなどの闘犬同士は好戦的な面があるため、複数飼うと喧嘩などのトラブルにつながる場合もある。

同程度のサイズ同士

運動能力の差が少なく、ケガなどのトラブルが少ない。

サイズに差がある

大きいほうの犬が小さいほうの犬をケガさせるなどのトラブルが生じる場合がある。また、散歩の際の運動量や歩幅の違いを考慮する必要がある。

性格の組み合わせ(例)

おっとり×おっとり

喧嘩が起きにくく、飼い主としても飼いやすい。しかし知らないうちにストレスを溜めていて、突然体調を悪くする可能性もあるので注意。

やんちゃ×やんちゃ

みんな攻撃的でなく、あくまで遊び好きなだけなのであれば、にぎやかで楽しい生活になる。飼い主が制御をするのに苦労することもある。

おっとり×やんちゃ

競争は起きにくいが、やんちゃな犬がおっとりした犬を追いかけまわして、やんちゃな犬のストレスになることがある。

攻撃的もしくは犬嫌いの犬がいる

用心深く慣らしてあげれば多少改善するが、他の犬やその犬自身が大きなストレスを抱えてしまう場合は、犬同士の居住空間を分けるなどの対処が必要になる。

なお、これらの相性は個体差があります。可能であれば、新しく迎える予定の犬を先住犬と会わせてみて、相性を確認するとよいでしょう。

先住犬の状態を確認しよう

先住犬がいて追加で犬を飼う場合、まずは今いる犬が本当に多頭飼いに適しているかを考慮する必要があります。次に挙げる点を満たす先住犬は、多頭飼いをしてもほとんど問題がないでしょう。満たさない点が多い場合は、できればある程度改善した上で多頭飼いを始めましょう。

年齢的に落ち着いている

子犬のころからよほどいい子である場合以外は、先住犬のしつけがきちんと完了してから次の犬を飼った方がよいでしょう。なお、先住犬が老犬のときは、若い犬を迎えて活気がよみがえる場合と、疲れてストレスをためる場合の両パターンがあるようですので、犬の性格をよく考慮する必要があります。

トイレ・無駄吠えなど基本的なしつけができている

先住犬がきちんとしつけられていれば、親犬のように後から迎えた犬にルールを教えることがあるようです。

自立できていて、甘えんぼうすぎない

もともと過度に甘えんぼうな犬では、新しい子にヤキモチをやいて攻撃的になったり、体調を崩したりすることもあります。

攻撃的でない

他の犬に対して噛みつくなどの問題行動がないことは重要です。

他の犬とうまく接することができる

他の犬が好きで、かつ相手にストレスを感じさせるような行動がみられない犬であれば完璧です。

 新しい犬を迎えたら

特に初期は愛情が偏らないように

多頭飼い初期に新しい犬が見知らぬ環境で多少のストレスを抱えているのはいうまでもありませんが、先住犬もストレスを抱えています。自分のテリトリーだと思っていた家の中に、突如若い犬がやってきたら、そしてその犬が家族の注目を集めていたら・・先住犬はヤキモチをやいてしまいます。かといってその逆でも、新しい犬は疎外感を感じてしまうので、飼い主がうまく愛情のバランスをとることが重要です。なお、多頭飼いの場合はより順位の高い先住犬を立てたほうがよいという説がありますが、その説が必ずしも正しいわけではないようです。重要なのは、先住犬と新しい犬の両方がストレスを溜めにくくなるように気をつけることです。

すべての犬に「ひとりになれる空間」を用意する

多頭飼いの際は、頭数分のケージまたはサークルを用意しましょう。ケージは犬が最も安心できる場所であり、何かあった時に落ち着ける場所です。また、新しい犬がやってきてすぐの時期は、このケージなどをうまく利用しましょう。ケージを使って犬がひとりになれる時間を十分に確保し、徐々に犬同士を接触させていきます。最初は数分のご挨拶から始めて、数日をかけて犬同士が一緒に生活することに慣らしていきましょう。

多頭飼いの食事は?

多頭飼いで犬たちにフードを与えるときは、それぞれケージの中で与える場合と、ケージの外でみんな一緒に与える場合があります。ケージの外で与える場合は、食事量の調節ができるように頭数分の食器を用意しましょう。この際、犬が他の犬の分の食事も食べてしまう、などのトラブルがないかきちんと監督しておく必要があります。もしそのようなことがあれば、ケージで別々に与えるようにするなどの対処法を考えなくてはなりません。

多頭飼いの散歩は?

きちんとしたしつけで、楽しくにぎやかなお散歩を!

きちんとしたしつけで、楽しくにぎやかなお散歩を!

散歩のしかたも千差万別で、一頭ずつ行く飼い主の方もいれば、二頭一緒に行く方もいます。犬のサイズに大きな差がある場合は運動量が異なるため、一頭ずつ行くというのも一つの手段です。二頭一緒に散歩をする場合、時間と手間は短縮できますが気をつけるべきことがあるので、そちらをご紹介します。

しつけが重要

散歩の際に一頭一頭がいろいろな方向に動いてしまうと、大変な思いをするのは飼い主です。特に大型犬は力が強いため、一回の散歩のたびに飼い主がへとへとになってしまいます。犬がリードを引っ張ってしまうようなら、まずは一頭ずつ外に連れて行って散歩のしつけを行いましょう。最終的に、飼い主の横について歩ける段階になるとたいへん楽でしょう。

グッズに工夫を

二頭の場合は、二頭用のY字リードを使ってみるとよいかもしれません。このリードが、犬につなぐ部分が二股になっています。そのため飼い主は1本のリードを操作するだけでよく、犬それぞれが勝手に別の方向に行ってしまうこともありません。慣れないうちはこのようなリードを試してみてもよいでしょう。

伸縮性のリードは避ける

長さの調節できるタイプのリードは、一頭のときには便利な反面、意図しないタイミングでリードが伸びてしまい、事故につながる恐れもあります。また、ですが、複数頭で同時に使うと絡まりやすく、飼い主が身動きをとれなくなる恐れがあるので、やめたほうがよいでしょう。

一頭の犬でも飼い方はその犬によって大きく異なるのですから、多頭飼いの場合の飼い方はもっとバリエーションが豊富になります。多頭飼いを始めてみるまで思いもよらなかったようなことが起きるかもしれませんが、そういったハチャメチャさが多頭飼いのよいところといえるのかもしれませんね。

アイペット獣医師

ワンペディアの運営会社であるアイペットに在籍している獣医師チーム。臨床経験...

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