大きなからだと広い心で飼い主さんに安らぎを与えてくれる大型犬。小型犬とは一味違う魅力の虜になる方は多いのではないでしょうか。抱きしめたときのモフモフ感や、一緒に思いっきり体を動かせる楽しさは、大型犬ならでは。

しかし大型犬と暮らすためには、相当な体力と時間と覚悟が必要であることを理解しておく必要があります。今回は大型犬のお世話の大変さや、実際に大型犬と暮らす前に知っておいてほしいことをご紹介します。

 

大型犬との暮らしで大変なこと

大型犬は非常に賢く、しっかりトレーニングをすれば、とっても素敵なパートナーになってくれるでしょう。ただし体が大きい分、大変なことはたくさんあります。まず、持っているパワーがケタ違い。

 

 

「お手」はグーパンチ並の重たさですし…

 

 

 

パタパタ振るしっぽは一振りで花瓶をなぎ倒す威力を持っています。

 

 

 

もしあなたが小型犬と暮らしているなら、同じように考えてはいけません。

 

 

全力の体当たりも…

小型犬

 

大型犬

 

 

 

抱っこをするのも…

小型犬

 

大型犬

 

規模がとにかく大きいのです。

 

大型犬の威力 ~お散歩編~

時間と体力と距離が必要

 

 

朝晩、それぞれ1時間以上のお散歩が必須です。しっかり体を動かせてあげてください。セント・バーナードバーニーズ・マウンテン・ドッグなど、犬種によっては走るのが苦手な子もいますので、その子の好みを理解した上で、満足度の高いお散歩をさせてあげるといいでしょう。

ちなみに大型犬はリードをひく力も強いので、お散歩中は気を抜かないようにしましょう。特にお散歩トレーニングが完了していない場合は、興味のあるものにグイグイ寄っていこうとするので、相当な体力が必要となります。

お散歩の時間が取れなかったり、体力に自身がない場合は、大型犬との暮らしは諦めた方がいいです。十分体を動かせないでいると、ストレスから吠えたり物を壊すなど、問題行動をするようになってしまいます。

車があると安心

 

 

遠くまで出かけたはいいものの、たまに歩きたくないモードになることもあるので要注意。どんなに引っ張っても、頑なに動かないことがあるんです。抱っこしてつれて帰ろうにも、20~30kg近くの重さがあり、抱えて歩くことはさすがに無理…。こんなとき、車でお迎えに来てくれる人がいると安心です。

また、体調が悪くて病院に連れて行かなくてはならない時も、車があったほうがより安心ですよね。大型犬はキャリーバックに入れられるようなサイズではないので、基本的に公共の乗り物を使って移動することはできません。どうしても車が用意できない場合は、もしものことを考えて、ペットタクシーなどをあらかじめ調べておいたほうがいいでしょう。

 

大型犬のお散歩はなにかと大変ですが、きちんとトレーニングができれば、今までにない楽しみを与えてくれるでしょう。公園でのフリスビー以外にも、一緒に山の中を駆け回ったり、雪の中を走り回ったりすることもできます。体を動かすのが好きな人には、とっても楽しい日々を与えてくれるはずです。

 

大型犬の威力 ~ごはん編~

からだが大きいので、当然ごはんもたくさん食べます。小型犬と比べるとその差は歴然。小型犬が必死にパクパク食べるところを、一口で平らげてしまいます。もちろん食費もかさみますので、その費用もきちんと計算した上で、一緒に暮らせるかどうかを検討しなければなりません。

小型犬

大型犬

 

 

 大型犬の威力 ~お手入れ編~

大きな体をシャンプーしてブローするのはとても大変。トリミングサロンなどにお願いすると、一回でだいたい7,000円~10,000円くらいかかります。乾かすにも時間がかかるので、自宅でシャンプーをするのも一大事。そういった時間も楽しめる方にはオススメです。

小型犬

 

大型犬

大型犬ならではの制限

利用できる施設に限りがある

最近はペットと一緒に出かけられるスポットが増えていますが、大型犬NGなところは意外と多いもの。ペットと一緒に泊まれる宿やドッグカフェなどの施設、さらにはしつけ教室でさえも、大型犬はお断りされてしまう場合があります。一緒にのびのび過ごせる場所を探すには、少し苦労をすることもあるかもしれません。

理不尽なことへの我慢が必要

大きいだけで怖がられる

どんなにきちんとしつけをしていても、大人しく飼い主さんの横を歩いていても、大きいというだけで怖がられることは多いです。愛犬のことを怖がられるのは、あまり気持ちのいいのものではありませんが、そういう人たちへの配慮を忘れないことも大切です。

小型犬

 

大型犬

向こうが悪くても我慢

大型犬は体が大きく、力が強いからこそ、どんなことがあっても絶対に攻撃行動をさせてはいけません。小型犬に挑発されても、小さな子どもに乱暴されても、おとなしく耐えなければならないのです。ちょっとした威嚇さえ、非難の対象となることもあります。他の犬や子どもがいるような環境では、愛犬を守るためにも、必ず目を離さないことが大切です。

 

 だからこそ必要な正しいトレーニング

 

「伏せ」や「待て」などの基本的なコマンドを完璧に習得させるのはもちろんのこと、お散歩中のトレーニングや無駄吠えのトレーニングなど、大型犬には幅広いトレーニングが必要となります。愛犬も飼い主さんも周囲の人も、みんなが快適に暮らすためには、トレーニングはとっても大切。

 

どのようなトレーニングが必要なのか、正しいトレーニング方法はどんなものなのか、一人で全てを勉強することはなかなか難しいと思います。また、間違ったトレーニングによって問題行動をするようになってしまうこともあるので、ぜひ専門のトレーナーさんを頼ってみてください。

ちなみに、トレーナーさんを選ぶときは、「愛犬と飼い主さんが一緒にトレーニングできる」ところを選び、「愛犬に体罰を与えたり、リードを強くひくようなトレーナーさんは避ける」ように気をつけてくださいね。

なによりツライのは、お別れが早いこと

大型犬は小型犬よりも年をとるのが早く、その分平均寿命も短くなります。一緒に暮らせる時間が短いことはとてもつらいこと。できる限り楽しい時間を一緒に過ごせるように、健康にはしっかり気を使ってあげてください。

 

 

大型犬と暮らすには、たくさんの時間とお金、体力が必要になります。しかし、体が大きい分、与えてくれる楽しみもとっても大きいもの!たくさん愛情を注いであげて、素敵な大型犬ライフを楽しんでくださいね!

 

犬種別飼い方ガイド「大型犬」

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菊池 亜都子
東京大学附属動物医療センター 行動診療科

菊池 亜都子

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