最古の犬種と言われるサルーキ。その歴史は紀元前6000年頃のシュメール文明まで遡り、犬を飼う習慣のないイスラム教の国でも、神から遣わされた特別な存在として、古代の王族たちから寵愛を受けた特別な犬種であると言われています。
ここではそんなサルーキの歴史や特徴、性格、一緒に暮らす上での注意点、気をつけたい怪我や病気について詳しく解説します。

サルーキの歴史

サルーキは、現存するすべての犬種の中でもっとも古い犬種です。イスラム教では犬は不浄の動物とされているため、中東を原産とする犬種は極めて希少ですが、その中でサルーキはとても特別な存在として扱われてきました。
サルーキの起源は、現在のイラク南部にあったシュメール文明(紀元前6000年)まで遡ると言われています。当時の遺跡からはサルーキに酷似した犬の彫刻が発見され、紀元前2100年ごろの古代エジプトのファラオの墓からは、サルーキそのもののミイラが発掘されたことから、人と暮らした最古の犬種と言われるようになりました。このように、犬は不浄の動物とされる中東諸国でも、サルーキは「アラーの神から遣わされた特別な犬」として人と同じ場所で眠ることを許され、エジプトの王族と一緒に埋葬された歴史があります。
また、サルーキは持続70kmものスピードで走ることができ、ガゼルの狩猟犬としても活躍してきたため、「ガゼル・ハウンド」や「ペルシアン・グレーハウンド」という別名も持ちます。そんなサルーキは長い歴史の中で、中東の各地域で暮らす遊牧民族に飼育され、その土地で行われる猟に合わせて進化を遂げてきました。そのため、サルーキは同じ犬種の中でも地域ごとに特徴を持つようになりましたが、そのバリエーションをまとめてスタンダードとなる犬種がつくられたのは1923年のこと。この年にイギリスケネルクラブに正式に登録され、1927年にはアメリカンケネルクラブに登録されました。

サルーキの特徴

 

サルーキは優れた視覚と走力を使って獲物を捕らえる「サイトハウンド(視覚ハウンド)」と呼ばれるグループに属します。
一切の無駄のないスリムなボディラインと優雅な飾り毛が特徴で、四肢は細長く、気品が感じられる見た目をしています。

大きさ

サルーキの体重は15〜25kgの大型犬で、ジャパンケネルクラブ(JKC)では平均体高は58〜71cmと規定しています。

被毛・毛色

中東原産のサルーキの被毛は、上毛のみからなるシングルコートで、強い紫外線や寒暖差から体を守りつつ速く走れれるよう、体幹に張り付くように生えています。毛質は飾り毛(フェザリング)をもつフェザードと、飾り毛のないスムースの2タイプがあります。
毛色はホワイト、ゴールド、クリーム、フォーンなどの単色に加え、タン・マーキングをもつタンカラー、3色からなるトライカラーなど多くのカラーが認められています。ただし、虎毛のようなブリンドルだけは好ましくないとされています。
長い歴史の中で遊牧民族とともに各地域で発展を遂げてきたことが影響し、毛質や毛色に様々なバリエーションが存在するのもサルーキの魅力の一つです。

寿命

サルーキの平均寿命は12〜14歳で、大型犬の中では比較的寿命の長い犬種です。

サルーキの性格

サルーキは知的で落ち着きのある犬種ですが、やや繊細でプライドの高い一面もあります。家族には深い愛情を示しますが、家族以外の人や動物と接するのは得意ではありません。
また、狩猟本能を持つサイトハウンドなので、遊びや屋外での運動となるととても活発に動きます。

一緒に暮らす上での注意点

走ることが大好き

狩猟犬であったサルーキは走ることにとても長け、運動欲求も高い犬種です。
散歩は1回30分以上・1日2回を目安に、時々はドッグランなどで思い切り走らせてあげましょう。ただし、時速70kmにも達する走力を持つサルーキは、脱走の危険性も高い犬種です。外に出る際には、リードがしっかり着けられているか確認することがとても重要。また、万が一リードが緩んでしまった際にも必ず呼び戻せるよう、日頃からトレーニングしておきましょう。

寒さは苦手

スリムなボディラインをもつサルーキは皮下脂肪が少なく、寒さは苦手な犬種です。寒い時期の散歩には、洋服の着用がおすすめです。

飾り毛のコーミングは念入りに

体臭や抜け毛の少ないサルーキは、被毛のお手入れはしやすい犬種といえます。ただし、飾り毛のあるフェザードタイプは細く絡まりやすい毛質なので、コームなどで週に1〜2回は優しくとかしてあげましょう。

注意したい怪我や病気

 

サルーキは遺伝性の病気が少ない犬種と言われています。
ここでは、日常生活で気をつけていただきたい怪我や病気をご紹介します。

骨折

俊足のサイトハウンドは、速く走るために皮下脂肪はあまり持たず、特に細長い四肢は転倒などの大きな衝撃に非常に弱い特徴があります。高さのあるソファからのジャンプや車への乗り降り、滑りやすい床や足場の悪い地面などで転倒すると骨折してしまう危険性があります。屋外での遊び方や家具のレイアウトを工夫し、激しいジャンプをさせないことなどに気をつけて生活しましょう。特に成長期の子犬(1歳以下)は骨折しやすいので、十分に気をつけてあげてください。

外耳炎

大きな垂れ耳を持つサルーキは、立ち耳の犬種に比べて耳の中が蒸れやすく、外耳炎を起こしやすい犬種です。特に高温多湿の夏季は、耳の中で細菌や真菌などが繁殖しやすいので要注意。耳をよく掻く・首をよく振る・頭を床などに擦り付ける・耳から臭いがする・耳垢が増えた・耳の内側が赤い、などの症状がみられたら、早めに動物病院を受診しましょう。
外耳炎を予防するには、日頃から耳の内側をよく観察し、週に1回程度はイヤークリーナーを使って表面を優しく拭ってあげると良いでしょう。おうちで耳のお手入れをする場合には、綿棒を使うと耳垢を奥に押し込んでしまったり、粘膜を傷つけてしまう恐れがあるので使用せず、コットンなどで優しくお掃除してあげましょう。

フクナガ動物病院 獣医師

福永 めぐみ

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