アイペット損害保険株式会社では、犬・猫飼育者の1,015名を対象に、 ペットのための防災対策に関するアンケート調査を実施(※)しました。ワンペディアでは、2022年で5回目となる、この調査結果のポイントをお伝えします。

 

※調査概要
調査対象:全国の犬・猫飼育者 調査人数:男女1,015名 調査期間:2022年2月3日~11日
調査方法:インターネットによるアンケートを実施

 

 

最寄りの避難所がペットを連れて避難できるかを知っていますか?

自宅の最寄りの避難場所を知っている方に 「その避難場所がペットを連れて避難できるか、できないかを知っているか」を尋ねたところ、 「知っている」と回答した方は25.4%にとどまり、 「知らない」との回答が7割以上を占めました。

 

「知っている」と回答された方は、 「避難場所のペットの受入れ体制がわからない」方は14.7%と、 8割以上が受入れ体制まで把握されていました。 

 2021年と比較すると、 「建物の中に一緒に入ることもできる」と回答された方が5ポイント増えた一方で、 「建物の中に一緒に入ることはできない」が半数以上となっており、 依然として、 避難場所のペットの受入れ態勢については課題を感じる結果でした。まずは、お住まいの市区町村ホームページ等で、ペット同行避難のルール確認をしておきましょう。

 

 

避難生活での心配事は「他人や他のペットとのトラブル」

 「ペットと一緒に避難生活を送ることを想定した場合、 ペットに関する心配事」を尋ねたところ、 犬・猫飼育者とも他人や他のペットとのトラブル」「慣れない場所でのトイレが上位で、 2021年(昨年)と同様の回答でした。 避難生活の心配事は、 犬・猫飼育者共通のようです。

 

 

「同行避難」の認知進まず、 半数近くが理解していない現状

 

<提示した文章>

災害の発生時に、 飼い主が飼養しているペットを同行し、 指定緊急避難場所まで避難すること

 上記の文章を提示し、 それが「同行避難」「同伴避難」どちらに当たるかを尋ねたところ、 正解の「同行避難」を選択した方は51.9%で、 昨年(55.7%)と比べ3.8ポイント減少し、 内容を理解していない人が半数近くにも上るという結果となりました。自然災害の多かった2021年に微増した認知・理解度は、 2020年(51.8%)と同水準となり、 周知が進んでいないことがうかがえます。

 

人とペットの災害対策ガイドライン (環境省)によると、

同行避難:避難所までペットと一緒に避難する避難行動。

同伴避難:被災者が避難所でペットを飼養管理すること。(☞同室での飼養管理とは限らず、飼養環境は避難所等によって異なる点に注意

と解説されています(9ページ参照)

 

続いて、 「災害時ペットは飼い主との「同行避難」が原則とされていることを知っているか」の問いに対しては、 「知っている」と回答した方は19.2%にとどまりました。特に猫の飼い主さんは、 8割強が「知らない」と回答し、 室内飼いメインの猫飼いさんにとっては、 「在宅避難」を選択する意識が高いことがうかがえます。

「在宅避難」は、『地震などの災害の際には、まず、より安全な場所に緊急に避難するが、その後に自宅の安全性が確認され、自宅で継続して居住できると判断した場合に、避難所などのような他所ではなく、自宅で避難生活を行うこと。避難生活の基盤が自宅にあれば、食事や入浴などの支援を避難所等で受けていたとしても在宅避難にあたる。なお、災害時に被災者が集中し、指定避難所への収容が困難になる可能性がある大都市部などでは、強固な建築物などに居住する住民に対しては、在宅避難を薦めている自治体もある。』と、人とペットの災害対策ガイドライン (環境省)で解説されています。「在宅避難」を選択する場合でも、「より安全な場所にペットと一緒に移動する」ことを想定し、その方法を平時に検討しておくことが大切です。

 

2021年(昨年)より、 環境省は各自治体向けにペットの受入れ態勢などについてのチェックリストを作成するなど、 「同行避難」に関する態勢整備や周知などを強化しており、 「原則認知」については微増しておりますが、 ペット飼育者への理解浸透という点については、 課題を感じる結果となりました。下記をご覧いただき、ご家庭での備えを進められてください。

 

ペットの災害対策(環境省)

ペットを飼っている皆さまへ~災害時のペットとの同行避難について~(環境省)

人とペットの災害対策ガイドライン~一般飼い主編~(環境省)

人とペットの災害対策ガイドライン~自治体向け(環境省)

 

 

ペットのための防災対策をしている飼い主さんは約2割

「災害を想定して、 ペットに関する防災対策を何かしているか」を尋ねたところ、 何かしらの対策をしている飼い主さんは19.6%で、 2021年(昨年)に比べ2ポイント減少しました。 犬の飼い主さんの回答では「「待て」や「おすわり」など基本的なしつけができている」、 猫の飼い主さんの回答では「ペット用の防災グッズを揃えている」が最多となりました。

  

★「しつけ」に関する獣医師解説記事は、こちらをご覧ください。

 

また、 2021年(昨年)の調査と比較すると、 災害時の迷子対策として有効な「マイクロチップの装着」については、 特に犬の飼い主さんで減少(昨年、22.2%)しており、 2022年6月からマイクロチップ装着が義務化されますが、 災害対策としての装着意識は低いことがうかがえます。

 

 

また、 犬の飼い主さんでは「近隣のペットと避難できる避難所を調べた、 または確認した」「在宅避難ができるよう、 家具やケージ固定、 落下防止などペットのための防災対策によって自宅の環境を整えている」、 猫の飼い主さんでは、 「普段から他人や他人のペットに慣れさせている」「ペット用の防災グッズを揃えている」がそれぞれ大幅に増加しました。

 

備えているペットのための防災グッズは?

「ペットのために現時点で備えている防災グッズ」を尋ねたところ、 犬・猫の飼い主さんともに「フード(おやつ含む)・飲料水」「トイレ用品(猫砂を含む)」が上位となりました。 次に多かったのは、 犬の飼い主さんは「リード」、 猫の飼い主さんは「ケージやクレート」で、 昨年と比較して大きく増加した項目は、 犬飼育者は「常備薬・療養食」、 猫飼育者は「ペットの保険証・健康手帳」でした。

 

*ワンペディア獣医師監修の関連記事も合わせてご覧ください。

突然の災害!犬のために備えるべきこととは?

災害が起きたとき、避難場所で気をつけること

犬のリードの種類と選び方

首輪とリードに慣れてもらうには?

犬につけるのは首輪?それともハーネス? それぞれのメリット・デメリットとは

 

 

マイクロチップ装着率は2割強、義務化を知らない方も4割近くに

2022年6月より施行されるマイクロチップ装着義務化(既に飼われている犬や猫については「努力義務」)を前に、 「マイクロチップ装着が義務化されることを知っているか」を尋ねたところ、 「知っている」と回答した方は57.3%で、 4割近くは、 「知らない」と回答しました。

 

マイクロチップ装着義務化を「知っている」と回答した方へ「どこから情報を得たか」を尋ねたところ、 犬・猫の飼い主さん共に「テレビ」が最多となりました。 施行を前にニュースやテレビ番組で特集が組まれる機会も増えており、 そこから情報を得た方も多いようです。 なお、 行政・自治体が発信している情報から得た方は、 犬飼育者で5.9%、 猫飼育者で、3.3%にとどまりました。

 

また、現在の装着有無についても尋ねたところ、 装着率は全体で23.8%、犬の飼い主さんで31.2%となり、 2021年(全体25.4%、犬32.6%)に比べると微減しました。 特に猫の飼い主さんは、 犬の約半分となる15.3%(2021年16.8%)にとどまっており、 ペットショップで迎え入れるよりも「拾った、 迷い込んできた」も多いと言われている入手経路が影響を与えている可能性も考えられます。

 

 

続いて、 装着目的を尋ねたところ、 犬・猫とも「装着されていたペットを迎え入れた」がトップで、 昨年よりも8ポイント増加しました。 またこの3年の推移を振り返ると、 「装着されていたペットを迎え入れた」は、 一昨年も同様に増加しており、 この2年で約16ポイント増加しました。

 

同じく犬・猫飼育者別では、 犬の飼い主さんが、 2021年から9ポイント増加しており、 この2年で18ポイント以上増加しました。 猫の飼い主さんでは、 この2年で約13ポイント増加しています。2022年 6月の義務化施行を前に、 販売元などでの対応が一段と進んでいることがうかがえます。

 

 

また、 「装着していない」と回答した方を対象に、 今後装着の可能性を尋ねたところ、 「検討しない」が全体の6割を超えました。 「検討しない」理由では、 犬・猫の飼い主さんとも、 「必要性を感じない」「痛そう、 かわいそうだから」が上位となりました。 その他自由回答では、 「高齢のため」「持病があるため」「寝たきりのため」などペットの年齢や体調を気づかう声の他、 「どこで装着できるのか不明なため」との声もあがりました。マイクロチップについて、ワンペディアの関連記事「マイクロチップは義務になったの?メリットやデメリット、費用についてもご紹介!」も合わせてご覧ください。

 

2022年6月には、 販売用の犬や猫へマイクロチップの装着を義務づける改正動物愛護管理法が施行されます。 既に飼っている方は、 装着は努力義務となりますが、 マイクロチップは、 飼い主の責任を明確にし、 捨て犬や捨て猫を防ぐ狙いがある他、 災害時には、 迷い犬・猫の発見にも有効な手段になると言われており、これを機会に、 検討される方が増えていくことが期待されます。

東日本大震災から10年の節目となった2021年、 環境省では各自治体向けにペットの受入れ態勢などについてのチェックリストを作成し、 「同行避難」への態勢整備や周知などを強化しており、 ペットと共に安全に避難できる避難場所は少しずつ増えています。その一方で今回の調査では、 「同行避難」に関するペット飼育者への理解・浸透という点で課題を感じる結果となりました。

 万が一の時、 大切なうちの子を守れるよう、 行政が発信する情報に耳を傾けるとともに、 有事の際にペットとどのような行動をとるべきか、 様々な選択肢を想定し、 災害に対する備えを万全にしておきましょう。

 

 

(参考)ペットの防災コンテンツ 青森県の避難所情報を共有
みんなで作る!人とペットの避難所MAP FOR AOMORI

アイペット損保では、2019年10月に青森県と動物愛護に関する連携協定を締結し、同県との取組みの中で、県内在住のペット飼育者が、災害時にペットと一緒に安全に避難するための避難所情報を共有するための「避難所マップ」をウェブ上で公開しています。マップ上では、ペットと一緒に過ごすことができる「同伴避難OK」の避難所など、県内すべての避難所を確認でき、県民自らがペットの受入れ態勢の情報を確認して登録する「参加型の仕組み」となっています。2019年の開始当初約40カ所だった青森県内の同伴避難ができる避難所は、現在では94カ所(2021年3月現在)にまで増加しています。

 

★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、犬種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べることができる『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  

再発しやすい

長期の治療が必要

初期は無症状が多い

命にかかわるリスクが高い

生涯かかる治療費が高額

高齢犬に多い

病気の進行が早い

緊急治療が必要

入院が必要になることが多い

かかりやすい病気

他の犬にうつる

人にうつる

予防できる

子犬に多い

 

アイペット損害保険株式会社

ワンペディア編集部

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