日本の友人がスウェーデンの我が家に遊びに来てくれたときのことです。スウェーデンの犬事情に興味がある人だったので、地元のドッグトレーニングスクールを案内することにしました。スウェーデンではスクールの授業の合間に、よくフィーカ(スウェーデン語でコーヒー・ブレーク)が入るのですが、大抵の人はその時間に、車で待機している犬を外に出してトイレをさせてあげたり、脚を伸ばさせてあげたりします。それを見た日本の友人は「みんな頻繁に犬を車から出してあげるんだね〜」と感心したように言いました。

犬を外に連れ出すよう定められた法律

ドッグトレーニングスクールの時以外でも、スウェーデン人はこまめに犬を外に連れ出そうとします。それは家にいる犬に対しても然り。『動物福祉の先進国・スウェーデンの動物保護法はこんなに違う』でもお伝えしましたが、スウェーデンの動物保護法では犬をできるだけ外に出してあげるために多くの規則が定められています。

ただ、このような法規制があるから、スウェーデンの人々が愛犬を外に出してあげるというわけではないと思います。確かに、農業省から基本的な犬の法規制についての小冊子も出ていて、多くの人は犬の倫理的管理に関する法律があるのを知っているはずです。しかし、動物の管理で違法行為を犯したとしても、見つからずに済んでしまうものもたくさんあります。

例えば、犬をケージで輸送しているときは、少なくとも3時間ごとに外に出さなければならない、という法律があります。しかしこれを無視したとしても、ほとんどは警察へ通報されることはないでしょう。

生活の質に対する気持ちの強さ

なぜスウェーデンの人々は愛犬を頻繁に外に出すのでしょう?それについてドイツに住む私の友人が面白い表現をしました(ご存知の通りドイツも動物保護が発達した国です)。

「そういう【文化】なんですよ」

確かに、文化なのかもしれません。犬を閉じ込めたままにしてはいけないという倫理感が、そのまま文化になっているのです。言われてみれば、日本に比べると外に出してもらえない犬に対する「哀れみ」の気持ちは強く、それは食べ物を満足にもらえないことよりも、さらなる同情をスウェーデン人は見せるように思われます(もちろん食べ物を与えない、という飼い主はいないのですが!)。

住居環境とトイレはわけてあげたい

このような背景があるので、スウェーデンでは犬が高齢だったり病気でない限りは、雨の日も風の日も雪の日も、必ず外で犬にトイレをさせてあげるようにします。室内のケージに住まわせたまま、同じケージの中にあるトイレで用を足させるというのは、スウェーデンでは一種のタブーかもしれません。あるスウェーデン人は「住居環境とトイレが同じ部屋だというのは、まるで監獄での生活みたいだ」と言います。そもそもスウェーデンにはトイレシーツがスーパーのペット部門のところに行っても売られてないのですね。

できるだけ犬を連れ出そう!

スウェーデンのあるドッグ・カウンセラーが、犬のための豊かな暮らしを提唱する際、こんなことを語っています。

「お買い物でも何でも、ちょっと外に出るという機会があれば、できるだけ犬を連れて行ってあげてください。車に乗せてでも構いません。犬にとっては室内で待機をするより、飼い主さんと一緒にお出かけしたり、外の空気を吸って色々な匂いを嗅いだりする方が、よほど幸せなのです。」

 

老犬についても同じことをこのカウンセラーは唱えています。

「体が弱っているから、と部屋に置いたままにしないこと。もし四肢が立つのであれば、できるだけ外に出て筋肉を使わせてあげること」

 

スウェーデンには寝たきりの犬がほとんどいません。私の推測ですが、犬たちは 若い時から外にたくさん出してもらって、歩くための筋肉を十分に鍛えてもらっていて、その結果、骨格に負担をかけることなく、体全体が強くなっていることが原因なのではないかと思います。

 

 

犬は根本的に外に出て動くことが好きな動物です。もし散歩が嫌いな犬がいれば、それは幼少期の生い立ちに何か問題があった可能性が考えられます。そのような場合はできるだけポジティブに慣らしてあげてください。外に出ることの楽しみを教えてあげるのが、飼い主さんとしての責任でもあると思うのです。

ライター

藤田 りか子

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