アイペット損保が、自社のペット保険のご契約者さまに実施した「飼い方アンケート」(※調査概要参照)の結果について、2020年から2022年の3か年を比較し、複数年にわたっておおよそ「6割以上」の飼い主さんが選んでいること、していることをご紹介していきます。(一部、回答の意見が割れていたり、拮抗しているテーマや、3年間で変化したことも取り上げます)本記事では愛犬の「健康予防」に関するテーマを扱います。ご自身の愛犬の健康予防への取り組み方と比較して、他の飼い主さんと違いがあるか、チェックされてみてください。

 

意識の高い「ノミ・ダニ」予防、月1対策が増加

  • 「この1年間でノミダニにかかったことがない」が9割以上

この質問では、ノミダニにかかったことがあるという回答は3か年とも5%以下、かかったことがないという回答が95%以上でした。みなさまがしっかり対策されている様子がうかがえます。対策やかかってしまった場合の症状や治療が気なる方は、「うちの子おうちの医療事典」の「ノミの寄生」「マダニの寄生」をご一読ください。

 

  • 「ノミダニの予防頻度は月1回」が7割以上

「ノミダニに関する予防の頻度において最も近いものをお選びください」という質問では、「月に1回」を選択された人の割合が、2020年の57.3%から2021年に74.4%と大幅に増えて、2022年も71.4%と高い比率となっています。月1回の投薬で、フィラリア予防とノミマダニ・おなかの虫の駆除ができるオールインワンタイプの方法が普及していることが窺われます。犬のノミ・ダニ対策と正しい対処法については、こちらの記事もあわせてご一読ください。

 

 

「フィラリア」予防も年々増加し9割以上

  • 「フィラリアの予防をしている」が96.2%

「フィラリアの予防をしていますか?」という質問では「はい」が2020年88.4%→21年95.3%→22年96.2%と年々増加し、ほとんどの飼い主さんがフィラリア予防をされているようです。フィラリア症(犬糸状虫症)についての基礎知識(原因・症状・検査・診断・治療・予防)と、飲み忘れに注意!フィラリア予防の記事もあわせてご一読ください。

 

 

狂犬病ワクチンは飼い主の義務

  • 「狂犬病ワクチンを年1回する」が9割以上

「狂⽝病ワクチンはどれくらいの頻度で接種していますか?」という質問では、「年に1回」との回答が9割以上(2020年92.2%→21年93.1%→22年90.4%)となりました。法令(狂犬病予防法第5条)では、犬の所有者は年1回の予防注射が義務付けられており、注射をしなかったり、注射済票を付けていないと、20万円以下の罰金に処されることが定められています(同27条)。 本調査でも「接種していない」との回答が各年3%未満程度ありますが、狂犬病は依然世界の多くの地域で発生しているため、万一の侵入に備えた対策として重要であることを認識しておく必要があります。「意外と知らない?!狂犬病のおはなし」もご一読ください。

 

 

混合ワクチンとワクチンアレルギー

  • 「混合ワクチンは年1回する」が8割以上

「混合ワクチンはどれくらいの頻度で接種していますか?」との問いには、「年に1回」が85%以上(2020年85.4%→21年85.3%→22年85.8%)となりました。ワクチンについては、こちらの記事もあわせてご一読ください。

混合ワクチンに関する記事

□ 犬に接種するワクチンと防げる病気【獣医師解説】

犬のワクチンを打つ前に知っておきたい副作用のこと【獣医師解説】

□「うちの子おうちの医療事典」で「ワクチンのある病気」を調べる

 

  • 「ワクチンアレルギーは出ていない」が9割以上

「過去に1度でもワクチン接種によるアレルギーが出たことはありますか?」との質問では、出たことがある方の割合は2020年6.5%→21年5.1%→22年6.4%と、9割以上の方はワクチンアレルギーが出なかったと回答されています。ワクチンアレルギーについては「うちの子おうちの医療事典」のワクチンアレルギーをご覧ください。

 

 

避妊・去勢手術は約7割が実施、主な理由は病気の予防

  • 「避妊手術・去勢手術を受けた」が7割近く、6割以上が「6か月~1歳未満」に実施

「避妊手術または去勢手術を受けましたか?」との質問では約7割(2020年67.7%→21年68%→22年69.1%)の飼い主さんが「受けている」と回答しています。受けた方に「何歳の時に手術を受けましたか?」と尋ねると「6ヵ月~1歳未満」が6割以上(2020年60%→21年64.1%→22年66.5%)で、「手術」を受けた理由で最も近いものについては「病気の予防のため」が6割(2020年61.8%→21年60.8%→22年60%)となっています。

また「手術を受けて以降、食欲に変化はありましたか?」との問いには「特に変化はない」(2020年79.2%→21年79.1%→22年81.9%)と回答された方が多く、「食欲が増えた」が2割弱となっています。「手術をして以降、体型や体質に変化はありましたか?」との質問も「特に変化はない」が約6割(2020年60.8%→21年61.2%→22年60.7%)で、「太った」+「太りやすくなった」が約4割となっています。

 

獣医師チームから一言

避妊・去勢手術後は代謝エネルギーが下がり、それまでと同じフードを同じ量で与えていると太ってしまうことがあります。適正体重を維持できているようであれば問題ないですが、増えているなと感じたらフードの種類を替えたり量を調節してカロリーをコントロールしましょう。

 

避妊手術・去勢手術にする記事

愛犬の避妊手術はするべき?適正時期や費用、注意点をご紹介【獣医師解説】

獣医師監修!愛犬に去勢手術を受けさせるべき?

 

 

高いデンタルケアへの意識と実践

  • 「デンタルケアの頻度」は「毎日」+「2~3日に1回」で約6~7割

デンタルケアの頻度についての質問では「毎日」が約半数(2020年42.2%→21年47.6%→22年47.9%)で、「2~3日に1回」(2020年20.7%→21年22%→22年21.2%)と合わせると年々頻度が上がって約7割(2020年の62.9%→21年69.6%→22年69.8%)に達しています。

 

  • 「家でデンタルケアをする必要性」を感じている方は9割以上

「おうちでデンタルケアは必要だと思いますか?」と「歯磨きの必要性」についての質問では3年連続9割以上(2020年94.4%→21年96%→22年95%)が「はい」と回答され、多くの方がしっかりとオーラルケアをされている様子が窺えます。

 

  • 「全身麻酔下での歯石除去」はしたことない方が約9割

その一方で「全⾝⿇酔下での⻭⽯除去をしたことはありますか?」という質問への回答は「いいえ」が9割(2020年88.5%→21年90.5%→22年90.9%)にのぼっています。

 

  • 「デンタルケアに関して、動物病院に相談」はしたことない方が約7割

「デンタルケアに関して、動物病院に相談したことがありますか?」との質問では「いいえ」が7割(2020年88.5%→21年90.5%→22年90.9%)にのぼっています。

 

獣医師チームから一言

ワンちゃんは歯垢が3~5日で歯石になってしまうと言われています。また、ワンちゃんのお口の中の環境は、虫歯にはなりにくいですが歯周病にはなりやすいです。歯周病は重症化するまで気付けないこともあるので、デンタルケアをしていない方は特に、お口の状態を定期的にチェックするようにしましょう。

 

オーラルケアや歯に関する獣医師解説記事もあわせてご一読ください。

□ ヒトとの違い:犬の歯と、人間の歯との違いは?知っておくべきこととは?

□ 歯垢と歯石:犬の歯に、歯垢や歯石が付いたらどうやって取るの?歯磨きは必要なの?

□ 無麻酔NG:犬の歯石除去、無麻酔は絶対にダメ!思わぬ事故につながることも

□ 歯石除去:犬の歯石除去。実際にはどんな手順や方法で行われるの?

□ 歯磨きのコツ:犬の歯磨きのコツとは?どうやったら上手く歯ブラシを使える?

□ 歯磨き嫌い:歯磨き嫌いな愛犬に、歯磨き上手になってもらうには

□ 歯磨き粉:犬の歯磨きに、「歯磨き粉」は必要なの?

□ 歯磨きガム:犬の歯磨きに「歯磨きガム」は効果があるの?上手な使い方とは?

□ 噛む歯周病予防:犬は「噛む」ことで歯周病予防ができるって、本当?

□ 歯周病とは:放置すると恐ろしいことに!犬の歯周病とは

□ 治療法:犬の歯周病、症状や治療法とは?放置すると、重大な病気を引き起こす!?

□ 高齢犬:高齢犬は要注意!歯が抜ける原因は歯周病

□ 歯が黒い:愛犬の歯が黒い!これって虫歯?犬の歯が黒い原因と対処法とは

□ 口臭:愛犬の口がにおう!口臭の原因と対策とは

□ 歯ぎしり:犬も歯ぎしりをするの?その原因と対処法とは?

□ 乳歯遺残:犬の歯は抜けるの?折れることもあるの?その理由と対処法を紹介

 

 

健康診断は受診頻度もアップする傾向

  • 1年に1回以上の頻度で健康診断を受診する方の割合は約7割に

「健康診断をどのくらいの頻度で受診していますか?」との質問では「年に1回」を選ばれた飼い主さんが5割弱と最多でした(2020年39.3%→21年47.8%→22年47%)。「半年に1回」「3か月に1回」「月に1回」の合計では、2020年19.1%→21年21.5%→22年22.3%となっており受診頻度もアップしている傾向です。1年に1回以上受診する方の合計は、2020年58.4%→21年69.3%→22年69.3%にのぼり、2020年から21年にかけては10ポイント以上増えています。コロナ禍でうちの子との接触時間が増え、日ごろの健康維持と予防への意識が高まっているようです。

 

獣医師チームから一言

健康診断は不調を発見するだけではなく、元気な時の状態を知っておくことや、健康であることを確認して安心感を得るという意義があります。6歳頃までは1年に1回、7歳以降のシニア期は半年に1回を目安に受診できると良いですね。

 

【健康診断でワンだふる】

愛犬の健康を守るために、健康診断が必要な理由【獣医師解説】

 

 

サプリメントの利用状況

  • 病気予防のサプリは「あげていない」が8割

「病気の予防のために、ペット用のサプリを現在あげていますか?」との質問では、「あげている」方は約2割(2020年18.8%→21年19.1%→22年90.7%)、「あげていない」方は約8割(2020年81.2%→21年80.9%→22年81.5%)という結果でした。「サプリは効果があると思いますか?」の質問では「ある」と答えた方が約2割、「わからない」と答えた方が大半の約8割にのぼっています。サプリは医薬品ではないため、薬機法上、製品パッケージや広告宣伝、販売サイトなどで効果・効能の訴求は一切できません。健康維持のためのサプリを健康な時に与えている状況下では、たとえ加齢に伴う変化が遅滞していたとしても、その効果がわかる機会は限られ、「わからない」との回答が多くなっていると考えられます。

 

 

耳のケアと外耳炎

  • 「お家で耳掃除する必要性」を感じている方は約7割

「お家で⽿掃除は必要だと思いますか?」との問いでは、約7割の飼い主さんが「感じている」と回答しています(2020年72.6%→21年71.8%→22年69.6%)。また実際に「お家で耳のケアをしていますか?」との質問では「はい」(2020年55%→21年53.4%→22年51.1%)と「いいえ」(2020年45%→21年46.6%→22年48.9%)が約半数にわかれています。

「奥までしっかりと耳掃除をしたい!」という気持ちになるかもしれませんが、過剰な耳掃除などの物理的刺激は外耳炎の原因にもなってしまいます。耳のお手入れの仕方については「犬の「耳掃除」~その頻度と 注意点【獣医師監修】」の記事もご覧ください。

 

  • 「外耳炎」と診断されたことのある飼い主さんは約3割

「動物病院で外⽿炎と診断をされたことがありますか?」との質問では、約7割の飼い主さんが「ない」(2020年70.9%→21年71.7%→22年70.6%)と回答されました。外耳炎の原因は、年齢や飼育環境で異なります。今まで外耳炎になったことがないワンちゃんが、高齢になってはじめて外耳炎を患った場合には、甲状腺の問題や副腎皮質ホルモンのバランスが乱れている可能性があります。高齢の場合はホルモン以外にも、内耳や脳、神経系に腫瘍ができることで外耳炎を引き起こす恐れもあります。これまで健康だったワンちゃんでも一定の年齢を超えれば定期検査を受けた方が安心です。詳しくは「犬の耳に関する病気といえば、外耳炎。年齢によって原因が違うって本当?【獣医師監修】」をご一読ください。

 

犬の耳に関する獣医師解説記事はこちらをご覧ください。

 

□ 耳掃除:犬の耳掃除。どれくらいの頻度ですればいいの?注意点は?

□ 耳毛:犬の耳毛は、処理する必要があるの?抜くの?それともカットするの?

□ 耳が臭い:犬の耳が臭い!耳垢で汚れている!すごく痒がる!そんなとき考えられる病気や症状とは?

□ 外耳炎:犬の耳に関する病気といえば、外耳炎。年齢によって原因が違うって本当?

□ 内耳炎・中耳炎:犬の耳の病気で多い外耳炎。悪化すると中耳炎、内耳炎まで引き起こす?

□ 耳血腫:犬の耳がパンパンに膨れる「耳血腫」いったい、どんな病気?

□ 耳にかさぶた:犬の耳にかさぶたが!薬を塗るべき?病院に行くべき?原因と対処法を紹介

□ 耳にカビ:犬の耳にカビが生えることがあるの?マラセチアの症状、原因、治療法とは?

□ 耳ダニ:犬が耳を掻きまくっている!これって耳ダニに感染しているかも?!

□ 難聴:これって聴力低下?犬の先天性難聴と後天性難聴について知っておこう

 

 

手術の経験 

  • 直近1年間で「手術を受けていない」が9割

「直近1年で病気やケガによる手術を受けましたか? (※避妊・去勢などは含みません)」との質問では、9割が受けていない(2020年90.3%→21年89.9%→22年90.7%)との回答で、約1割が手術を経験(2020年9.7%→21年10.1%→22年93%)しています。手術を伴う治療は愛犬への負担が大きいのはもちろん、飼い主さんの経済的な負担も大きくなります。「手術での治療になることが多い」「手術費用が高額」となる傷病については、「うちの子おうちの医療事典」で調べ、可能な限り「予防」に努めていきましょう。

 

 

 

※【調査概要】

2022年度:全国のアイペットご契約者さまである犬・猫飼育者 [調査人数]6,921名(犬飼育者4,878名 猫飼育者2,043名) [調査期間]2022年6月25日~7月24日 [調査方法]インターネットによるアンケートを実施

2021年度:全国のアイペットご契約者さまである犬・猫飼育者 [調査人数]5,873名(犬飼育者4,094名 猫飼育者1,779名) [調査期間]2021年7月10日~7月31日 [調査方法]インターネットによるアンケートを実施

2020年度:全国のアイペットご契約者さまである犬・猫飼育者 [調査人数]6,523名(犬飼育者4,922名 猫飼育者1,601名) [調査期間]2020年3月19日~4月20日 [調査方法]インターネットによるアンケートを実施

 

 

「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

例えば、下記のようなさまざまな切り口で、病気やケガを調べることができます。健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。リンクをクリックして調べてみてください。

 

 治療

 症状

 □ 再発しやすい

 □ 初期は無症状が多い

 □ 長期の治療が必要

 □ 病気の進行が早い

 □ 治療期間が短い

 □ 後遺症が残ることがある

 □ 緊急治療が必要

 

 □ 入院が必要になることが多い 

 対象

 □ 手術での治療が多い 

 □ 子犬に多い

 □ 専門の病院へ紹介されることがある

 □ 高齢犬に多い

 □ 生涯つきあっていく可能性あり 

 □ 男の子に多い

 

 □ 女の子に多い

 予防

 

 □ 予防できる 

 うつるか

 □ ワクチンがある

 □ 人にうつる

 

 □ 多頭飼育で注意(他の犬にうつる)

季節

 □ 猫にうつる

 □ 春・秋にかかりやすい

 

 □ 夏にかかりやすい

費用

 

 □ 生涯かかる治療費が高額

発生頻度 

 □ 手術費用が高額

 □ かかりやすい病気

 

 □ めずらしい病気

命への影響

 

 □ 命にかかわるリスクが高い

 

 

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