「おすわり」や「まて」は、みなさんご存知ですよね?犬のトレーニングの基本です。実は犬のトレーニングは奥が深く、できたら可愛い芸のようなものから、愛犬の身を守るために便利なものまで、幅広いトレーニングがあります。
ここでは、愛犬の身を守ることにつながるトレーニングのひとつ「はなせ(ちょうだい)」について解説します。
「はなせ」はこんな時に便利!
この「はなせ」をできるようにしておくと、以下のような場面で役にたちます。
■ おもちゃなどをくわえたまま放してくれない時
おもちゃなどをくわえると、そのままどこかへ行ってしまう、捕まえて取り上げようとすると、唸って歯を当ててしまう…、こんな時には「はなせ」が大活躍。「はなせ」を教えておくと、犬も人もストレス少なく生活することができるのです。
■ 危険なものを咥えてしまったとき
玉ねぎやユリのように、犬が口にすると中毒をおこしてしまう物は、実はおうちの中にもお散歩道中にもたくさんあります。愛犬の安全を守るためには、こういった危険なものを拾い食いさせないようなトレーニングが必要です。
とはいえ、もし飼い主さんが目を離したすきに、変なものを咥えてしまったら、どうしたらいいのでしょう?こんなとき、「はなせ」が大活躍をするのです。
「はなせ」のトレーニング方法
このトレーニングは、
まず犬のお気に入り度が低いものを使って練習
をします。そして慣れてきたら、
徐々にお気に入り度が高いものへ移行
していきます。
たとえば皆さんも、一番好きな食べ物をまさに食べようとしている状態で、「ちょうだい。」と言われたら嫌ですよね?でも、別に好きでもなんでもない食べ物だったら、割とすんなり渡せるのではないでしょうか。犬も一緒です。
食べ物を咥えた犬に、ちょうだいと言うのはなかなかハードルが高いもの。なので最初は、その子のお気に入り度が低いおもちゃで練習することです。お気に入り度の低いおもちゃでできるようになったら、徐々にその子が好きなおもちゃへとレベルをあげていき、そして食べ物で練習してみるといいでしょう。
食べてはいけないもので練習しようとするのは絶対にやめましょう。まずは飲み込めないサイズのおもちゃを使って、遊びながら楽しく教えていきましょう!
引っ張りっこで遊ぶ
普段通り、ロープやぬいぐるみで引っ張りっこ遊びをします。しっかり人と犬で共有した状態を維持してください。
「はなせ(ちょうだい)」と声をかける
適当なタイミングでおもちゃを動かす手を、うにピタリと止め、「はなせ(ちょうだい)」と犬へ伝えます。この時犬が引っ張って取ろうとした場合も手を止めた場所から動かさないよう意識してください。
この時、犬は指示語の意味をまだ理解していませんので、むやみに口から取り出そうとしなくて大丈夫です。
はなしてもらうための工夫①
なかなかはなしてくれない場合は、持つ部分を変えてみましょう。
犬がくわえる部分を小さくする
と、はなしてくれる子もいます。
はなしてもらうための工夫②
遊ぶときは
獲物のようにおもちゃを動かし、止めるときはピタッ!と静止させるのがコツ。
犬にとって遊びは獲物を捕らえる狩りの練習です。そのため犬は、動いているおもちゃ(獲物)をくわえやすく、引っ張りっこもしやすいのです。しかし
止まっているおもちゃは獲物が死んだという状況と似ているため、放しやすくなります。
この習性をうまく利用して、トレーニングしてみてください。
指示語は連呼しないで!
指示語を伝えてもなかなか放してくれない場合に、
指示語を連呼してしまうと犬へ無視することを教えてしまう
可能性もあります。その場合は指示語は伝えず、まずは行動だけを犬へ教えるようにすると良いでしょう。
犬がおもちゃをはなしたら、すぐにまた遊び始めます。
これをひたすら繰り返すことにより、犬は
「おもちゃを放しても、また遊んでもらえるんだ!」と学習し、「はなせ」という指示語でおもちゃを放す
ようになります。
おもちゃが好きすぎる子には・・・
おもちゃが好きすぎてなかなか放してくれない子の場合は、次のおやつを使う方法を行うのもオススメです!
引っ張りっこで遊ぶ
普段通り、ロープやぬいぐるみで引っ張りっこ遊びをします。しっかり人と犬で共有した状態を維持してください。
■「はなせ(ちょうだい)」と声をかける
適当なタイミングで
おもちゃを動かす手をぴったりと止め、「はなせ(ちょうだい)」と指示語を犬へ
伝えます。このときにおやつを差しだし、犬がおやつに興味を示しておもちゃを放してくれれば大成功!
こちらも繰り返すことによって、犬は
「おもちゃを放すとおやつがもらえるんだ!」と学習
し、「はなせ」という言葉でおもちゃを放してくれるようになります。
ロープやぬいぐるみでの「はなせ」が出来るようになったら、 してみましょう。そのためにもまず
最初は、大好きなおもちゃではなく、好きのレベルが低いおもちゃから練習
していくと、取り組みやすいはずです。そして徐々に
おやつなどでも口にいれたら、はなせるように練習
をしていきます。
(※くわえてはいけないものでの練習は危険ですので、絶対にやらないでください。)
危険な物をくわえてしまったときの対処法
危険なものをくわえないように、「拾い食い防止」のトレーニングがあり、それでも危険なものをくわえてしまったときのために、「はなせ(ちょうだい)」のトレーニングがあります。しかし、トレーニングが完了していないうちに、愛犬が危険なものをくわえてしまったらどうしたらいいのでしょうか?
このような場合は、さきほど説明した「おやつと交換の法則」を使います。愛犬が焼き鳥の串をくわえてはなしてくれなくなってしまったら、焼き鳥串よりも魅力的なおやつを差し出せばいいのです。おやつ一粒でのってこないときは、あたりにおやつをバラまきます。おやつに夢中になっている間に、危険な焼き鳥串を取り除きましょう。
いかがでしたか?
きっと想像よりも簡単に教えられると感じた方もいるのではないでしょうか。教えて損はない「はなせ」の指示。ぜひ皆さんもチャレンジしてみてくださいね。
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