現在、世界には非公認犬種を含めて700~800の犬種がいるといわれています。犬種によって狩猟犬に向いていたり、家庭で家族として過ごすことが向いていたりそれぞれの個性があります。このような犬の役割をジャパンケネルクラブ(JKC)が10種類に分類していることをご存知ですか?そのなかでも獲物を見つけたら静かに獲物の場所を教えてくれる賢い猟犬として「ポインター・セター」に分類されている犬たちをご紹介します。
10種類のグループについて
犬種の体力や性格を考慮し10種類に分類されています。
1G:牧羊犬・牧畜犬
2G:使役犬
3G:テリア
4G:ダックスフンド
5G:原始的な犬・スピッツ
6G:聴覚ハウンド
7G:ポインター・セター
8G:7グループ以外の鳥猟犬
9G:愛玩犬
10G:視覚ハウンド
「ポインター・セター」の特徴
中型~大型犬が多く、バランスのとれた体型と垂れ耳が特徴です。獲物を探し出しその位置を静かに示す猟犬で、主に鳥猟で活躍してきました。短毛の犬種は野山、長毛の犬種は水辺の猟を得意としています。
「ポインター」とは
獲物を見つけると、ハンターの前方に立ち止まって姿勢を低くし、鼻先を突き出して片足を上げるポーズをとります。これがハンターに獲物の場所を知らせる(=ポイント)姿勢です。
「セター」とは
獲物の前で伏せの姿勢やしゃがみこんで、獲物の位置をハンターに知らせます。獲物を前にして伏せる(=セット)ことがセターの由来です。
「ポインター・セター」と一緒に暮らすには
「ポインター・セター」は、ハンターの指示をきちんとこなす、忍耐強く賢い犬たち。性格は、陽気で社交性もある犬が多く、人に対して友好的なので、家庭犬にも向いています。遊ぶことが好きな犬が多いので、家庭で飼う場合は、遊びを利用したしつけで楽しく覚えさせていくとよいでしょう。
しかし、もともとはハンターと共に獲物を追いかけて野山を走り回っていたアウトドア向きの犬たち。散歩の時間は十分にとってあげる必要があるので、飼い主さんにもそれなりの体力が求められます。また鳥猟犬の本能から、小動物や鳥には興奮しやすいので、同じ空間で飼育している人は注意しましょう。
「ポインター・セター」の主な犬種
「ポインター・セター」に分類されている犬種とその性格についてご紹介します。
イングリッシュ・ポインター
「ポインター」の中で、イングリッシュ・ポインターは最も有名な犬種。主に鳥猟用の使役犬として活躍し、世界各国で飼育されています。
筋肉が引きしまったスマートな体型で、被毛は短く、直毛です。毛色は白地に黒や茶色が混ざった色が一般的です。
狩りの目的を理解し喜んで仕事をする頑張り屋さんで、力強さと耐久力に優れています。その反面、少し短気で興奮しやすいところがあります。
現在でも実用的な猟犬として飼われている犬種です。
ワイマラナー
独特な毛色と目の色が印象的なワイマラナー
引き締まった体にツヤのある美しい短毛を持っています。しっぽは、15cmほどに断尾することが一般的です。
おとなしいですが自己主張は強く、勇敢でスピード・スタミナともに優れています。
水中作業や獲物の回収作業も得意で、頼りになる存在です。
イングリッシュ・セター
セターの中でもとりわけ人気の犬種。機敏な動きができることから、「天性の猟犬」と言われています。1859年にイギリスで開催された世界最初のドッグショーには、イングリッシュ・ポインターとともに出場しています。
光沢のある被毛はわずかにウェーブがかっていて、耳や脚、胸、しっぽの毛は特に長くふさふさとしています。毛色は白地に黒や茶色の斑点があることが一般的です。甘えん坊でおとなしく、マナーの良い犬種です。環境にすぐ慣れ、人や他の犬とも仲良くできます。
無駄のない動きが可能な体つきであり、長距離でもスピードを落とさず走ることが可能です。
アイリッシュ・セター
アイリッシュ・セターは、18世紀頃にアイルランドで生み出され愛された犬種で、セターのグループの中でも、古い歴史を持っています。被毛は「マホガニーレッド」と呼ばれる濃い赤茶色の毛で、さらさらとしたストレートヘア。耳や、胸、脚の後ろや、しっぽの毛はとても長く、まるで絹のような手触りです。明るくおどけた性格で、感情表現が豊かです。
飼い主に従順なアイリッシュ・セター
あるハンターが狩りの途中にアイリッシュ・セターを見失ってしまったのですが、数年後その場所で、伏せをした状態で白骨化したセターが見つかったというのです。しかもその先には、同様に白骨化した鳥が見つかったとか。これはあくまで伝説のような逸話で、実際に起きた話かどうかは不明ですが、それだけ狩りに向いている犬種ということなのでしょうね。
静かに獲物の場所を教えてくれる猟犬「ポインター・セター」。大きく強そうな見た目から飼育は大変そうに見えますが実は温厚で優しく、かしこい犬です。運動量は多く必要なので体力に自信のある人は一緒に暮らすことを考えてみてはいかがですか?
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