犬を育てる中で気分が滅入ったり、悩んだり、落ち込んだりする状態のことを「育犬ノイローゼ」と言います。夜泣きが激しい、家中の家具やカーテン・本などをボロボロにする、何度叱っても嚙みつくなど、飼い主さんによって悩みはさまざま。そんな育犬ノイローゼにどう対処していけばいいのか、飼い主さんの実体験も交えながら、解決方法をご紹介します。

育犬ノイローゼ、飼い主さん体験談

家に帰りたくないほど落ち込んで

うちの愛犬は子犬の頃とにかく夜泣きがひどく、トイレトレーニングも本の通りに教えても失敗ばかりしていました。しかもごはんをほとんど食べていないのに落ち着きなく動き回ります。「子犬はきちんとごはんを食べないで運動すると、すぐに低血糖症になるので気をつけて。」とペットショップの店員さんに言われていたので子犬が倒れてしまったらどうしようという不安や、思うようにしつけができないことへの苛立ちが募っていきました。

*「子犬は要注意!短時間で死に至る「低血糖症」とは【獣医師が解説】」はこちら

 

なにより苦しかったのは、なついてくれているのか、よくわからない子犬の様子でした。私が帰宅してもそんなに嬉しそうな様子は見せてくれません。遊ぶときは楽しそうなのですが、遊ぶとき以外は微妙な距離感を感じていました。私なりに愛情をたっぷり注ごうと、毎日仕事を早く切り上げて飛んで帰っているのに、かかりつけの獣医さんからは「まだおうちに慣れてないようなので、たくさん遊んであげてください」と言われてしまう始末。この子はこの家にきたことをどう思っているのだろう、もしかしたら、うちの子になったことが嫌なのかもしれない、とたくさん悩みました。

 

 その頃から気持ちがだんだん鬱々してきて、子犬のことも可愛いと思えなくなっていきました。でもそんなことを感じる自分がとてもひどい人間のように思えて、余計に子犬の待つ家に帰りたくなくなっていきました。当時は旦那と二人暮らしで、旦那は仕事で家に帰ってくるのが遅く、私一人で子犬と向き合う日々。その辛さを彼にも分かって欲しかったのですが、それを彼に言うと、ひどい人間だと思われそうで言えませんでした。

 

 

それから少しして、以前から予定していた旅行に出かけるために子犬を獣医さんに預けることにしました。その時、彼に勇気を出して「あの子、このおうち嫌いなのかな?あんまり懐いてくれない気がして」と打ち明けました。すると、なんと彼も「そう思っていた」とのこと!悩みを打ち明けられたことで、心の負担が軽減しました。

 

そして旅行後に子犬を動物病院から家に連れて帰ると、「やっぱりここが良い!好き!」と言わんばかりの今まで見たことのないはしゃぎっぷり!1週間ほど家を離れたことが寂しかったのでしょうか。

「なんだ。この家に帰りたいと思っていてくれたんだ。」と思ったらホッとして、急に子犬のことが愛おしくなりました。そこからは子犬がかわいくてかわいくてたまらなくなり、できるだけ一緒にいたいと思えるようになりました。

 

今振り返ってみるととても臆病な子だったのでおうちに慣れるのに時間がかかったのだと思います。まだ赤ちゃんなのに母犬から引き離され、日中もひとりぼっち。私になかなか懐いてくれなくて当たり前だったんです。でも、あの頃はそんなことを理解できるはずもなく、ひとりで落ち込んでしまっていました。今ではこの体験もかけがえのないものとなり、愛犬の赤ちゃん時代を振り返る大切な思い出の一つになっています。

 

 マニュアル通りにいかず、しつけノイローゼに

小さい頃から犬を飼うことが夢でした。結婚し、家を新築したのをきっかけに、やっと夢を叶えられる日が来ました。ケージやおもちゃも一通り買い揃え、しつけ手作りごはんの本など何冊も購入し熟読。万全な状態で愛犬を迎えました。心配していた夜泣きもほとんどなく、甘噛みも根気よくしつけたらしなくなり、なんて頭のいい子なんだろうと大満足の子育て期間でした。

 ところが半年経ったあたりから、お手やお座り、投げたボールを取ってくるなど、ちゃんと覚えたはずのことをしなくなりました。正確に言うと、おやつを貰えないと分かった途端に言うことをきかなくなったんです。本の通りに教えたのに、3歳の息子への甘噛みや飛びつきもせきを切ったようにひどくなりました。でもここでまたおやつをあげてしまったら意味がないと再度トライしましたが、全くダメ。あれほど頑張った半年間はなんだったのだろうと、どんどん気分が落ち込みました。朝もなかなか起きれなくなり、私の体重は6㎏も落ちてしまいました。

 

 見かねた主人が一度獣医さんに相談してみたらと言い、パピー教室を開いている近くの動物病院を訪ねることにしました。すると「動物の子育てはマニュアル通りにいかなくて当たり前です。同じことで悩んでいる方もいっぱいいますから大丈夫ですよ」と言われ、私のせいじゃないんだとその場で大泣きしてしまいました。

 

 それからは、パピー教室に通い、同じ悩みを持つ飼い主さんとの交流をしていくうちに、たくさんの知識を得て、子犬は覚えたことを忘れやすいということが分かりました。子犬は何回も繰り返すことでだんだんと立派な犬に成長するんです。「マニュアル通りに行かなくて当たり前」と知れたことで子育てがとっても楽しくなり、愛犬のペースでしつけができるようになりました。

 

 もし“育犬ノイローゼ”かなと思った時の対処法

 獣医さんに相談し、パピー教室に参加する

獣医さんは病気を診てくれるだけでなく、動物の色んな悩みにアドバイスをしてくれます。また、ドッグトレーナーや看護師さんらによるパピー教室を開催している動物病院も多いので、積極的に参加してみましょう。同じ悩みを持つ飼い主さんと交流を持つことで気持ちが楽になることもあります。「一人で悩まない」ことが、大切です。

 教科書通りにはいかないということを認める

Puppy Jack russell

 

「しつけ本に書いてあること以外は間違っている」と思い込まないでください。その子にあった子犬育てが正解です。1匹1匹個性がある子犬育ては、平均化された教科書通りにいかなくて当たり前なのです。このことを飼い主さんが認めることができれば、今でも充分頑張っている自分も、何か理由があって問題行動を起こしている子犬も、受け入れられるようになるはずです。

 

 こんな人は気を付けて!育犬ノイローゼになりやすい人の特徴

 □ 今まで犬を飼ったことがない

□ 家族、友人など親しい人が犬を飼ったことがない

□ ちょっとのことですごく心配になる

□ 人のペースに合わせて行動することが苦手

□ なんでも完璧にこなしたい

□ 真面目で、ついつい細かいことに気を病んでしまう

□ 相談事があっても、誰に打ち明けていいのか分からない

 

育犬経験がある相談相手が少なく、真面目で何事も一生懸命に頑張ってしまう人がなりやすい傾向にあるようです。

 

いかがでしたか?日本では、まだまだ愛犬に対する悩みをケアする環境が整っていない分、一人で悩んでしまう方も多いかと思います。でもほとんどの飼い主さんがその時期を乗り越え犬と幸せに暮らしていますので、まずは獣医さんやドッグトレーナーさんなどに相談して、気持ちを楽にしてくださいね。

 

※ワンペディア編集部ではみんなのエピソードを大募集!

みなさんの体験談が、犬を飼い始めの方の支えになるはず!「私も実は大変だった」というエピソードがありましたら、ぜひワンペディア編集部までお寄せください。

写真付きでメッセージを頂けると、お家のワンちゃんがワンペディアに掲載されるかも!ご連絡、お待ちしております!!

 

 

★「しつけ」に関する獣医師解説記事は、こちらをご覧ください。

アイコンタクト:全てのしつけに必要!愛犬とのアイコンタクト

失敗談:みんなのしつけ失敗談。先輩の失敗から学ぼう!

子犬:子犬を迎えたばかりのお家は要注意!そのしつけ、本当に大丈夫?

ドッグカフェ:ドッグカフェでいい子にしてもらうためのしつけ

おいで:呼んだら来てくれる「おいで」のしつけ

待て:犬のしつけ「待て」はとっても重要!トレーニングの方法は?

咬み:噛む犬のしつけ方

吠え:犬の無駄吠えのしつけ方 <原因別に解説>

クレート:クレートを好きになってもらってお留守番上手に

リーダー:怖いボスと頼れるリーダーの違い

 

 

★「犬の気持ち」に関するワンペディア記事はこちらをご覧ください。

しっぽ:犬の“しっぽ”で感情を読み取ろう!

見つめる:じーっと見つめてくるときの犬の気持ちは?

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鼻舐め:犬が鼻をペロペロ舐めるのはなぜ?知っておきたい犬の習性と病気のサインとは?

他の犬:☞他の犬に会った時、愛犬はなにを考えているの?

威嚇:犬が威嚇をしてくるのはなぜ?

順位付け:多頭飼いでは犬の順位付けに気をつけて!

好き嫌い:愛犬の好きなこと、苦手なこと、きちんと把握できていますか?

転移行動:犬が自分のしっぽを追いかけるのはなぜ?

ストレスサイン:犬のストレスサインとは?どんな行動をするの?

 

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

 

うちの子おうちの医療事典

 

☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

再発しやすい

長期の治療が必要

初期は無症状が多い

命にかかわるリスクが高い

生涯かかる治療費が高額

高齢犬に多い

病気の進行が早い

緊急治療が必要

入院が必要になることが多い

かかりやすい病気

他の犬にうつる

人にうつる

予防できる

子犬に多い

アイペット獣医師

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