友達や家族を自宅に招いた際に、「犬のにおいが気になる」と言われたことはありませんか?自分では全く気にならなかったのに、他人に指摘されて気にするようになったという飼い主さんも多いのではないでしょうか。お部屋を綺麗にしているだけでは、犬独特のにおいは解消されません。他人を気兼ねなくおうちに招くことができるよう、犬のにおいの原因3つとその対処法をまとめました。

口臭

犬の口臭の原因は、歯周病などの「口内トラブル」がほとんどです。特に歯の隙間や口腔内が狭い小型犬や短頭種(パグフレンチブルドッグなど)は、歯磨きなどのケアが難しく、口内トラブルを起こしやすいと言われています。また老犬になると長年の蓄積で歯石が沈着してしまうので、高齢になればなるほど口内環境を清潔に保つことは難しいですよね。現在の日本で、歯周病(またはその予備軍)になっている犬は、3歳以上だと80%にもなると言われていて、多くの愛犬家の方たちも、毎日のデンタルケアに苦戦している様子が伺えます。口やマズルに触られるのを嫌がる犬は非常に多く、そのことでお悩みの飼い主さんも多いのではないでしょうか。しかし犬のデンタルケアは、本来であれば毎日すべきことなのです。

デンタルケアが毎日必要な理由

確かに犬は人間と比べて虫歯になりにくい生き物ではありますが、だからといって歯磨きをしないでいると歯周病にかかってしまいます。(歯周病になると、毎日細菌を飲み込んでいることになるので、健康面でも非常によくないです!!) 口の中に残った食べかすが原因となって歯垢がたまり、歯垢が堅く固まったものが歯石となります。この歯石が歯周病の原因となっています。歯垢なら歯ブラシで落とすことはできますが、歯石になると通常の歯ブラシで落とすことはできなくなります。ちなみに歯垢から歯石に変わるまでは48時間。週1回ましてや月1回の歯磨きだけでは全然足りません。

「あんなに嫌がっていた歯磨きを毎日…。」と考えて気が遠くなった飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?実は歯磨き以外にも、デンタルケアのできるおもちゃやガムなどを使って口内環境を清潔に保つことはできるんです!口臭予防にもなりますし、なにより愛犬の健康のためにもなりますので、ぜひ取り入れてみては? 詳しくは「歯磨き嫌いな愛犬に、歯磨き上手になってもらうには【獣医師解説】」の記事をご覧下さい。

*「愛犬の口が臭う!口臭の原因と対策とは【獣医師解説】」も参考にしてください!

 

体臭

犬のにおいの一番の原因は体臭です。体臭といってもピンとこない方も多いかもしれません。フェロモンと言った方がわかりやすいでしょうか。人も同じですが、犬には二種類の汗があり、運動をした後に出てくるサラッとした無臭の汗とは別に、匂いのある汗があります。この匂いのある汗がフェロモンや個体識別の枠割を果たしていて、犬独特のにおいを発する原因となるのです。

ちなみにこの匂いのある汗、人の場合はわきや耳の中などの限られた場所からしか出てきませんが、犬の場合は全身にあります。こうして犬独特のにおいが発生するんです。

対処法はカラダのお手入れをしっかりすること

カラダを定期的に拭いてあげて

パグのように、顔にしわが多い犬などは、ヒダの部分に汚れなどが溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい構造になっています。このヒダの部分を濡れたガーゼなどで優しく拭いてあげるなどしてなるべく清潔に保ってあげると良いでしょう。排泄後に肛門・陰部を拭いてあげるのも細菌の繁殖を抑えるには効果的であると言われています。尿や便が皮膚に残っていると、衛生的にもよくありませんし、不快なにおいの原因になってしまう場合があります。

シャンプーで体を清潔に

定期的なシャンプーで体臭が改善されることもあります。ただし、人のように頻繁に入浴する必要はありません。頻繁にシャンプーしたりカラダを洗いすぎてしまうと、皮膚にある脂分を落としすぎてしまい、かえって皮膚病を招いたり悪化させたりしてしまうことがありますのでほどほどに。成犬であれば月1~2回程度が適当な頻度と言われることもありますが、運動量や被毛の状態などによって適切なタイミングが異なります。飼い主さんが「そろそろかな」と思うタイミングで、お風呂に入れてあげてください。

*「愛犬がシャンプー好きに!正しい頻度と洗い方【獣医師解説】」で詳しく解説しています。

肛門腺から分泌液を絞り出す

犬のカラダには肛門腺(肛門嚢とも言います)と呼ばれる臭腺が肛門の左右にあります。この肛門腺にたまっている分泌物が、独特かつ強烈なにおいを発します。室内犬(特に小型犬)はこの分泌物が肛門腺にたまりやすいので、飼い主さんが定期的に分泌物を絞り出してあげることでにおいを抑えることができます。

他にも、目ヤニ取り・爪のお手入れ・耳掃除なども匂いを押さえるのに効果的です。

*肛門腺絞りについて、詳しくは「犬の肛門腺の絞り方【獣医師解説】」でご紹介しています。

体内環境を変えて、においを抑える

タンパク質や脂質の取り過ぎ、腸内バランスを崩してしまう食べ物の摂取などが体臭をキツくする要因の1つであるという見解もあります。体を拭いたりシャンプーをしても体臭が気になるようであれば、フードやおやつを変えてみたり、腸への負担が小さくなる食べ物(納豆・ヨーグルトなどの発酵食品、野菜・海藻・きのこなどの食物繊維が豊富な食物)を摂取するなど、食生活を変えることで体臭が軽減される可能性もあります。

また、皮膚疾患などの病気が原因で体臭が発生していることもありますから、あまりにも気になるようであれば動物病院を受診されることをおすすめします。

便臭

うんちが臭うのは当たり前のことなので、においを完全になくすことはできないのですが、食事やおやつ等、摂取する食べ物を変えることでにおいを軽減できる場合もあります。

元来犬は肉食のため、タンパク質の消化は比較的得意な動物です。一方、炭水化物の消化は苦手とされており、穀類の多い食事を与えると便が臭くなることがあります。タンパク質も与えすぎると小腸で消化・吸収しきれず、その結果大腸に残った未消化物の影響で便がくさくなる場合があります。便に未消化物が多く残っていると食糞の原因になることもありますので、うんちのにおいもあまりにひどいようだと、獣医さんに相談してみるといいでしょう。

 

犬のにおい対策をすることは愛犬の健康にも繋がります。大切な家族の健康と、気兼ねなくお客様をお招きできる素敵なお部屋作り、どちらにも役立つことなので、ぜひ実践してみてください。

 

 

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お世話をしながら気付い事たことから病気を調べる

「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

例えば、下記のような状態から、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

(元気)■ 元気がない ■ 疲れやすい ■ ぐったりしている ■ 意識がもうろうとしている

(食事)■ 食欲がない ■ 食べすぎる ■ 水を飲まない ■ 水を沢山飲む

(体型)■ 太る ■ 痩せる ■ お腹がはっている ■ 腫れている

(体温)■ 体が熱い ■ 体が冷たい

(挙動)■ 痛がる ■ 足をあげる ■ 歩かない ■ 頭を振っている ■ ふらつく ■ ぐるぐる回る ■ 遠吠えをする

(性格)■ 性格が変わる

 

他にも次のような切り口でさまざまな傷病を調べることができます

【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり

【症状】■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い

【対象】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い

【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつりやすさ】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる

【命への影響度】 ■ 命にかかわるリスクが高い

【費用面】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防面】 ■ 予防できる ■ワクチンがある

 

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