「他の犬を見るとパニックになってしまう。」「電話が鳴ると家の中を走り周りながら吠える。」など、飼い犬が興奮したときの対応に悩む飼い主さんは少なくありません。興奮した犬は走り回ったり、吠え続けたりと、手がつけられなくなります。「落ち着くまで待てばいい。」という対応をされる飼い主さんもいるかもしれませんが、興奮している犬というのは意外と危険な状態にあります。特に大型犬などでは、お散歩中に興奮度が高まって走り回り始めてしまった場合、リードを持っている飼い主さんが引きずられ転んでしまう危険性がありますし、車が通っているにも関わらず、道路に飛び出したりする可能性もあります。小型犬でもドッグラン等で興奮しすぎて他の犬を追いかけ回したりすると、ケガに繋がりかねないですよね。 

こういった状況にならないようにするためには、日々のトレーニングが大切にはなりますが、ここではしつけが完了する前の段階で興奮してしまった愛犬を鎮めるために、どうしたらいいのかという応急処置について解説します。

興奮要因を取り除く 

そもそもなぜ犬は興奮し走り回り始めたり、吠え始めたりするのでしょうか?突然その行動をし始めたように見えるかもしれませんが、実は必ずスイッチになっている要因があります。

人に例えて、お話をしてみましょう。皆さんは「走る」ことありますよね。ではなぜ「走る」のでしょう?会社に遅刻しそうだから?電車に乗り遅れそうだから?それとも、ダイエットのため?そういった要因があるから「走る」という行動をするのではないでしょうか。このような要因(スイッチ)が犬にも同じようにあります。

それでは犬を例にとってお話をしていきますね。

「お散歩中、他の犬を見ると追いかけようとリードを引っ張り走り始めガゥガゥと吠え始めてしまう。」

他の犬を見た犬

この例題の要因は他の犬を見てしまうことが要因となっていると考えられます。トレーニングを行っていくときには、その要因を詳しく調べる必要がありますが、今回はまず落ち着かせる!ことを目的とした方法ですので、できる事は1つ。

「興奮要因を取り除く」こと

です。

落ち着くまでの時間に差はありますが、何もしないよりも早く犬を落ち着かせることが可能です。先ほどの例題であれば、他の犬を見ることが出来ないように自分の体で犬の視界を遮ったり、対象の犬から離れたり、といった方法が犬を落ち着かせるために有効な方法です。

犬を落ち着かせる

慌てず・騒がず・落ち着いて

皆さんが飛行機に乗っていてトラブルが発生した時、客室乗務員が慌てながら「落ち着いてください!」と言っていたら、落ち着くことは出来ますか?筆者はそんな様子の方がいたらおそらくこう思うでしょう。(あぁ!客室乗務員さんも慌ててる!きっとすごく深刻なことなんだ!どうしよう!こわい!)と。

これは犬も同じです。愛犬が走り回ったり吠え始めてしまった時、飼い主さまも一緒に慌てて走り回ったり、声をかけたりしてしまっていませんか?

人が慌ててしまうとその雰囲気を犬は感じ取り、犬は余計落ち着きにくくなってしまう

ことがあります。吠えてしまった場合など、「どうしても早く吠えるのを止めさせないと!」という飼い主さんの気持ちが伝わり、犬を余計興奮させてしまっている可能性も考えられます。とにかく犬を落ち着かせるためには、

まずは人が落ち着いて対応することが大切

になってくるのです。

 

落ち着きやすい環境作りやトレーニングも大切

今までご説明してきたポイントが基本な落ち着かせ方ではありますが、犬には様々な性格の犬がいますので、上手くいかないケースもあるかと思います。そんな時には他のポイントを抑えてみましょう。

人間も同じですが、犬には落ち着きやすい環境というものがあります。例えばお家で過ごしているときに電話が鳴り、人が慌てて電話のほうへ向かい始めると、犬は吠えながら家中を走り回ってしまう。そんな時はハウス(持ち運びの出来る扉のついたもの)へ誘導し、扉を閉め、タオルで視界を遮ってあげると犬は落ち着きやすくなります。

犬はもともと巣穴で暮らす動物なので、薄暗く狭いところだと、落ち着きやすい習性がある

ためです。

他にも人間では落ち着かない子供に対して、「座って落ち着きなさい!」と言うように、犬も四足で立ったまま走り回るよりも、フセの姿勢でいることのほうが落ち着きやすいので、フセを積極的に教えて使うことも有効な方法と言えるでしょう。

 

いきなり犬が興奮すると、焦ってしまう飼い主さんは多いと思うのですが、

まずは自分が落ち着くことがとても重要

なんですね。今すぐに実践できる対処法をいくつかご紹介しましたので、また愛犬が興奮してしまったときには、ぜひ試してみてください!

 

 

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愛犬の行動から、病気の可能性を調べてみる「うちの子おうちの医療事典」

「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、犬種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べることができる「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。 

うちの子おうちの医療事典

例えば、愛犬の「行動」から、考えられる病気を調べることもできます。健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

■ 足をあげる

■ 歩かない

■ 頭を振っている

■ ふらつく

■ ぐるぐる回る

■ 遠吠えをする

■ 性格が変わる

佐藤 千佳
プレイボゥドッグトレーナー
アカデミー

佐藤 千佳

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