愛犬のブラッシングをしていて、「あれ、なんだか被毛の色が薄くなってきたぞ」と感じられた飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、鼻や口の周り、背中などに白髪を発見することもあるかもしれませんね。

人間は、加齢とともに白髪に悩まされる人は多いですが、はたして犬も白髪になったりするのでしょうか。今回は犬の白髪にまつわる事情について見てみましょう。

 

白髪は、メラニン色素の不足で発生する

そもそも、なぜ年を取ると白髪になるのでしょうか。まずは、人間のメカニズムを見てみましょう。髪の毛の色は、毛髪が頭皮内で成長する過程で、「色素細胞(メラノサイト)」が作り出したメラニン色素が毛髪内に取り込まれることで決定します。

白髪ができるのは、この色素細胞の働きが何らかの原因で低下し、髪に色をつけるメラニン色素が作れなかったためと考えられています。人間が白髪になるおもな原因としては、加齢や老化、遺伝、生活環境、病気、ストレスなどが挙げられます。

 

犬の白髪の原因

加齢による白髪

姿形は大きく異なりますが、犬も人間と同じく哺乳類であり、自らの体温を一定に保つことができる恒温動物です。白髪が発生するメカニズムも、人間のそれと大きくは違わないはずです。ただし、犬の場合は人間の髪の毛のように真っ白になることは少なく、多くの場合、毛の色素が抜けていき、全体的に毛色が薄くなっていきます。

犬の白髪の原因はおもに、加齢やストレスによるものとされています。なかでもいちばんの原因は、人間と同様、やはり加齢です。 加齢による老化が原因の場合は、平均ではシニア犬とされる7歳頃、早ければ3歳くらいから白髪が生え始まります。

また犬種によっても白髪になりやすい種類があり、大型犬ではゴールデンレトリバーラブラドールレトリバー、中型犬では柴犬、そして小型犬はトイプードルなどが比較的白髪になりやすいとされています。一般的に、犬の加齢による白髪は口の周辺を始めとした顔周りから始まります。

 

ストレスによる白髪

加齢に続いて、ストレスも大きな原因の一つとなります。犬はストレスに敏感な動物であり、日常のさまざな環境の変化が、ストレスになり得ます。

 

●引越しなどによる住環境の変化

●家族に、人間の赤ちゃんやほかのペットが加わった

騒音や雑音の増加

発情期における未交尾

●運動不足や睡眠不足

栄養不足

 

これらのストレスが皮膚へ影響し、毛の生えるメカニズムを阻害し、白髪や脱毛などをもたらす可能性があります。

 

★愛犬の「ストレス」に関連する獣医師監修記事はこちらをご覧ください。

 

 

犬の白髪の予防と改善方法~適切な食事+ストレスフリー

●適切な食事とストレスない環境づくりを!

さて、それではこれらの白髪を予防したり、改善する方法はあるでしょうか。

加齢による白髪の場合には、老化を遅らせるための、年齢に見合った適切な食事や運動、安心できる住環境や被毛の手入れ、体調管理などを心がけることが、何よりの予防策となります。これらは、2番目の原因となっているストレスを取り除くことにもつながります。

定期的にブラッシングシャンプーを行い、皮膚を清潔に保ちましょう。栄養バランスに優れたフードを与え、シニア犬にさしかかるころには、低脂肪・低カロリーのフードを用意します。

また、メラニン色素の生成の際の原料となる物質「チロシン」を含む、チーズ、ヨーグルト、納豆、煮干し、かぼちゃの種などを与えると効果があるとされているようです。いずれも通常の食事に影響のない範囲で、「おやつ」としてあげるようにします。

このほかに白髪と共に、被毛の伸びや毛艶が悪い、フケや脱毛が多くなった、皮膚の張りがない、湿疹などが見られるようでしたら、他の皮膚疾患にかかっている可能性もあります。この場合は、獣医師に相談し、皮膚病の治療を行うことが必要となります。

最後に、白髪が目立つようなったからといって抜いたり、あるいは人間用の毛染めシャンプーなどを使用することはぜったいにやめましょう。却って皮膚にダメージを与え、逆効果となります。白髪をも含めた愛犬の老いをまっすぐに受け止め、ともに年齢を重ねていく。そんな気持ちを大切にしたいものですね。

 

★「シニア犬」に関する獣医師監修記事はこちらをご覧ください。

 

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

 

うちの子おうちの医療事典

 

☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

後遺症が残ることがある

専門の病院へ紹介されることがある

生涯付き合っていく可能性あり

めずらしい病気

高齢犬に多い

アイペット獣医師

詳細はこちら

関連記事

related article