犬も高齢になるにつれ、トイレがうまくできず、失敗や粗相してしまうことも多々あります。1日でも長く自力でトイレができるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。トイレ環境の見直しや排泄時の補助の仕方などについてご紹介しましょう。

 

失敗が増えてきたら、まずはトイレ環境を見直してみる

 

トイレに段差をつけない

歳をとってくるとちょっとした段差でもつまずくことがあります。トレーの上にペットシートを敷いていた場合、トレーの縁に足をひっかけてしまうことも。またトイレシートを敷いた場所によっては、滑りやすく犬が踏ん張れないこともあります。足腰が弱ってきたと感じたら、滑りにくい防水マットの上にペットシートを敷くなど、

フラット&滑りにくいトイレ環境

を作ってあげましょう。

 

トイレまでの距離は短く

老犬になると筋力の低下により、トイレに行くのが間に合わなくなることもあります。トイレまでの距離は犬の歩幅で10歩以内の場所がベストと言われていますが、老犬の場合、

普段過ごしている場所のできるだけ近くに設置

してあげましょう。場合によっては

トイレを数ヵ所設置してあげる

のもひとつの方法です。

 

床の材質を滑りにくいものに変える

犬にとってフローリングは滑りやすく、特に脚力が落ちている老犬にとってはトイレに行くのも困難な場合があります。床にカーペットやコルクマットを敷くなど、部屋自体に歩きやすい環境を作ってあげましょう。

 

 

シニア犬のトイレ介助の方法とは?

 

トイレまでの歩行を補助する

トイレをするときに自力で踏ん張れても、寝床から立ち上がるのが億劫という場合は、飼い主さんが立ち上がることを補助しトイレまで連れて行きましょう。大型犬の場合は

ハーネスを使ったり、バスタオルを腰にあてがって歩行の補助

をしてあげたりするといいですね。

 

トイレ中、犬の体を支えてあげる

筋力が弱ってくると踏ん張る力も衰えてきます。そのような場合も歩行同様、

姿勢が保てるように腰の部分を手で支えてあげたり、バスタオルを腰にあてがってあげたりして補助

してあげましょう。

 

トイレの後は手早く排泄物の処理を

足腰が弱っている犬の場合、トイレを済ませた後、そのまま座りこんで体を汚してしまうことがあります。

トイレが終わったら速やかに犬を別の場所に移し、排泄物の始末

をしましょう。

 

 

自力でのトイレが難しい場合は、どうすればいいの?

 

獣医師の指示に従いマッサージ

どうしても自力でトイレができない場合は排尿や排便を促すマッサージや圧迫で排泄を促します。ただし素人がむやみにマッサージをすると膀胱が破裂するなど命に関わる危険が伴うので、必ず獣医師の指導を受けたうえで適切な方法で行いましょう。

 

オムツをつけるという選択肢も

どうしてもトイレをするのが難しいという場合は、オムツを使用するなどして対処しなくてはなりません。

突然オムツを着用させると犬にとってはストレスになるので、足腰が弱ってきたと感じたらオムツの練習をしておく

のがおすすめです。最初は数分したらはずし、徐々に着用時間をのばしていきます。

 

排泄するたびにオムツを交換

通気性の良いオムツでも、

排泄後はその都度交換し、お尻のまわりを清潔に

してあげましょう。犬用のオムツを1回限りで捨てるのはもったいないという場合は、人間の赤ちゃん用オムツで代用することも可能です。しっぽの部分に穴をあけ、その縁にそってサージカルテープやメディカルテープを貼れば完成です。切りっぱなしにしておくと切り口から吸水ポリマーがこぼれてくるので、テープは忘れずに貼っておきましょう。

 

オムツをつけっぱなしにしない

長時間、オムツをつけっぱなしにしているとオムツかぶれを起こすので、交換をしたらしばらくはずして空気に触れさせてあげましょう。その際、オムツがあたる股の付け根部分が赤くなっていたらワセリンなどを塗ってあげてください。できればオムツの着用は半日以内にとどめておくのが望ましいです。

 

##まとめ

老犬に限らず、けがや病気で寝たきりになった場合、家の外でしか排泄できないワンちゃんは大変です。できれば子犬のうちから自宅でも排泄できるようにしておき、お散歩は運動や気分転換のために出かけるように習慣づけると、犬も飼い主さんもトイレについてはラクに過ごせるかもしれません。

 

「シニア犬」に関する獣医師監修記事

うちの子の長生きのためにシニアへの備えに役立つワンペディアの獣医師監修記事をご一読ください。

□ シニアの捉え方:犬は何歳から「シニア」なの?(本稿)

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□ シニア犬の食事:シニア犬の食事で気をつけることは?どんなフードを選べばいい?

□ シニア犬のトイレ:シニア犬のトイレで気をつけることは? 寝たきりになったらどうすればいい?

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□ シニア犬のかかりやすい病気:シニア犬がかかりやすい病気とは? 早期発見するためには?

 

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例えば、下記のような切り口から、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり

【症状面】■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い

【対象】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い 男の子に多い   ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い

【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつりやすさ】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる

【命への影響度】 ■ 命にかかわるリスクが高い

【費用面】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防面】 ■ 予防できる ■ワクチンがある

 

★「うちの子おうちの医療事典」でシニア犬のかかりやすい病気を調べてみましょう

□ 高齢犬に多い病気

□ 白内障

□ 緑内障

□ 椎間板ヘルニア

□ 変形性脊椎症

□ 膵炎

□ 気管虚脱

□ ニキビダニ症

□ 糖尿病

□ クッシング症候群

アニーマどうぶつ病院 院長

村谷 親男

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