雷や花火、道路工事などの大きな音に怯える犬は少なくありません。雷が鳴る度にパニックになりブルブル震えながら部屋中を走り回る犬を見るのは心が痛みますし、万が一家のそばで長期に渡る建築工事がなどが始まったとして、犬が毎日怯えて過ごさなければならないとしたら、犬にとって大きなストレスになることは想像に難くないでしょう。

動物は大きな音が苦手

そもそも動物は大きな音が苦手です。自然界の動物にとって、外敵や危険から身を守る方法として、音や臭いなどの変化が大きな判断基準となっています。動物が普段聞かないような音を聞いた場合に恐怖を感じ、威嚇する、逃げる、などの防衛反応を示すのは当然です。

人間なら道路工事の騒音は不快でも、「あれは道路を掘るドリルの音だ」というようにその原因を理解することで恐怖感を払拭することが可能ですが、動物にとってはそれは困難ですよね。

ですから、犬が音に怯えないようにするには、「この音は怖いものではないのだ」というのを人間が教えてあげなくてはいけません。

音に慣らそう

系統的脱感作の活用

音を怖がる犬には、怖いものに少しずつ慣れていく行動療法の「系統的脱感作」を使います。恐怖を抱いている音をストレスが感じられない程小さくして聞かせ、ご飯やおやつを与えながら慣らしていくという方法です。徐々に音を大きくしていく中で、「嫌いな音」と「よい思い」を同時に経験させ、嫌いな音を耳にしても平常心で過ごせるようにしていきます。

犬が怖がる音を準備する

雷、花火、工事などの犬が怖がる音を用意します。効果音のCDや、Youtubeなどインターネット上にもこれらの音は落ちているので、うまく活用しましょう。

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音を聞かせてみる

静かな室内で落ち着いた状態で、準備した音を聞かせます。このとき、音量は最も小さいレベルで聞かせてあげてください。いきなり大きな音で恐怖を抱けばこのしつけの試み自体失敗に終わるかもしれません。無理は禁物です。

ほめる

音を聞いても怖がらずにおとなしくおすわりしていたら、「おりこう」「いいこ」「グッド」など決めた言葉でほめて、ごほうびのおやつをあげてください。上手く出来たタイミングで「おりこう」と言葉をかけ、すぐごほうびをあげることが重要です。タイミングがずれてしまうと「上手くできたからごほうびがもらえた」という結び付けができなくなってしまいます。

よくある間違いは、音を聞いて興奮している犬を落ち着かせようと声をかけたり、なだめようと思ってなでてしまう行為です。
飼い主にとっては落ち着かせるために行った行為ですが、犬は

音を聞いた →興奮した →飼い主の注意を引いた →かまってもらうにはこうすればいい!と解釈します。  

雷が怖い子が雷が鳴るたびに大騒ぎになってしまうのはこの解釈が影響しています。もしも、音の訓練中に騒いだとしても大げさに声をかけたり、なでたりせずにクールダウンするまで待ちましょう。また、犬の集中力は15分くらいしか続きません。長い時間をかけず短い時間で繰り返す方がよいので、5分間×3回~6回のように短時間で繰り返してください。

音量を上げる

犬が小さな音に慣れてきたら、徐々に音量を上げていきます。ボリュームを一つずつ大きくしていきます。少し大きくした音でおとなしくできたらその都度ほめて、ごほうびをあげます。これを繰り返していきますが、少しでも怖がったら音をボリューム一つ分下げてください。無理にチャレンジさせないことが大切です。下げたボリュームでおとなしくできたら、また一つずつボリュームを上げてください。ゆっくり、焦らず慣らしていってください。

おやつの回数を減らす

おやつ

音を聞いてもおとなしくできればごほうびとして「言葉」と「おやつ」をあげてきましたが、いつまでもおやつが目当てではいけません。ほめ言葉だけでもおとなしくできるように仕向けて行きましょう。いきなり言葉だけにしてしまうと犬は戸惑い、言う事を聞いてくれなくなる可能性もあります。毎回あげていたおやつを2回に1回を3回に1回、4回に1回というように減らしていきます。その代わり、しっかり言葉でほめてあげます。

実際の音にチャレンジ

あとは実際の音に遭遇するのを待ちましょう。今までは慣れた部屋の中で「犬・飼い主・音」という環境で訓練してきましたが、実際に遭遇すると環境や音のレベル感など練習とは違うでしょう。そこでおとなしくじっとできたら合格です。しかし、怖がって暴れたり、興奮してしまったときは、根気よく(2)から繰り返して訓練しましょう。

 

※注意
この方法は、犬が音に対して恐怖を感じている場合の訓練方法です。
犬の音に対する過剰反応については、まずは状況などをトレーナーや獣医師に相談することをお勧めします。
アイペット獣医師

ワンペディアの運営会社であるアイペットに在籍している獣医師チーム。臨床経験...

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