つい、この前までフードをガツガツ食べていたのに、なぜか近頃食欲がない。そんな経験をされた飼い主さんは、意外とたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
そもそも多くの犬は、食事には貪欲です。にも関わらず食欲不振となれば、なにかしらの原因があることは間違いありません。大きな病気が食欲不振の原因になっているかも…。ここでは考えられる食欲不振の原因と、その対処法をまとめました。
食欲不振の原因
新しいフードに切り替えた
新しいフードに切り替えたら、急にごはんを食べてくれなくなるということは、実はよくあることです。フードを切り替えるときのコツは、もともとのフードに少しずつ新しいフードを混ぜて、新しいフードに慣れさせること。徐々に新しいフードの量を増やしていって、切り替えてもきちんと食べてもらえるようにしましょう。
高齢化につれて徐々に食べなくなった
犬もシニアになると食が細くなります。歯や内臓の働きも弱ってくるため、いままで食べてきたフードでは胸焼けをしたり、消化に時間がかかったり、硬すぎて噛み砕くのに苦労したりして、結果的に食欲が落ちることも珍しくありません。
シニア犬の食欲不振対策では、シニア用のフードに切り換える、缶詰などのウエットフードを与える、ドライフードを水かぬるめのお湯でふやかして与える、などの工夫をしてみましょう。あまりにも食べてくれないときは、かかりつけの獣医さんに相談してみるといいでしょう。
フードの置きっぱなし
食いつきがよくないからといって、フードを置いたままにしていませんか?ずっと食事を放置していると、犬はいつでもごはんを食べられるものだと学習してしまい、余計にごはんを食べてくれなくなることがあります。フードを与えるのは1日2~4回などと回数を決め、与えて20分ほど待っても食べないなら片付けてしまいましょう。
ただ、病気が原因ではなかったとしても、あまりに食べない状態が続くのは体に負担がかかってしまいます。かかりつけの獣医さんと相談しながら、食事のあげ方を見直してみるといいでしょう。
おやつのあげ過ぎ
おやつの与えすぎも食欲不振につながります。おやつを与え過ぎて、一般的なフードは総合栄養食といって、フードだけ食べていれば必要な栄養素はすべて摂れるよう作られていますが、おやつはそうではありません。おやつで満腹になってしまったら栄養バランスが崩れかねませんし、おやつが当たり前になってしまうと、しつけがうまく行かなくなる場合もありますので要注意です。
なにかしらのストレス
お父さんが出張に行ってしまった、近所で工事が始まった、子どもが大学で家を出てしまった、等のタイミングでごはんを食べなくなっている場合は、ストレスが原因で食欲不振に陥っている可能性があります。
この場合、ストレスの原因となっているものを取り除くことが一番ですが、なかなかそうはいかないですよね。可能な限り原因となっているものを排除をしてあげて、あまりにも食べないようだったら獣医さんに相談してみましょう。
病気による食欲不振
一番怖いのは病気が原因で食欲不振になっている場合です。ぐったりしていたり、苦しそうに息をしていたり、食べた物を吐いたりして、食欲不振以外の症状が現れている場合は、明らかに体調がよくない状態ですので、すぐにかかりつけの獣医さんに見てもらいましょう。危険なケースもあるので、いつも通院している病院が空いていない場合は、夜間病院などに相談するといいでしょう。
嘔吐などのような食欲不振以外の症状が見られない場合でも、できる限り早めにかかりつけの病院に行くことをオススメします。一見、元気に見える場合でも、異物を飲み込んでいる可能性もありますし、気付きにくい症状を飼い主さんが見逃している可能性があるからです。心配であればきちんと病院に連れて行ったほうがいいでしょう。
食欲不振から考えられる病気をご紹介します。
子宮蓄膿症
避妊をしていない雌犬を飼育している飼い主さんは注意が必要です。細菌感染をすることで、子宮内に膿がたまっていきます。気付かないで放置してしまうと体に膿が流れ出てしまい、最悪の場合、死に至る恐ろしい病気です。
初期症状として食欲不振が見られるのですが、発症する時期が原因で、発見が遅れやすいのです。子宮蓄膿症は発情出血が見られた1~2カ月後に発症します。そのため、飼い主さんは愛犬が子宮蓄膿症が原因で食欲不振に陥っていても、発情出血が原因でごはんの食いつきが悪いのだと誤解しやすいのです。愛犬の様子をきちんと観察して、少しでもおかしいと思ったら、すぐに病院につれていってあげましょう。
*子宮蓄膿症については、
◆「うちの子おうちの医療事典の子宮蓄膿症」解説記事
で、詳しい解説をしておりますので、あわせてご一読ください。
口腔内腫瘍
口の中どこかに腫瘍ができているときにも、食欲不振に陥るという症状が出る場合があります。口腔内腫瘍は早期発見、早期治療が理想ですが、初期のうちは症状が出ないことが多いので、6ヶ月に1度、最低でも1年に1度は病院で健康診断してもらうことをオススメします。
歯周病
成犬(3歳以上)の約8割が、歯周病もしくは歯周病予備軍と言われています。歯周病にかかると口の中が痛くなって、食欲不振になる場合があります。放置すると歯槽膿漏になって歯が抜けてしまうことがあるので、こちらも早めの治療が必要となります。
*歯周病について、
◆「放置すると恐ろしいことに!犬の歯周病とは【獣医師解説】」
◆「うちの子おうちの医療事典の歯周病」解説記事
も併せてご覧下さい。
病院に行ったときに伝えることは?
- 最後にごはんを食べた時間
- 最後に口にしたもの
- 最後にごはんを食べた時間から、食欲不振に陥った間までにあった出来事
- フードを変えたかどうか
- 家族の誰かに変化がなかったか
たとえば、お散歩から帰ってきてから食欲がなくなったら、お散歩の途中で身体に悪いものを拾い食いしたのかもしれませんし、お留守番後なら何か異物を飲み込んでいるのかもしれません。元気いっぱいに遊んでいたのに急に食欲不振になったのなら、遊んだときに骨折をしているのかもしれません。どんなに些細なことでもできるだけ鮮明に思い出して、獣医さんに情報を伝えて下さい。
いつも元気にガツガツごはんを食べている愛犬が、急にごはんを食べなくなるのは不安ですよね。なにも体に異常がなかったとしても、病気がないと判断することは獣医さんにしかできません。少しでも不安に思ったときは、なるべく早くかりつけの獣医さんに相談するようにしましょう。
【関連コンテンツ】アイペット獣医師監修「ペットと私の暮らしメモ」~犬がごはんを食べないときの原因と対処法、病気かどうかのチェック方法を紹介~も、ぜひご覧ください。
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【愛犬の症状】 □ 元気がない □ 食欲がない □ 食べすぎる □ 水を飲まない □ 水を沢山飲む □ 疲れやすい
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