犬を飼い始めたばかりの飼い主さん、子犬の骨折っていつおきると思いますか?子犬が骨折する原因で、交通事故を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。まさかおうちの中で、しかも飼い主さんが見ている目の前で骨折するなんて、思いも寄らないのではないのでしょうか。
実は、子犬の骨折は約75%が室内でおこっているのです。(※) 飼い主さんは骨折に関する正しい知識を身につけて、しっかり子犬を守ってあげなければなりません。
(※アイペット損保調べ)
骨折発生しやすい月齢は:「【調査結果】子犬の骨折が発生しやすい月齢は? 発生しやすい3大要因と予防策」
子犬の骨は非常にもろい
犬の飼い方が外飼いから室内飼いへと変化していく中で、飼われる犬たちも超小型犬といわれる小柄な子が増えてきました。あの子犬たちの足の骨、どれくらいの太さがあるかご存知ですか? トイプードルやチワワ、ポメラニアン等の子犬の足の骨は非常に細く、特に小型犬の場合は、人間の小指程度の太さしかありません。しかも成長途中の骨なので強度も弱く、本当にちょっとした衝撃ですぐに折れてしまうのです。
骨折する原因
室内で骨折した子犬は、決して特殊な環境で暮らしていたわけではありません。どこの家庭でも見られる穏やかな環境の中に、実は多くの危険があるということを、飼い主さんが知らないだけだったのです。
ちなみに犬が骨折しやすいお部屋はこんな感じ。至って普通ですよね?
危険物①:フローリング
フローリングやタイル、打ちっぱなしのコンクリートなど、ツヤツヤしている地面は非常に危険です。子犬がはしゃいでいるうちに転ぶのはよくあることです。 そして転んだ拍子に、ポキッ!と骨が折れることはとっても多いのです。「今まで何度か転んだときは大丈夫だった。」と思う方もいるかもしれませんが、明日も大丈夫な保障はどこにもありません。
危険物②:ベッドやソファー、椅子
子犬がソファーやベッド、椅子から飛び降りているのを見て、骨折の危険性を考える方は、あまりいないのではないでしょうか?だって子犬が自分から飛び降りているのです。まさかいそれで骨折するとは思わないかもしれません。
しかし、実はこれが骨折の原因で圧倒的に多いのです。たった30cmの高さから、自らぴょーんと飛び降りて、結果骨折してしまうほど、子犬の骨というのは非常に弱いものなのです。
犬も飼い主さんも苦しい、骨折の治療
治療は手術が基本
人が骨折をしたら、ギブスを巻くという処置が一般的ですよね。しかし、犬の骨折の場合は、手術による治療が一般的です。麻酔をかけて皮膚を切り、折れた骨と骨を金属のプレートやピンでつなぎ合わせます。 骨折したときから術後にかけては痛みがひどいため、愛犬が痛みで叫んだり、グッタリしている様子を飼い主さんは目の当たりにしなければなりません。
痛みがなくなった後も続く苦痛
痛みがおさまった後も苦痛は続きます。もしかしたら痛みがおさまった後の方が、飼い主さんにとっては辛いかもしれません。骨が完全にくっつくまでには、最低でも1~4カ月程度かかるのですが、その間は子犬にギブスとエリザベスカラーをつけて、ケージの中で安静にさせる必要があります。
痛みがおさまると、子犬は遊びたくて、外に出してほしいと鳴くでしょう。声がかれるほど鳴き続けることもあります。つけっぱなしのギプスがむれて、一生懸命外そうとするかもしれません。エリザベスカラーのせいで掻きたいところは掻けず、お水を飲むのも一苦労。しかし、どんなにかわいそうに思っても、飼い主さんはただその状態を見守ることしかできないのです。
耐え切れなくなって入院へ
このような状態に耐えられなくなると、入院という選択肢を選ぶ場合もあります。しかし、入院中はもちろん愛犬に会うことができません。おうちに迎えたばかりなのに何ヶ月も一緒に過ごすことができないのです。
さらに、子犬期は社会性を高めるための大切な時期。色々なものや人、他の犬に慣れさせておかなければならない、非常に大切な時期なのです。この時期に入院させてしまうと、退院後に人や他の犬に怯えてしまうようになる可能性もあります。
完治するまでの高額な費用
骨折の治療には、まずレントゲン検査でどこの骨が折れているのかを確認します。そして手術で骨と骨をつなぎ合わせます。そして術後の通院や入院を含めると、総額70万円以上かかることもあるのです。
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子犬を骨折から守るために
愛犬が骨折をしないために、飼い主さんはどのようなことに気を付けなければならないのでしょうか。ここでは、今日からできる子犬の骨折予防策を6つご紹介します。
おうちの中の環境を整える
滑り止めマットの設置
ツルツルと滑りやすいフローリングのような床の場合は、かならず滑り止めのマットを敷くようにしましょう。滑りやすい床は犬にとって歩きにくいため、骨折以外にも関節炎やパテラなどの病気を起こしやすくなるのです。
また、足裏の毛を定期的に刈ることも大切です。肉球には滑り止めの役割があるので、つねに肉球が出ている状態が好ましいと言えるでしょう。
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目指せ、段差ゼロ!
ソファーやベッドなど、可能であればできるだけ段差をなくしてあげましょう。椅子なども子犬が一人では登れないようにしてください。 ただ、完全に全ての段差をなくすことは難しいと思うので、そのような場合はスロープをつけるなどして、飛び降りないような工夫が必要です。
落とさない工夫
お出かけの時は必ずリードを着用する
子犬は予期せぬタイミングで興奮することがあります。大きなものに驚いたり、他の犬を見つけたりすると、突如飼い主さんの腕をすり抜けて、地面に飛ぶ可能性があります。 そういう場合、飼い主さんはすぐにしゃがみましょう。高い場所からの飛び降りを防ぐことができます。そして子犬を地面に降ろしても大丈夫なよう、外出の際は必ずリードの着用するようにしてください。
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正しい抱っこの仕方
多少子犬が暴れても、しっかり抱っこをしておくためには、正しい抱っこの仕方を徹底する必要があります。
トレーニングまでできれば完璧◎
興奮したときに子犬を落ち着かせることができる「待て」や、椅子に飛び乗ろうとピョンピョンはねる子犬をおとなしくさせられる「おすわり」なども、骨折予防では非常に役立つトレーニングになります。 こういったトレーニングもぜひ取り入れてみてください。
子犬がすぐに骨折する生き物だということは、おわかり頂けたでしょうか?骨折してからでは遅いのです。骨折対策をしっかり徹底して、子犬の幸せな生活を守ってあげてくださいね!
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第1回:動物整形外科専門医の視点で語る『
第2回:視覚とデータで理解!『骨折の原因』を徹底排除 (本稿)
第3回:骨折発生! もしかして骨折_ を含めた応急処置と対処法
第4回:動物の整形外科とは?~
第6回:骨折の治療法完全ガイド
第7回:⾻折で発⽣する後遺症と合併症
★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、
例えば、下記のように「骨折の特徴」と似た病気やケガを、
□ 子犬に多い
□ 小型犬に多い
□ 緊急治療が必要
□ 手術費用が高額
□ 長期の治療が必要
□ 予防できる
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