肉球を見せて眠る犬

ネット上の動画や画像から各種グッズまで、「犬や猫のかわいらしさの象徴」としての確固たる地位を得た感のある肉球。

それ自体はもちろん、肉球をふにふにされているときの気持ちよさそうな表情なんて見た日にはもう! そんな卑怯なまでの破壊力を持つ肉球ですが、いろいろと機能的な面だって持ち合わせているのです。

英語で人の足は「foot」、では犬の足は?

人の足に比べた、犬の足の構造的な違いで大きな点といえば、「肉球」と「かぎ爪」があることでしょう。前者はおもにクッションなどの、後者はスパイクとしての機能を持っています。犬のほかにも四足歩行する肉食動物の多く、たとえばライオン、シロクマなどは、同じような足の構造となります。

さて、こういった動物の足ですが、日本語と英語では表現の仕方が異なっています。日本では人と区別することなく、単に「足」と呼んでいますね。これが英語になると、私たちの足に使う「foot」「leg」などではなく、「肉球とかぎ爪を持った四足動物の手足」という意味の「paw(日本語的な発音では「ポー」となる)」という単語が用いられます。

外はカチカチ、中はふんわり

犬の肉球の表面は、皮膚のもっとも表面にある角質層が厚くなっている状態です。人で例えるなら「硬くなったかかと」「皮膚が硬くなってできている爪」のような感じになります。皮膚は強い衝撃や圧迫などを繰り返すことで、硬く、厚くなっていきます。犬の肉球が発達していったのも、こうした影響によるものではと考えられています。

一方、肉球の中はというと、コラーゲンやエラスチンといった弾性繊維や脂肪が詰まっています。これがまさにクッションのような役割を果たし、地面から受ける衝撃に対し、足の骨や関節などを守っているのです。

また、犬の肉球には、汗を出すという働きもあります。犬は汗をかかないと思われている方もいるかもしれませんが、肉球には汗腺があり、犬の体のなかで唯一汗を出すことのできる器官です。こうして肉球が湿らされることで、ストッパー、ブレーキとしてのすべり止めの役割も果たしています。

犬と猫、その肉球に違いはあるの?

肉球は、犬だけじゃなく猫にもあります。というか、「肉球といえば猫!」というイメージの方も少なくないのでは? ではこの両者の肉球、何か違いがあるのでしょうか?

違いとしては大きく2つ。まずひとつには「厚さ」です。一般的に、犬のほうが猫に比べて分厚く、頑丈な肉球を持っています。また、犬の場合、肉球内部では動脈と静脈が並行するという特殊な血管の配置となっています。

こうしたことが、犬ぞりなど、雪の上でも犬が素足で問題なく活動できる理由だとされています。比較的硬い肉球を持っていることに加え、雪面で冷やされた静脈内の血液は、すぐそばを流れる動脈の血液によって温められ、全身に送られるというわけです。

とはいえ、硬いといっても結局は皮膚であり、室内飼いなどの犬では肉球も比較的やわらかい状態。さらに肉球のケガは、その構造上、治りにくいことも含め、普段から小さな傷にも注意してあげるのがいいでしょう。

アイペット獣医師

ワンペディアの運営会社であるアイペットに在籍している獣医師チーム。臨床経験...

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