小型犬がかかりやすい足の病気はいくつかありますが、その中でも「レッグペルテス」は痛みが強い病気です。治療せずにそのままにしておくと痛みから全く足を使えなくなってしまうとても怖い病気です。早期の治療と術後のリハビリによって、うまく歩けるようになるかどうか変わります。ここでは、レッグペルテスの詳細と治療法について解説します。

レッグペルテスとは

レッグペルテスは、虚血性大腿骨頭壊死とも言い、股関節に異常をきたす病気です。この病気を発見したドイツの整形外科医「ペルテス」の名前を取って、レッグペルテスと呼ばれるようになりました。

大腿骨頭ってどこ?

「大腿骨頭」は、骨盤と太ももの骨(大腿骨)を結ぶ「股関節」を形成するための重要な部位です。大腿骨の先端は球体になっていて、それが骨盤の臼のような場所にはまり込んで、股関節を形成しています。この大腿骨頭が骨盤の臼の中でくるくる動くことで、後ろ足をスムーズに動かすことができるのです。

レッグペルテスの原因は?

レッグペルテスは、大腿骨頭へ血液がうまく届かなくなり、大腿骨頭が壊死を起こしてしまうことで発生します。なぜ血行障害が起きてしまうのかは不明ですが、遺伝が関与しているのではないかという報告があります。

若い小型犬がかかりやすい

 

レッグペルテスは1歳未満の子犬がかかりやすいと言われています。特にトイ・プードルヨークシャーテリアチワワなどの小型犬に多い病気です。ほとんどの犬は片足のみに発生しますが、レッグペルテスのうち15%は両足に起こると言われています。片方の足がレッグペルテスになってしまった場合は、反対側にも起こる可能性があるので、注意してあげてください。

 

★犬種別病気ガイド『トイプードル』

 

★犬種別病気ガイド『チワワ』

 

★犬種別病気ガイド『ヨークシャーテリア』

 

レッグペルテスになったらどうなるの?

壊死している大腿骨頭が痛くなるので、歩くときに後ろ足に違和感が出るようになります。体重をかけたときに痛みが出るケースが多いので、悪化している足に力を入れないように、反対側の足に重心を置いて、ぴょこぴょこと歩くようになります。

痛みから元気が無くなったり、震えが出たりする子もいます。

レッグペルテスが進行すると…

初期段階では歩き方の変化があまりはっきり出ないので、注意深く観察しないと変化に気付くことはできないことも多いでしょう。

しかし、足の痛みが数週間以上続いてくると、かばっていた足の筋肉がどんどん落ち、左右の太ももの太さに違いが出てくることで、気付くケースがあります。

太ももの太さに左右差がある場合は、すでに病気が進行してしまっている可能性が高いので、できるだけ早く動物病院へ行くようにしましょう。

獣医師はこうやって診断している

初期にはレントゲン検査では異常が認められないこともありますが、進行してくると大腿骨頭の異常がはっきりと認められるようになります。初期段階で発見するにはCT検査が有効だという意見もあるので、CT検査を行う場合もあります。

レッグペルテスと診断されたら

レッグペルテスの治療法

骨折などで折れた骨は再生しますが、レッグペルテスによって壊死した大腿骨頭は再生することはありません。自然に治ることはないのです。根本的に治療をするためには、手術が必要となります。

レッグペルテスになると股関節を動かすたびに、壊死した大腿骨頭に痛みを生じます。そこでその壊死した大腿骨頭を切り落とすことで、痛みを取り除く手術をするのです。

「大腿骨頭が無くなってしまっても大丈夫?」と心配される飼い主さんは多いですが、ほとんど問題はありません。大腿骨頭がなくなっても、周りの筋肉が股関節の関節機能を補助してくれるため、痛みが取れて足を使えるようになると、徐々に歩けるようになります。

術後のリハビリがとっても大切

 

再びしっかり歩けるようになるには、大腿骨頭を切除した後に、リハビリによって筋肉をつけられるかどうかが非常に重要です。

特に小型犬は片足を使わなくても不自由しないケースが多く、健康な足だけで歩く癖が付いてしまう子もいて、そうすると手術をして痛みが取れても、手術した足を使わないようになってしまいます。

健康な足だけで歩くようになってしまうと、全ての体重がその足にかかることになり、健康な足への負担が大きくなってしまいます。その結果、健康なほうの足が他の関節の病気にかかりやすくなってしまったり、高齢になって関節炎などを患ったとき、片足だけでは負担に耐えられなくなって、きちんと立てなくなってしまうこともあるのです。

人工股関節全置換術を行う専門病院も

最近では大腿骨頭切除術の代わりに、悪い股関節を人工関節に変えてしまう「人工股関節全置換術」という手術を実施している病院もあります。整形外科の専門動物病院など、限られた施設でできる治療になりますので、希望する方はかかりつけの先生に相談してみるといいでしょう。

この手術は大腿骨頭切除術よりも関節機能の回復が早く、回復率もいいことが特徴です。ただし、動物の人工関節は非常に高価であるため、手術費用がとても高くなってしまうというデメリットもあります。

 

 

痛そうに足をひきずる愛犬を見るのはつらいことだと思います。けれど、レッグペルテスは早期治療としっかりしたリハビリで、再び元気に歩けるようになる病気です。病院でのリハビリも受けつつ、自宅でのリハビリもがんばってあげてくださいね。

 

★『子犬』に関するワンペディア専門家監修記事はこちらをご覧ください。

 

 

 

★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、犬種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べることができる『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。  

 

 

☞『うちの子おうちの医療事典』で「子犬が注意すべき傷病」を調べる。

 

レッグペルテス

低血糖症

水頭症

骨折

回虫症

ジアルジア症

コクシジウム症

ケンネルコフ

犬パルボウイルス感染症

 

★「ワンペディア編集部」では、愛犬との暮らしに役立つお勧め記事や、アイペット損保からの最新情報を、ワンペディア編集部からのメールマガジン(月1回第3木曜日夕方配信予定)でお知らせしています。ご希望の方はこちらからご登録ください。

 

 

アイペット獣医師

詳細はこちら

関連記事

related article