家族になりたての犬、いろいろな病気やケガをすることがありますが、歩き方がおかしい、首の動きが変と思ったときに気をつけて欲しい「環軸亜脱臼」という病気について確認をしたいと思います。

 

こんな症状がでたら気をつけて

  • 歩き方がおかしい
  • 首を動かしたがらない
  • 上目づかいで見る
  • ご飯を食べない(下を向けない)

 

環軸亜脱臼(かんじくあだっきゅう)とは

哺乳類の首の骨の数は皆共通で7個あります。そのうち、1番目(頭側)と2番目の骨には特別な名前がついていて、環椎(かんつい)と軸椎(じくつい)といいます。この環椎(かんつい)(第一頸椎(けいつい))と軸椎(じくつい)(第二頸椎(けいつい))の安定が保たれず、神経(脊髄(せきずい))を傷つけて、痛みや麻痺などをおこす疾患を「環軸亜脱臼(かんじくあだっきゅう)(=環椎軸椎不安定症(かんついじくついふあんていしょう))」といいます。つまり、首の骨がずれて神経を痛めてしまう病気です。

 

環軸亜脱臼を起こしやすい犬種

一般的には若いうちに発症することの多い病気で、2歳未満が多いと言われています。

※犬種名をクリックすると、「犬種別飼い方ガイド」で「かかりやすい病気」の解説をご覧いただけます。ぜひご一読ください。

 

環軸亜脱臼の原因と症状

原因には大きく2つ、先天性(生まれつきの問題)と外傷性があります。

先天性

軸椎(じくつい)(第二頸椎(けいつい))には歯突起(しとっき)という突起があります。歯突起(しとっき)が環椎(かんつい)(第一頸椎(けいつい))にひっかかるとともにその周りを強い靱帯が保護することで安定性を保っています。しかし、生まれつき歯突起が低形成もしくは無形成である場合や、靱帯自体が緩い場合があります。環椎と軸軸の安定性が保たれず脱臼や亜脱臼を起こしてしまうのです。

外傷性

何かをきっかけに首を大きく下に曲げる動きなどで靱帯の損傷、断裂、そして歯突起の骨折などの障害がおこり不安定症が発症します。

軽度であれば、痛みや体のこわばりなどです。首を動かすことで痛みが生じるので首を動かしたがらず、上目づかいになることがあります。悪化をしていくと、起立姿勢や歩行姿勢の異常などの行動異常がみられます。さらに重症になると麻痺が起きたり、排尿障害や呼吸障害が現れることもあります。最悪の場合は脊髄を圧迫されることで呼吸不全などにより死亡してしまう場合もあります。

 

環軸亜脱臼の診断・予防

一般的に臨床症状や神経学的検査を行います。その後、レントゲン検査を実施し、必要であればCT・MRI検査にて確定診断をつけます。先天性であれば予防法はありませんが、子供を産ませないようにする必要があります。

外傷性であれば、靱帯断裂や骨折につながるような外傷を起こさないよう生活することが予防となります。具体的には、高いところから落とさないよう注意したり、他のわんちゃんに噛まれたりすることのないよう注意しましょう。また、お散歩のときに前に前に引っ張って歩く子は首輪より胴輪の方が首にかかる負担を減らすことができます。

 

環軸亜脱臼の治療

環軸不安定症に関する治療は大きく内科療法と外科療法にわけられます。 どちらの治療を選んでも6週間程度の安静が必要となります。

内科療法

鎮痛薬(痛み止め)を飲みながらギブス等を使用し、とにかく安静にします。一時的に症状を和らげたりすることはできますが、根治治療にはなりません。再発する可能性があります。

外科療法

環椎と軸椎をピンやスクリュー、ワイヤー等を用いて固定する手術です。外科手術の成功率は46-92%と様々な報告がありますが、発症年齢・手術までの期間・術前の重症度によりばらつきがあります。しかし、合併症がなく早期に手術した場合は概ね良好な結果となっています。成功率の高いケースとして、

  1. 患者が2歳以下である
  2. 臨床症状が出始めて10か月以内に治療が実施されている
  3. 術前に患者が歩行可能である

ことが報告されています。 しかし、20%前後の死亡率も報告されており、その大抵は術中・術後直後に起こっています。

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例えば、下記のような切り口から、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

【治療面から】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり

【症状面から】■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い

【対象から】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い

【季節性から】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度から】■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつりやすさから】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる

【命への影響度から】 ■ 命にかかわるリスクが高い

【費用面から】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防面から】 ■ 予防できる ■ワクチンがある

 

★「うちの子おうちの医療事典」で子犬が注意すべき傷病を調べてみましょう

□ 子犬に多い傷病

□ 低血糖症

□ 水頭症

□ 骨折

□ 回虫症

□ ジアルジア症

□ コクシジウム症

□ ケンネルコフ

□ 犬パルボウイルス感染症

アイペット獣医師

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