愛犬に健康で元気にあり続けてもらうためにはさまざまなケアが欠かせません。なかでも今回は耳掃除を取り上げてみましょう。単なる耳掃除にも、初心者の飼い主さんがつい陥りがちな間違いがあるのです…

人と犬の耳掃除、その道具の絶対的な違いとは?

まずは耳掃除に必要な道具を用意します。基本的には2つ、拭き取るための脱脂綿やコットンなどと、耳掃除用のイヤーローション(洗浄液)です。

ここで押さえておきたいポイントは「人用の綿棒は使わないこと」。私たち人間の耳掃除ではよく使われるアイテムですが、犬の場合、耳垢を奥に押し込んでしまうことも多く、そうなると耳の構造上、専門家の手を借りなければ耳垢を除去することができなくなってしまいます。また、犬の耳内の皮膚は大変デリケートなため、綿棒では傷つけてしまう恐れもあるからです。

掃除の仕方ですが、耳の外側(入口)は洗浄液をしみこませた脱脂綿やコットンなどを汚れに押し当て、ふやかし浮かせて軽く拭い去るようにします。決して強くこすったりはしないように。また、耳の中は洗浄液を直接入れ、耳の根元を軽くマッサージすることで耳道内の耳垢など汚れが浮いてきます。

そこで犬が耳に入った水を出そうと頭をブルブルッと振ることで、耳の内部の汚れが液体と一緒に飛ばされて出てきますから、仕上げに耳に着いた汚れを取ってあげればOKです。

嫌がる子には「ご褒美作戦」が効果的

と、ここまで説明してきましたが、ことはそう簡単でもないようで…犬の耳掃除については「その行為」だけでなく、「させてくれない」ことが問題となるケースが少なくないからです。実際、耳掃除を嫌がる犬は少なくありません。なかには洗浄液を見た瞬間に逃げ出すなんてことも。

こうした場合、無理に押さえつけたり、敏感な耳内を強くこすってしまったなど過去の耳掃除がトラウマになっているケースが考えられます。また、とくに強いた行動はとっていなくても、耳掃除自体に嫌悪を感じる犬もいます。そんな状態で無理やり耳掃除をしても、うまくいくはずがありません。

対処法としては、「掃除をするといいことがある」と覚えさせる方法が、効果的です。たとえば、耳掃除の前後でおやつをあげるとか、それ以前に洗浄液の容器を見ただけで逃げ出すような場合は、容器のまわりにおやつを撒くなどして、徐々に慣れていってもらいます。

『正しいおやつの量と与える回数【獣医師が解説!】』『おやつの種類と注意点』などの記事も参考にしてみて下さい!

耳の垂れた犬種はとくに気を遣いたい

耳掃除、というより耳のケアに関しては、犬の耳の形状もポイントになってきます。

とくに日ごろからのケアが重要になるのが、ラブラドール・レトリーバーダックスフンドなど耳が垂れた犬種です。要するに「常に耳に蓋がされている」ため、耳の汚れがたまりやすいのはもちろん、蒸れやすいので雑菌なども繁殖しやすい状態だからです。

こうした耳の垂れている犬種の場合、耳のチェックはこまめに、また、寝ているときなどに耳をめくって蒸れを防ぐなど普段からのケアも大切なポイントとなります。イヤーローションを使う際、耳の中の乾燥を促すタイプを選ぶというのもいいでしょう。

ちなみに、耳の状態によっては、単に汚れているというだけでなく、病気にかかっているケースもありえます。たとえば臭いのある耳垢がたまりやすくなり、頭を振る、耳を掻くなどの行動が増えていたら、外耳炎耳ダニなどの可能性も考えられます。腫れている耳を無理に掃除すると、イヤークリーナーが沁みて嫌がったり、余計に悪化させることがあるので、早めに病院に行きましょう。

汚れが取れてスッキリするだけでなく、病気の予防・発見にも役立つ犬の耳掃除。愛犬のためにぜひトライしてみてください。

 

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★犬種や季節、年齢など、うちの子がかかりやすい病気を調べて予防するため、「うちの子おうちの医療事典」を、ぜひご利用ください。

 

□ 耳ダニ

□ マダニの寄生

□ 外耳炎

 

☞例えば、下記のような切り口から、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり

【症状面】■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い

【対象】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い ■生まれつきの病気

【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつるか】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる

【命への影響度】 ■ 命にかかわるリスクが高い

【費用面】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防面】 ■ 予防できる ■ワクチンがある

 

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アイペット獣医師

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