「最近、愛犬がよくものにぶつかったり、恐る恐る歩いていて様子がおかしいかも…。」

その症状、もしかすると視力が落ちてきている症状かもしれません。人間より早いスピードで成長する犬は老化も早く、8~12歳が初老、12歳以上で老犬と定義されています。「視力の低下」も加齢による老化現象のひとつです。老化による視力低下は仕方がないことではありますが、目が見えにくくなることで生活の中で予期せぬ事故を招いてしまう恐れもあります。

視力の回復は難しいにしても、飼い主さんが愛犬の視力について正しく知ることで、年を取った愛犬に優しい環境を整えてあげることができます。ここでは、高齢になった愛犬の視力低下について解説します。

 

 視力低下がもたらす症状に注目

 

ものによくぶつかったり、段差につまづく事が増える。

ぶつかったり、つまずくことが増えます。ただ、犬は視覚以外にも、聴覚・嗅覚が優れている動物です。慣れている家の中であれば、視力が衰えても普通に生活ができるので、飼い主さんは気づきにくいかもしれません。

初めて行く場所や外出時、または家具の配置などを変えた時に、このような症状がみられないか観察しましょう。

 

恐怖心から怖がりになる。または攻撃的になる。

目が見えにくいことで環境を把握しにくくなり、不安から無駄吠えが増えたり、攻撃的になることもあります。

 

自宅でできる『愛犬の視力チェック』方法

 

瞳孔反射テスト

暗くした部屋で数分犬の目を慣らした後、部屋の照明を明るくした時の瞳孔反射を確認する方法です。暗いところから、明るくした場合、光を正常に感じているならば、光の量を調節するため瞳孔が伸縮します。この瞳孔反射が確認できない場合、視力低下の可能性が考えられます。

 

追跡テスト

音が出ないようにティッシュを丸めた物などを目の前に落としたときに、物を目で追っているか確認する方法です。物体が見えているのならば、視線や首、体が物体を追跡しますが、この反応がない場合は瞳孔反射テストと同様、視力低下の可能性が考えられます。

 

このセルフチェックを定期的に行うことで、何らかの異常を早期発見することができます。

 

 

 

老化だけでなく病気の可能性も

老化で視力が悪くなっているだけでなく、目の病気にかかっていることもあります。視力低下の可能性がある病気と症状をまとめますので、思い当たる節がある場合は、早めに獣医さんに相談してみてください。

 

白内障

白内障は、老犬に良く見られる病気です。徐々に目が白く濁り視力が低下していきますが、進行がゆるやかなケースもあるのでそれなりに順応します。初期段階では、暗いところで物が見えにくくなる等の症状がありますので、薄暗くなってからの散歩を恐がるようになったり、愛犬の瞳が白くにごっているように見えたら、一度獣医さんに相談してみるといいでしょう。白内障について、詳しくは『犬の白内障の症状や予防法』をご覧下さい。

 

結膜炎・角膜炎

結膜炎角膜炎が原因で、かゆみがある場合には、前足でしきりに目をかいたり、擦りつける様子が見られます。また、白目の部分が充血していることもあります。かくことで悪化したり、瞳を傷つけたりすることもあるので、かゆそうにしている様子の場合は早めに受診しましょう。

 

 

緑内障

緑内障は眼圧が異常に高くなる病気です。シーズーマルチーズアメリカンコッカースパニエルビーグル柴犬などが発症しやすいと言われています。顔に触れるのを嫌がったり、眼圧が高くなるので眼がものすごく大きくなったように感じたり、顔の印象が変わります。また、痛みが出るので、顔に触れるのを嫌がったり、触ろうとすると怒ったりする場合もあります。病気が進行すると失明に至ることもあるので、異変に気づいたらすぐに病院で診察を受けましょう。

 

 

目が見えにくくなった老犬との暮らし方

 

一時的な炎症や病気により視力が低下している場合は、治療により回復することもありますが、加齢による視力の低下は残念ながら著しい改善は見られません。飼い主は、目が見えにくくなった愛犬が快適に暮らせる環境を作ってあげましょう。

 

安心感を与える

視力低下に伴い恐怖心を抱きやすくなります。飼い主はなるべく近くで寄り添ってあげましょう。頻繁にスキンシップを取り不安感や恐怖心を拭いましょう。その際、びっくりさせないよう、優しく触れることを心がけてください。

 

バリアフリーの空間を作る

ものにぶつかったり、段差でつまづいたりすることが増えるので、犬の生活スペースはなるべく障害物を減らしてあげましょう。

 

驚かせない

どこに誰がいるのか把握しにくくなるため、急に触ったり大きな物音で驚かせないように心がけましょう。触れるときは必ず声かけをするなどして、近くに人がいることを知らせてあげましょう。

 

ひげをカットしない

トリミングなどに連れて行くとひげもカットされてしまう場合があるので、トリマーさんにひげをカットしないように伝えましょう。ひげの毛根部分には温度や風向き、物体がどこにあるか確かめることができる神経が通っています。ひげは周りの状況を判断する役割をはたしているので、目が見えにくくなった犬にとっては大切なセンサーとなります。

 

明るいうちに散歩に行く

暗いときは目に入ってくる光量が少ないため視界が悪くなります。できるだけ明るいうちに散歩に行きましょう。

しかし、老犬は体力も衰えているので、真夏の暑い時間帯などは避けるようにしてください。

 

犬も高齢になってくると体の色々なところに支障が出てきます。年老いた愛犬に穏やかに過ごしてもらうために、正しい知識を身につけて、きちんと様子を観察するようにしましょう。いつまでも元気で長生きしてもらいたいですよね。

 

 

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後遺症が残ることがある

専門の病院へ紹介されることがある

生涯付き合っていく可能性あり

めずらしい病気

高齢犬に多い病気

 

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アイペット獣医師

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