人間と暮らすようになってから、犬たちはさまざまな場面で私たちをサポートしてきてくれました。だからこそ、非公認を含めて700とも800ともいわれるほどの多くの犬種が誕生したといっても過言ではありません。今回は使役犬の歴史と現代ならではの新しい使役犬の仕事について紹介します。
古代の使役犬の役割とは?
少なくとも1万年以上前にはオオカミが家畜化され、犬になったとされています。犬は社会動物であり、人間の命令をよく理解して従うという特性をもつことから、人と共に長い時間を暮らしてきました。そして人間の暮らしの変化や文明の発展に合わせて彼らの仕事も変化しました。
狩猟犬
最初の犬の仕事は狩猟であったとされます。1万年以上前、人類は狩猟採集生活をしており、犬は人々と一緒に獲物に襲い掛かるだけでなく、人間を獲物の反撃から守ったり、死んだ獲物を見つけて持って来たりしていたと考えられます。9000~8000年前のサウジアラビア北部のハイール地方の壁画で見つかった岩絵には349匹もの犬が、鹿や牛のなかまを追いかけていたり、人間と一緒にライオンと戦ったりするシーンなどが描かれています。
牧畜犬
人間が定住生活をするようになり、牧畜を始めると牧畜犬(牧羊犬)が登場します。紀元前4300年のトルキスタン地方の地層で、羊の骨と見つかった犬の骨が最古の牧羊犬といわれています。牧畜犬には実は2種類あり、1つは家畜を害獣から守る護衛の役割をするもの、もう1つは家畜を統制、誘導する役割の犬です。これらは必要な特性が異なるため、それぞれに異なる犬種が生まれました。
軍用犬
国家が成立して国同士の争いが起こるようになると、犬も戦争に起用されるようになりました。古代ローマでは、マスティフに似た大型の犬同士を交配させて、体の大きな強い軍用犬を生み出したとされています。攻撃や防御だけでなく、伝令など通信にも使われたりしました。
その後人類の歴史の中で戦争のある所に軍用犬は必ずといってもいいほど利用されました。近代でも第一次、第二次世界大戦では、爆弾を探知する探知犬や、負傷者を嗅ぎ分けて薬品を届けたり、救護班を導いたりするなどの衛生犬も登場しました。
そり犬
日本人にとってはあまり馴染みのないそり犬ですが、その歴史は古く、最終氷河期が終わった1万年前には存在したと考えられています。最終氷河期が終わると人類は北極圏へと進出しましたが、長距離の移動や物資を運ぶために犬ぞりを利用していたことが遺跡調査によって分かりました。当時のそり犬の祖先は遺伝子研究からグリーンランドの犬に近いとされていて、この地域の食料であるアザラシやセイウチなど脂の多い食事に適応していたようです。
仕事の違いが犬種を確立
中世に入ると、ヨーロッパで狩猟がスポーツとして流行します。この時、狩猟対象や狩猟方法の違いによってさまざまな犬種が生まれます。鹿などの大型動物を追い立てて狩る、獲物を見つけて主人に知らせる、撃ち落とした水鳥を泳いで探すなど、役割が細分化し、それぞれに適した犬種を交配して作り出すようになりました。
またヨーロッパでは、牧畜の発展、多様化とともに牧畜犬の種類も増え、犬種として確立していきます。現在犬種がこれほど多くなったのは、犬が人間の生活に密着して、それぞれのシーンで活躍できるように次々と犬種が生み出されていったからなのです。
現代の使役犬と新しい役割
古代から中世の時代と違い、現代は、かつての牧畜犬や狩猟犬の多くは愛玩動物へと変わり、さらに機械化によって人々の生活が一変したことで犬が担う役割も変わりました。現代だからこその使役犬が生まれています。
ワーキングドッグ
人間の社会のために働く犬たちで、主に嗅覚を利用して仕事を遂行します。犯罪捜査や犯人の捕獲を行う警察犬、麻薬や銃器、輸入禁止物、爆発物を見つける探知犬、行方不明者を捜索する災害救助犬などがいます。かつては猟犬として活躍した犬種がこの任務に就くことが多いようです。
ソーシャルドッグ
人々の生活をサポートするために働く犬のことで、盲導犬や介助犬などを指します。
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盲導犬
ソーシャルドッグの中で最も古い歴史を持ちます。正式な盲導犬としての育成は第一次世界大戦中のドイツで、戦争のために盲目となった人々のため、訓練を目的とした学校が設立されたのが始まりとされています。日本では1957年に初めて国産の盲導犬が誕生しました。
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介助犬
日本ではまだ歴史が浅く認知度が低いのですが、手足に障害のある人々の生活をサポートするための犬のことで、ドアの開け閉め、スイッチのオン・オフから、買い物の手伝いなどさまざまな仕事をこなします。1970年代のアメリカで始まり、日本では1992年にアメリカから一人の女性が介助犬を連れ帰ったことが始まりです。2004年に全国介助犬協会(現日本介助犬協会)が設立され、本格的な育成、障害者への提供が始まりました。
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セラピードッグ
セラピードッグには3種類あり、医師や看護師と連携して医療行為として行われる活動(動物介在療法)と、犬とのふれあいによって心を癒したり生活の質を高めたりする活動(動物介在活動)、そして犬を通じて教育効果をあげる活動(動物介在教育)があります。これらの活動は、犬とハンドラーの訓練はもちろん、それぞれ医療従事者や福祉、教育の専門家と連携して対象者に適したプログラムを立案し、進めていくことが特徴です。
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