なんだか昔に比べてよたよた歩くようになったなあ…。こんな風に愛犬の年齢が気になるタイミングってありますよね。犬も人間と同じように、歳を重ねるごとに体力が衰え、病気にもかかりやすくなります。愛犬ができるだけ長く、健康で幸せに暮らせるよう、飼い主さんは老犬がかかりやすい病気やその対策方法を知っておくことが大切です。
ここでは、高齢犬がかかりやすい代表的な病気をご紹介します。
心臓病
心臓は体中に血液を送る、ポンプのような働きをする重要な臓器です。脳も肺も筋肉も、体が生命活動を続けるためには、血液によって送られてくる酸素やエネルギー(糖分)が必要不可欠。
心臓病にかかると、心臓がうまく働かなくなり、血液の供給が滞ってしまいます。血液の流れが止まってしまうと、細胞が壊死してしまい、生命活動を続けることができなくなってしまうのです。
心臓病には様々な種類がありますが、基本的には投薬での治療がメインとなります。病気が進行するほど薬の種類が多くなりますが、早期発見・早期治療ができれば、薬の種類も少なくすみますし、犬へかかる負担も軽くなります。
こんな症状に気をつけて
心臓病にかかると次のような症状が出てくるようになります。詳細は『愛犬が心臓病だと診断されたら?症状や治療法、注意点など』を参考にしてみてください。
□ 元気がない
□ 散歩を嫌がる、疲れやすい
□ 咳が出る
□ 呼吸が苦しそう
□ 舌の色が紫色になっている
□ お腹が膨らんできた
□ 突然ふらついたり、倒れたりする
慢性腎臓病(慢性腎不全)
腎臓は血液中の老廃物をこし取り、尿として体外に排出する重要な役割をもつ臓器ですが、色々な原因でその機能が低下していくと慢性腎臓病になります。
慢性腎臓病になると、体内の老廃物を体外に排出することができなくなるので、そのまま放置していると徐々に弱っていき、最終的に死に至ります。腎臓は再生しない臓器なので、一度機能を失うと元に戻ることはありません。そのため、早期発見・早期治療により、少しでも残っている腎臓の機能を維持できるような治療をすることが何よりも大切なのです。
こんな症状に気をつけて
慢性腎臓病にかかると次のような症状が出てくるようになります。詳細は『犬の腎不全(腎臓病)ってどんな病気?症状、治療法とは』の記事をご確認ください。
□ 水をたくさん飲み、おしっこの量が増える
□ 慢性的な食欲不振
□ 嘔吐の回数が増える
□ 便秘になる
□ 皮膚をつまんでも戻りにくい
□ 毛がぼそぼそになる
□ 口臭がきつくなる
癌(ガン)
犬も人間と同じように癌にかかります。
癌というのはがん細胞の集まりです。実はこのがん細胞、人間でも犬でも猫でも、体内のいたるところで毎日のように生まれています。基本的には、体を守る免疫機能がそれを取り除いてくれているのですが、免疫機能をすり抜けて大きくなってしまうと、癌(悪性腫瘍)として体に害を及ぼすようになるのです。
癌は放置しておくとどんどん大きくなるだけでなく、他の臓器などに転移することもあります。発見が遅れると、より治療が困難になるので、早期に治療をする必要があります。
こんな症状に気をつけて
体のどこかに癌ができた場合、次のような症状が出てきます。
□ 痩せてくる
□ 元気がない
□ 食欲がない
□ 発熱
□ 癌のある部分を気にするようになったり、痛がったりする
□ 呼吸が苦しくなる(肺に転移した場合)
*詳しくは、「愛犬が癌だと診断されたら?検査方法や治療法を正しく理解しよう」を参照してください。
歯周病
日本で多くの高齢犬がかかっているのが歯周病です。歯周病と聞くと、「歯の病気なんだから治るでしょ」と軽く考える方もいるかもしれませんが、犬の場合は厄介です。治療のためには歯についた「歯石」を削り取らなくてはならないのですが、犬の場合、暴れて口内を傷つけないように、全身麻酔をかけて処置をすることが一般的です。
高齢犬に麻酔をかけることは、体にかかる負担が大きいため、できれば飼い主さんが毎日歯磨きをしてあげるなどして、歯周病予防を徹底することが理想です。
*詳しくは、「放置すると恐ろしいことに!犬の歯周病とは」を参照してください。
こんな症状に気をつけて
とはいえ、歯周病が進行した状態を放置すると、歯の根元に膿が溜まったり、心臓や腎臓へ悪影響を及ぼしたり、顎の骨を折ってしまう事もあるので、以下のような症状が出てきた場合は絶対に放置せず、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。
□ 口臭が酷くなる
□ 歯がぐらつく
□ 口を痛がる
□ 硬いものが噛めない
ここで紹介した病気はあくまで一例ですが、どのような病気でも、飼い主さんが愛犬の変化や症状に気付けるかどうかが大きなポイントとなります。高齢になってきたら、今まで以上に愛犬の様子を確認してあげてください。
また、定期的な健康診断にも連れて行ってあげるといいでしょう。飼い主さんでは気付けないような変化を、かかりつけの獣医師が気付く可能性もあります。
年齢に伴う病気は避けられないものもありますが、愛犬とできるだけ長く、幸せな時間を過ごすためにも、できることは積極的にやってあげてくださいね。
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