愛犬と一緒にくつろいでいる時、突然「ぷぅーっ」と音がして驚いたことはありませんか?犬も人間と同じく、おならをします。自分でしたはずのおならの音にビクッとしたり、しらじらしく知らんぷりをしたり、おならをした後の犬の様子はかわいくて、思わず笑っちゃいますよね。しかし、たまにおならがひどく臭うときがありませんか?臭いおならは病気のサインなのでしょうか?おならをするメカニズムと対策について見てみましょう。

 

「おなら」のメカニズムと原因

おならは、小腸、大腸等にたまった余分なガスが肛門から出たものを指します。ちなみに、胃のガスが口から出たものが「げっぷ」です。 ではそのガスはどのように発生するかというと、体外から取り込むか、体内で生成したかのどちらかです。

 以下の原因をみて、何か思い当たることがないかチェックしてみましょう。

 

外の空気を飲み込んでいる

空気を大量に飲み込んでしまうと、おならの原因になります。食事を食べるのが早い犬の場合、食べ物と一緒に大量の空気を飲み込んでしまい、腸内にガスがたまる原因となります。また、運動直後は呼吸が乱れて口呼吸をしているため、運動直後に食事を与えると、より空気を飲み込みやすくなります。

犬のおなら

また、鼻がつぶれている短頭種の犬ボクサーボストンテリアブレンチブルドッグパグ、等)や、太り過ぎている犬は、おならをしやすい傾向にあります。顔の構造的に鼻呼吸が下手で、口呼吸をする習性があるため、余分な空気を吸い込みやすいのです。

 

食べ物を消化するときに発生したガス

犬の腸内には多様な細菌が生息しています。こういった腸内細菌は、犬が元々もっている酵素では消化しきれなかった食物や繊維等を栄養源にして生きています。腸内細菌には良い働きをしている側面もありますので、一概に悪いというわけではないのですが、副産物として様々なガスを発生させ、これがおならの原因になります。犬が消化しきれないほどの栄養分を与えてしまうと腸内細菌が活発になりますので、食事の内容はおならに大きく影響します。

例えば犬や猫は、人間と比べて乳製品に含まれる物質を分解するための酵素を十分に持っていません。そのため、乳製品を与えすぎると消化不良を起こしてしまい、腸内にガスがたまる、下痢になる等の症状が出てきます。

乳製品の他にも、食物繊維を多く含む食べ物も腸内細菌を活発にします。そのため、大豆・ピーナッツ類・豆類・キャベツ・ブロッコリー・カリフラワーを多く含んだ食事は、腸内細菌を活発にさせやすいので、原材料にこうした食品が多くないか、与えすぎていないかは注意した方がいいでしょう。

 

病気・ストレス

げっぷをたくさんするおならの回数が多い、おならで大きな音が鳴る等の場合は、胃腸にガスがたまっていて、病気や体調不良の兆候である可能性があります。また、おならが異様に臭い場合は注意が必要です。疑わしい病気をいくつかあげておきましょう。

 

炎症性腸疾患:腸内環境が乱れ、臭いおならが増えます。

大腸がん:腸内に腫瘍があると、悪臭の強いおならが増えます。

慢性胃炎:胃の機能が低下するため、消化不良の食物が腸に留まることで、おならが増えます。

 

その他、痛みを伴う病気をすると、パンティング(早く浅い呼吸)が増えるため、飲み込む空気の量が増える事でおならが増えることも考えられます。また、ストレスを強く感じると、慢性胃炎のケースと同じく、胃の機能が低下するため、消化不良の食物が腸に留まることで、おならが増えます。

急におならが増えた場合は、このように別の病気が見つかる可能性もあるので、普段と頻度が異なるようだったら、一度獣医さんに相談したほうがいいでしょう。

※こちらはあくまで参考ですので、症状が深刻な場合はご自身での判断は避けて獣医師によく症状を説明して相談をしてください。

 

おならへの対策

食事の食べ方や内容が原因の場合には、ご自宅でもできる対策がいくつかありますのでご紹介します。

食事の与え方を変える

空気を大量に吸い込んでしまうことを防止するために工夫できることがあります。

食事を小分けにして与える

食事の総量は変えずに、少量ずつ与えるようにしてみましょう。食事の頻度を増やしてみてもいいですし、小さなボウル複数個に分けて食事を与えてみてもよいと思います。

早食いできないフード皿を使う

早食い防止のためのフード皿も色々な種類が販売されているので、試してみてもいいでしょう。

食事内容を変える

前述したように、食事内容は腸内細菌に大きく影響し、おならの原因にもなります。

具体的には、食物繊維を減らす、乳製品を食べさせない等の対策が考えられます。またフードを変更する際は、1週間以上かけてゆっくり行い、消化不良を起こさないように注意した方がいいでしょう。多量に摂取することを避けた方が食品・そもそも犬に食べさせてはいけない食品は『犬に与えてはいけない危険な食べ物【獣医師が解説!】』よりご確認下さい。

 

肛門腺絞り

おならではなく、肛門腺に分泌物がたまって悪臭がしている可能性もあります。犬の肛門付近には「肛門腺」と呼ばれる腺があり、独特の臭いを持った液を分泌しています。通常は排泄物と一緒に体外へ排出されるのですが、小型犬は自力でこの分泌液を排出することができない場合があります。もし、常に臭いがするのであれば、肛門腺絞りをしてみてはいかがでしょうか?詳しいやり方は『犬の肛門腺の絞り方【獣医師が解説!】』をご覧下さい。

肛門腺絞り

臭いおならだからと言って必ずしも病気とは限りません。しかし、あまりにもおならの頻度が高かったり、ひどい悪臭が続くようでしたら、なにかしら体内でトラブルが起こっている可能性があります。気になるようなら一度かかりつけの獣医さんに相談してみるとよいでしょう。

 

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めずらしい病気

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