多くの飼い主が、愛犬の耳のトラブルを体験したことがあるのではないでしょうか。犬の耳の構造は人間のものより複雑で、病気やトラブルを起こしがち。放っておけば重大な症状につながりかねません。しかし、日々のケアで防げることもあります。愛犬の耳トラブルを回避できるよう、飼い主として正しい知識を身につけましょう。
犬の耳の形と特徴について知っておこう!
犬の耳は主に立ち耳か垂れ耳
人間の耳はみな一様に、頭の側部、目の横についていますが、犬の場合は犬種により耳の位置や形が異なります。種類は大きく分けて2つ、「立ち耳」と「垂れ耳」です。立ち耳とは、その名の通り立っている耳のことで、頭のてっぺんについているもの。垂れ耳とは垂れている耳で、左右の側頭部についているものをさします。ぞくに半立ち耳と呼ばれるものもありますが、これは垂れ耳に属します。パピヨン特有のリボンのような耳はバタフライイヤーと呼ばれることもありますが、これは立ち耳の一種です。
犬の耳の内部はL字構造
外見からは分かりませんが、犬の耳の内部はL字のような形をしています。外から見える部分である外耳(がいじ)、外耳から直角に曲がった先である中耳(ちゅうじ)につながり、さらにその先の内耳(ないじ)につながります。人間の耳は外耳から内耳までが一直線のI字なので、犬の耳のほうが複雑な構造と言えます。
もう一つ、人と犬の大きな違いと言えば、耳毛です。犬の耳の中は人間と違ってたくさんの毛が生えていますが、耳毛を処理する必要は基本的にはありません。健康面などの理由で処理をしたいという場合は、人間の眉用ハサミなどを使ってカットしてください。炎症の原因になりかねないので、ピンセットで毛を抜くことはやめましょう。
犬の聴覚は人間の聴覚の何倍あるの?
犬は男性よりも女性の声のほうが好きという説
一般的に、犬の聴覚は人間よりも優れていると言われています。人間にとっては超音波のような高い音域の音も拾えていている、ということが研究により判明しています。
また犬は「男性より女性の声のほうが好き」、「低いトーンより高いトーンで呼ぶほうが喜ぶ」と言われることがあります。科学的に証明されているわけではありませんが、飼い主さんの中にはそう感じる人も一定数いるようです。「人間の何倍聞こえているか?」と言うと、犬種や個体、トレーニングの有無により聴覚に大きな差があるため一概には答えにくいのですが、人より広い音域の音を拾うことができるというのは確かだと言えるでしょう。
音をよく拾うために垂れ耳を切って立ち耳に?
ドーベルマンやピットブル、ミニチュアピンシャーなど、軍用犬や使役犬としてトレーニングされた犬と、そうではない犬を比べると、前者の聴覚ははるかに敏感です。こうした犬たちは音を拾いやすくするために、子犬の頃に垂れ耳を切ります。そして数週間から数ヵ月、耳の中に棒を立ててテーピングで固定し、立ち耳に変形させるのです。しかし動物愛護的観点からこうした習慣は少しずつ減ってきています。
耳の動きで読み取れる犬の感情とは?
犬にとって耳は、ただ物音を拾うためだけの器官ではなく、これを動かすことで感情を示すことができるものです。耳をピンと立てている時はなにかに興味を示している、耳を前に倒している時は不安を感じていたり威嚇したりしている、後ろに倒している時はリラックスしているなど、飼い主さんは耳の動きから犬の気持ちを理解することができます。なお、耳の動きから感情を判断しているのは人間だけではありません。犬同士もお互い、耳の動きを見て、感情を分かち合っているのです。
*詳しくは『【獣医師監修】犬の感情は耳で分かる?!立てるとき、倒すとき、下がるときの気持ちを読み取ろう』をご覧ください。
外耳炎や中耳炎など、犬の耳の病気を知っていますか?
犬の耳の構造上、外耳炎はとても身近な病気です。また外耳炎を放置しておくと、中耳炎や内耳炎になってしまう恐れがあります。悪化すると、耳にとどまらず脳や神経系にまで悪影響を及ぼす可能性があるので、症状が軽いうちに治療をしておきましょう。外耳炎が極度に悪化すると、耳が異常に腫れ上がる耳血腫という症状を引き起こすこともあります。そのほか、子犬が耳を異様に痒がる仕草を見せれば、耳ダニなどを疑いましょう。
犬の耳は人間より複雑。特に日本は湿気が強いので、風土的に耳の病気が起きやすいと言えます。耳の病気は繰り返したり、放置しておくと悪化したりする可能性もあるので、普段から犬の様子や耳の内部をよく観察し、異常がないかチェックする習慣をつけておくといいでしょう。
★ワンペディアの『耳』に関する獣医師監修記事は、こちらをご覧ください。
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- 耳掃除☞「犬の耳掃除。どれくらいの頻度ですればいいの?注意点は?」
外耳炎
耳血腫
耳ダニ
☞例えば、下記のような「症状」による検索でも、
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