「いつも白いはずの耳の中が真っ赤になっている!これって何かの病気?」犬の耳が赤いとき、多くの場合は、炎症状態であると考えられます。何が原因で耳に炎症が起きるのか?また耳が赤い場合どうすればいいのか?原因と治療法について解説していきます。
犬の耳は通常、ほんのりピンク色を帯びた白色
健康な犬の場合、耳はほんのりピンク色を帯びた白色(肌色)をしています。匂いや熱はなく、耳垢は出ていないのが普通の状態です。しかし何らかの不調で耳にトラブルが起きている場合は、熱感を帯びたピンク〜赤色に変色します。耳が赤い場合は炎症を起こしていると考えた方が良いでしょう。
炎症がひどくなると耳道が狭くなる、耳道狭窄(じどうきょうさく)になりかねません。耳道狭窄とは、外耳から耳奥につながる部位(耳道)に菌が繁殖することで腫れて狭くなる状態です。触れると痛むため、犬が耳を触らせてくれなくなり治療が困難に。こうなると、まずはステロイドで耳道狭窄を治療してからでないと次の治療を行えなくなるので、完治に時間がかかってしまいます。
炎症の原因のひとつはアトピー。3歳までは要注意
犬のアトピーは3歳までに発症することが多いと言われています。3歳以降に突然、発症するケースは極めて低いので、赤みや炎症の原因はほかにあると考えるべきでしょう。また肌には出てないのに外耳にだけ症状が現れるということもあります。アトピーは一旦発症すると完治が難しく、長年のつきあいになることも。そうならないためにも、普段から清潔な飼育環境や日々のケアが大切です。
アトピーになりやすい犬種とは?
垂れ耳は立ち耳に比べ耳の内部に菌が繁殖しやすく、耳トラブルを起こしやすいです。また耳の形状とは別に、アトピーが出やすい犬種というのも存在します。シーズー、柴、プードル、ヨークシャーテリアなどはその代表的な例。垂れ耳やこれらの犬種の飼い主さんは、3歳までは特にアトピーの発症に注意しておいてください。
治療と予防について
アトピーの場合、治療は長期間におよび、ステロイド剤や免疫抑制剤、抗ヒスタミン薬のほか、インターフェロンなどを継続的に使用して行います。完治まで時間がかかる反面、年齢と共に症状が軽くなることも。過度に心配せず根気よく治療に取り組みましょう。
耳が赤いとき、アトピー以外に考えられる病気とは?
赤み以外にどんな症状が起きていますか?アトピー以外にも、耳に炎症を起こす病気は考えられます。耳が赤く熱っぽい、赤くて臭い、赤く腫れている、赤く痒がっている、赤く耳垢が大量に出るなど、さまざまなパターンがあります。そんなとき、まず浮かぶのは外耳炎です。外耳炎は耳のトラブルの中で最も多く、症状はさまざま。赤みが出るときもあれば、耳垢が出ることもあるので、犬の様子をしっかりと観察し獣医師に伝えられるようにしましょう。
耳の病気は、すぐに治るようなものもあれば、外耳炎のように繰り返し症状が現れたり、アトピーのように治療が長期に渡ったりするものまでさまざまです。かかりつけの獣医師に普段の状態を共有しておくと安心ですね。
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