ずんぐりしていて、ふわふわした毛をもつペキニーズ。耳や全身から生えた長くボリューミーな被毛と、他の小型犬に比べて低めの体高から、ウサギやチンチラなどの小動物に似た愛くるしさが感じられます。シー・ズーと見分けがつかない、とよく言われますが、ペキニーズはシー・ズーよりも足が短く、毛がボリューミーで口吻(こうふん(「マズル」とも呼びます)、顔の中で鼻と口の部分)が短いようです。

ペキニーズのパラメーター

ペキニーズの飼いやすさ

お留守番耐性 ★★★★★
しつけやすさ ★★☆☆☆
必要な運動量 ★★☆☆☆
抜け毛の多さ ★★★★☆
必要なブラッシング量 ★★★★☆

ペキニーズの性格

人への人なつっこさ ★★☆☆☆
他の犬への友好度 ★★☆☆☆ 

ペキニーズの性格

小動物のような愛くるしい見た目をしている一方で、その性格は独立心が強く、マイペースで頑固と言われています。例えて言うと猫のような気質をしていて、さっきまで甘えてきていたかと思えば、たくさん撫でてもらって自分が満足すると、「もういいや」とどこかへ行ってしまうような一面があるようです。また、頑固で勇敢な性格ゆえにしつけで苦労することが多いといわれています。ペキニーズは自分がリーダーになりたがる傾向があるので、子犬のころから飼い主が威厳をもって接することが重要です。

家族には忠実な性格ですが、見知らぬ人には一定の距離を保つ傾向にあります。この、猫のように気まぐれで媚を売らない性格が、「なんとかして手懐けたい!」と人の興味をつかむのかもしれませんね。

ペキニーズの歴史とルーツ

ペキニーズは、中国のラマ教のシンボルである獅子に似せてつくられた犬種だと言われています。その結果、ペキニーズは「獅子犬(=ライオン・ドッグ)」という名前で知られるようになりました。7‐8世紀に唐朝でペキニーズの記録がありますが、起源はさらに古いといわれていて、シー・ズーはこの犬がルーツとなっているそうです。唐朝の時代には、多くのペキニーズが王族の一員として寵愛を受けていました。宮殿内に泥棒が入ってペキニーズを一頭でも盗もうものなら、死刑になったであろうといわれるほどです。皇帝たちはペキニーズを袖に入れて可愛がっていたため、「袖犬(=スリーブ・ドッグ)」とも呼ばれていました。

ペキニーズが欧州に渡ったのは、1860年、アヘン戦争で中国と戦ったイギリスの士官が、宮廷に置き去りにされた5、6頭のペキニーズを自国へ持ち帰ったのが最初だといわれています。そのうちの1頭がヴィクトリア女王に献上され、瞬く間にこの犬が注目されるようになりました。

 

ペキニーズを飼うときに気をつけたいこと

被毛の豊かさと、短い口吻のことを考慮した飼育をしてあげましょう。ペキニーズは毛が多く暑さに弱いため、熱中症をおこしやすいといわれています。暑い地域や季節には、冷房の効いた場所で飼育しましょう。また、ペキニーズはパグブルドッグなどと同様に口吻が短く、口周りのしわに汚れが溜まりやすくなっているので、できれば毎日このしわを拭いて清潔に保ってあげましょう。放っておくと感染症の原因になる場合があります。なお、ペキニーズは活発ではなく運動量も少ないため、飼育スペースはそれほど確保できなくても問題ありませんので、マンションなどでの飼育にも向いているといえます。

ペキニーズの成長

ペキニーズは小型犬ですが、足が短く全体的にずんぐりしているため、小さな体のわりに体重がやや大きいようです。このようにもともと体重がやや大きめであること、運動量が少ないこと、全身がボリューミーな毛でおおわれていることなどから、気付かないうちに肥満になってしまう場合も多いので注意しましょう。サイズの目安としては体高がオス・メスともに15‐23cmほど、体重がオス・メスともに6kgより小さいものがスタンダードとされています。

ペキニーズとお散歩

運動量が少ないため、お散歩でたくさん歩いたり動いたりするよりも、外をのんびりと歩いたり、室内で遊んだりすることを好みます。他の犬や人に興味を示さなかったり、歩きたがらなかったりする場合もあるかもしれませんが、ペキニーズは肥満になりやすく、もともとの独立心の強い性格上、社会性を身につけさせることも重要なので、できれば毎日外に連れて行ってあげましょう。目安としては一日一回、30分程度です。

 

獣医師解説の関連記事☞「愛犬の肥満、放置しておくと大変なことに!」

 

ペキニーズの毛のお手入れ

ペキニーズのコートは全体的に長くボリューミーで、硬くて長めの上毛と、柔らかく分厚い下毛のダブルコートです。下毛は季節の変わり目などに抜け落ちて、毛が生え換わります。この時期を換毛期と呼びますが、換毛期には普段よりも抜け毛がかなり目立つようになるので、毎日毛のお手入れをしてあげるのが望ましいでしょう。換毛期以外でも、少なくとも一週間に一回はお手入れが必要です。その際は、最初にクシでコーミングをし、もつれや毛玉を取り除いてから、スリッカーブラシで毛並みを整えるといった手順になります。

またペキニーズは、毛を切らなければ床につくほど長くなるので、毛の短い状態を保ちたいのであれば定期的なトリミングが必要です。特に夏場などは、熱中症を避けるためサマーカットにすることが多いようです。詳しくは「意外と知らない、犬にトリミングが必要な理由」をご覧ください。

 

ワンペディアの「トリミング」関連記事は、こちらをご覧ください。

トリミングの目的☞「意外と知らない、犬にトリミングが必要な理由【獣医師が解説】

自宅でトリミング☞「初心者でも簡単!自宅でできるトリミング【獣医師が解説】

バリカン講座☞「初心者向けのバリカン講座!犬の足裏のお手入れ方法【獣医師が解説】」

ブラッシング☞「獣医師が解説!犬の正しいブラッシング

 

ペキニーズの毛の色

JKCの規定では、あらゆる色とマーキングの毛色が許容されています。具体的な種類は以下の通りです

Dog in travel case

レッド


White Pekingese Pekinese Peke Whelp Puppy Dog Sitting On Wooden Bench

ホワイト


Pekinese puppy

ブラック


Pekingese puppy on white background

シルバー


Pekingese6

その他、色々なカラーが混ざったもの

ペキニーズのからだつき

体高より体調がやや長く、幅が広くてずんぐりした体をしています。左右の耳は離れてついていて、耳の毛は伸ばすと口吻の下まで達します。口吻や鼻は短く、しわが寄っています。尻尾は高く位置し、背中の上に背負っています。前肢は短くがっしりしていて、ペキニーズはこの骨格から、体を横に揺らしながらぽてぽてと歩く独特の歩き方をします。この歩様はローリングと呼ばれ、どこか女性的な優雅さを感じさせます。

ペキニーズの気をつけたい病気

鼻腔狭窄

軟口蓋過長症

乾性角結膜炎

口吻が短いため、呼吸器疾患である鼻腔狭窄軟口蓋過長症がみられることがあるようです。鼻腔狭窄は鼻腔が狭く呼吸が困難になる病気で、軟口蓋過長症は鼻腔と口腔を分ける軟口蓋の部分が通常よりも長く、呼吸がしにくくなる病気です。どちらもほとんどが先天性のため予防は難しいとされていますが、適切な治療や外科手術を受けることで症状が緩和されます。

また、ペキニーズは目が突出していて大きいため、乾性角結膜炎のように角膜を傷つけたりして目の病気にかかることが多いので、日ごろから目を傷つけないように注意してあげるとよいでしょう。

公式データ

JKC分類

9G 愛玩犬

AKC分類

トイ・グループ

原産国

中国

体高

オス・メスともに15-23cm

体重

オス・メスともに6kgより小さい

 

『犬種別病気ガイド』でペキニーズを調べる

犬は種類や体型、年齢によってかかりやすい病気・ケガが異なります。犬種別病気ガイドでは、犬種ごとのかかりやすい病気や特徴、飼育ポイントなどをご紹介しています。

ペキニーズの特徴

ペキニーズの飼育のポイント

ペキニーズのかかりやすい病気・ケガ

ペキニーズの保険金請求事例

 

 

★犬種や季節、年齢など、うちの子がかかりやすい病気を調べて予防するため、『うちの子おうちの医療事典』を、ぜひご利用ください。

うちの子おうちの医療事典

 

ペキニーズのかかりやすい病気を『うちの子おうちの医療事典』でみる

乾性角結膜炎

軟口蓋過長症

外鼻孔狭窄症

 

☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

再発しやすい

長期の治療が必要

初期は無症状が多い

命にかかわるリスクが高い

生涯かかる治療費が高額

高齢犬に多い

病気の進行が早い

緊急治療が必要

入院が必要になることが多い

かかりやすい病気

他の犬にうつる

人にうつる

予防できる

子犬に多い

アイペット獣医師

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