熱中症は、暑さが厳しい中でのお散歩や、温度・湿度が高い室内や車内でのお留守番などが原因で発生します。人間の場合、汗をかいた後はスポーツドリンクを飲んでミネラルや塩分の補給をしますが、犬も同じようにスポーツドリンクが有効なのでしょうか。ここでは犬の熱中症とスポーツドリンクの関係について紹介していきましょう。
犬の熱中症とはどんな状態のことを言うの?
熱中症とは気温の上昇や直射日光などの影響で体温が上昇し、血液がうまく循環できなくなり、全身の臓器の働きが鈍くなることを言います。たとえば生卵を40℃のお湯に入れると次第に周りが白く固まって来ます。熱中症とは、それと同じ状況が犬の体内で起こっているということなのです。
体温調整が難しい犬は高体温になりやすい
犬は人間のように汗をかいて体温調整をするのではなく、パンティング(ハアハアという口呼吸)で調整しています。しかし、外の気温が高いとパンティングをしても体内の温度が下がるどころか、むしろ温められて体の中は高体温の状態になってしまいます。
体温が43℃を超えたら手遅れの場合も
通常、犬の体温は38℃ぐらいが適温で、体温が43℃を超えたときを熱中症と言うと定義されています。ただし43℃を超えたときにはすでに手遅れという場合が多いのです。そのため、そうなる前に対処することが大切です。ここでは熱中症のサインが出始めたときの初期症状をも含めて熱中症と捉え、その危険について触れていきます。
飲物は水がいいの?それともスポーツドリンク?
熱中症対策として飲ませる場合は、水が最適です。というのも犬に水を飲ませるのは、気温の上昇や直射日光の影響で上がった体温を下げるためなので、常温の水をたっぷり飲ませてあげましょう。スポーツドリンクは犬の熱中症対策としてはふさわしくありません。
犬も塩分補給をした方がいい?
人間は大量に汗をかくと体内のミネラルや塩分が失われ、それを補うためにスポーツドリンクを飲むとよいとされています。ですが犬は、水分を蒸散させる汗腺が少なく、汗で必要な成分が失われることがないので、スポーツドリンクを飲ませる必要はありません。
水を飲みたがらない犬には与えてもいい?
水を飲みたがらない犬には、水分補給対策として犬用に販売されているスポーツドリンクを少し入れて水に味をつけてあげるとよいでしょう。また、人間用のスポーツドリンクをあげる場合は、ボトルタイプでなく水に溶かして飲む粉末状の製品を選び、人間用に使う水の量の3〜4倍の水で薄めてください。ナトリウムを含んでいるので、心臓病を患っている犬には飲ませないようにしましょう。
スポーツドリンクを与えるときの注意点は?
人間の場合は冷やして飲みますが、犬の場合は冷やすと下痢などの症状を引き起こすこともあるので、常温で飲ませてください。また、犬用のスポーツドリンクの場合も大量に与えると塩分や糖分の取り過ぎになるので、少量にとどめておきましょう。スポーツ飲料はたまに飲ませるのはよいですが、習慣化させないように注意してください。
人間と犬は体温調整の方法が違うので、人間にとってよいとされているスポーツドリンクを犬に与える必要はありません。たまにご褒美やおやつ代わりに少量あげてもよいですが、必要がなければ与えなくてよいでしょう。
『熱中症』に関する獣医師監修記事は、こちらをご覧ください。
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■ 犬と車でお出かけする場合の、車内や車外での熱中症対策は?
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■ 緊急治療が必要
■ 予防できる
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