40歳以上の日本人は、20人に1人緑内障といわれており、比較的良く耳にする病気だと思います。今回は犬も人と同じように罹る「緑内障」という病気について確認をしたいと思います。

こんな症状がでたら気をつけて

□眼がでっぱってる

□眼が緑色に見える

□最近、物にぶつかる

□顔を触るのを嫌がる

□何か痛がっている気がする

□元気がない

□ずっと寝ている

 

緑内障とは

獣医領域においては「緑内障(りょくないしょう)≒高眼圧症(こうがんあつしょう)」です。眼圧というのは眼の硬さのことです。つまり、眼の中の圧が上がり、痛みや視力の低下・失明などの視野に関する障害がでてしまう病気です。

眼圧とは

眼圧とは「眼の中の圧力=眼の硬さ」のことを言います。眼の中は硝子体(しょうしたい)と房水(ぼうすい)という水で満たされていて、主に「房水(ぼうすい)」の量により眼圧が保たれています。眼圧が一定に保たれることで眼が球形でいられるのです。 房水は毛様体(もうようたい)という場所で作られ、青い経路で流れ出て捨てられていきます。作られる量が捨てられる量より多くなる時に眼圧が上昇します。 眼圧が上昇することで、視神経を圧迫してしまい、痛みがでたり視覚が障害されてしまうのです。

緑内障の原因と症状

原発性緑内障と続発性緑内障に分けられます。

原発性緑内障

生まれつきの眼の構造が原因の場合をいいます。主に中高齢の犬にみられやすいです。眼の構造により発症しやすい犬種があります。(20種程度)

 

柴犬

柴犬

 

 

 

 

 

 

 

☞『犬種別病気ガイド』の「柴犬のかかりやすい病気」はこちらをご覧ください。

 

アメリカン・コッカー・スパニエル

アメリカンコッカ―スパニエル

 

 

 

 

 

 

 

☞『犬種別病気ガイド』の「アメリカンコッカ―スパニエルのかかりやすい病気」はこちら

 

シー・ズー

シー・ズー

 

 

 

 

 

 

 

☞『犬種別病気ガイド』の「シー・ズーのかかりやすい病気」はこちらをご覧ください。

 

 これらの種類の子たちは生まれつき、目の中の水(房水)を外に出すための出口が狭いため緑内障を起こしやすいです。

 

続発性緑内障

他の疾患が原因で緑内障が起きる場合をいいます。

白内障

□ぶどう膜炎

□水晶体脱臼

□前房出血

□眼内腫瘍

このように緑内障は色々な病気と関連して引き起こされます。続発性緑内障の80%は白内障とぶどう膜炎に関連しているといわれています。

また、症状として、充血・角膜や結膜の浮腫(角膜や結膜のむくみ)・牛眼(眼が大きくなってしまう症状)などが見られます。しかし、病院に受診される理由で多いのは、

□寝ている時間が多い

□元気がない

□食欲がない

といった症状です。これらは眼が痛いことから引き起こされている症状です。眼に関連していない症状であるため、見逃してしまうことが多いのです。

緑内障の診断

診断は一般的に、眼科検査・眼圧測定・眼底検査と臨床症状により行います。動物では人よりも臨床症状がわかりづらいです。眼が痛いというのを診断するのは人に比べとても難しいのです。

緑内障の治療

急性経過なのか慢性経過なのかにより変わってきます。実際には、2日以内に起きた症状は急性緑内障、5日以上継続した症状を慢性緑内障と区別しています。この急性、慢性を区別することは予後を判断する上でとても重要になってきます。急性の場合、適切な治療を行えば視力は保たれるか、回復する可能性があります。しかし、慢性の場合失われた視力は永久的に戻らないといわれています。緑内障の治療の目標は視覚機能の維持と回復、そして眼の痛みの除去です。眼圧を下げるためには、

□房水の産生量を減らす 

□房水の流れをよくする(=房水の出口を広げる) 

必要があります。

治療方法としては内科(点眼薬・内服)療法と外科療法があります。状況と症状に応じて最適な治療を相談する必要がありますが、予後を大きく左右するのは治療開始までの期間です。

 

「犬の目」に関する「ワンペディア」の獣医師監修記事は、こちらをご覧ください。

 

犬種や季節、年齢など、うちの子がかかりやすい病気を調べて予防するため、『うちの子おうちの医療事典』を、ご利用ください。

 

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白内障

緑内障

 

アイペット獣医師

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