熱中症と同じく、夏場に気を付けたいのが犬の脱水症状です。室内飼いだからといって、安心はできません。暑い日に長時間のお留守番をさせる場合は、室温の管理とあわせて飲み水の管理も徹底する必要があります。
ここでは、脱水症状のメカニズムと対策についてご紹介します。
脱水症状の原因
脱水症状になる環境とは
犬は熱い環境や激しい運動をすると、上昇した体温を下げるためにハァハァという口呼吸をします。これをパンディングといいます。人が汗をかいて体温を下げるのと似たような仕組みで、犬はパンディングをすることで、口や鼻から熱を放出しています。
熱を放出するためには、体内の水分が必要となるのですが、パンディングをし続けると体内の水分は失われていきます。
熱い環境の中に置かれると、犬は必死に体温を下げようとしてパンディングをし、パンディングによって体内の水分はどんどん失われていきます。そしてその状態で水を飲めないままだと、体内の水分がどんどんなくなっていきます。
脱水症状のメカニズム
体内の水分が失われるとパンディングで必要な水分がなくなってしまいます。そうなると、犬は体温を下げられなくなってしまい、熱中症に陥ってしまいます。
また、体の体液が減少するということは、血液の減少にも繋がります。酸素や栄養を全身に運ぶ役割をしているはずの血液が減少することで、全身の臓器の動きが鈍くなり、場合によっては死に至るのです。
脱水症状になったら
症状
脱水症状は以下のようなかたちで現れます。
・グッタリしている。
・食欲がなくなる。
・血便が出る。
・歯茎がねばつく。
水をすすめても飲まないで、しかもよだれを垂らしている場合は危険信号です。
このような症状が見られたら、即病院に連れて行く必要があります。緊急対応してもらえるように、事前に病院に連絡を入れてすぐに連れて行きましょう。
脱水症状の治療法
脱水症状の治療は、熱中症と同じく時間との勝負です。すぐに対処しなければ、症状はどんどんひどくなり、短時間で死に至ります。
少しでも脱水症状の疑いがあるなら、早急に病院に連れて行きましょう。病院では点滴で水分や薬剤を投与しながら、入院させることが一般的です。
脱水症状の予防
室内での脱水症状対策としては、エアコンで部屋を適切な温度に保ち、その上で十分な量の常温の新鮮な水を、つねに飲めるような状態にしておくことが大切です。
適切な温度とは、人間がその部屋に入ったときにもわっとしていない、かつ長時間その中にいても体が冷えない状態を指します。部屋の広さやエアコンの強さで条件が変わるため、色々試して最適な温度を見つけてあげましょう。
冷やし過ぎには気をつけて。エアコンの冷気は下に溜まりやすいので、人間に比べて床に近い犬にとっては、冷え過ぎとなってしまう可能性もあります。エアコンをつけたまま扇風機を天井に向けると、部屋の空気をかきまわす効果があるので、扇風機を使ってみてもいいかもしれません。
また、犬をケージやハウスに入れて外出する際には、1日を通して直射日光が犬に当たらない場所に設置するようにします。日当たりのいい窓は遮光カーテンなどで日中の日差しを防ぎ、ケージやハウスはできるだけ窓から離すようにしましょう。
脱水症状は熱中症と深い関係があります。どちらも治療が遅れると致死率がどんどん高くなってしまうので、飼い主さんがすぐに気付いてあげなければなりません。
暑くて水がない環境に犬を放置しないことは大前提として、もし発症してしまった場合はすぐに病院につれていってあげましょう。
『熱中症』に関するワンペディアの獣医師監修記事は、こちらをご覧ください。
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