みなさんは、「パピーパーティー」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

パピーパーティーとは、パピー(子犬)のための教室です。さしずめ、子犬のための幼稚園、保育所と言ったところでしょうか。最近は日本でも、各所でパピーパーティーが開催されているようです。

十分な「社会性」に欠ける犬が増えている

犬はもともと、群れで暮らす社会的な動物です。通常は、子犬は母親や兄弟、仲間たちとじゃれあったり遊んだりしながら群れの中で生活することで、他の犬や人とのコミュニケーションを取る能力、いわゆる社会性を身に付けます。子犬の生後~4カ月頃までを「社会化期」 と言い、社会性を身に付ける社会化に適した時期となります。

本来であれば、子犬は社会化期に母親や兄弟犬と生活することで、十分な社会性を身につけることができます。しかしながら現在の日本は、ペット流通の都合上、生後2〜3カ月で親元から離されて販売され、家庭で飼育されるケースが増えています。社会化期に必要な集団生活を経験することなく過ごしてしまい、十分な社会性を身につけることができないまま成犬になってしまうと、見知らぬ人や犬とコミュニケーションが取れずに、むやみに吠えてしまう、噛み付いてしまうなどの問題行動を起こすようになってしまいます。

遊びながら、他の犬や人との接し方を学ぶ

パピーパーティーは近年、この社会性を身に付けるための場として注目を集めています。ここでは「しつけや訓練をする」ことより、しつけをする前の素地を養うことが主眼です。おもに1歳未満の幼犬を対象に、犬を取り巻く環境やものに慣れさせ、他の子犬たちや成犬との触れあいを経験させることによって社会化を促していくことになります。

パピーパーティーの主な役割をまとめると、

  • 犬同士の遊びから、他の犬と上手に接することを学ぶ
  • 家族以外の人とも親しめるようにする
  • 街の騒音や建築物など、家庭以外の環境にも柔軟に対応できるようにする
  • 飼い主さんと離れて過ごす練習となる

などとなります。

成長期の子犬は体の発育はもちろん、脳の発育も活発な時期です。子犬は、パピーパーティーで可能な限りたくさんの、楽しい経験を積極的に積むことで、穏やかな心やフレンドリーで明るい性格、どんなことに対しても物怖じせず対応できる能力を身に付けていきます。

また、飼い主さんにとっても、子犬の正しい育て方や接し方、社会化させることの重要性を学ぶ機会となります。飼い主さん同士の情報交換や、愛犬の成長度合いを確認する場としても期待できるでしょう。

管理体制がしっかりとしたパピーパーティーを選ぼう

それでは、パピーパーティーに参加するにあたっては、どんなことに注意をするべきでしょうか? パピーパーティーを選ぶに際してのポイントとしては、

  • 衛生的管理が徹底している
  • 室内で開催している
  • 参加犬のワクチン接種の有無や健康状態をきちんとチェックしている
  • しっかりとした管理者、トレーナーがいる

などが挙げられます。

このほかにも、パピーパーティーは複数回参加することが前提となりますので、同じ場所で定期的に開催されている、実績のある会を選ぶことも重要です。正式参加の前の見学や、お試しの会などに参加して相性を確認してみてもいいでしょう。すでに通っている人からの評価や、ネットでの評判をチェックすることも有効かもしれせん。

当日、終了後は体調の変化に注意

参加するパピーパーティーが決まったら、予約を入れます。パーティーは参加頭数の上限が決まっている場合がほとんどですので、予約は必須となります。予約の際は、参加にあたっての注意点を確認し、疑問点などあれば積極的に質問するようにしてください。

パーティー当日は、トレーナーさんの指示に従い、愛犬をやさしく見守ってあげてください。少しの変化も見逃さず、なにか異変があればすぐにトレーナーや管理者に報告しましょう。

終了後は、犬も慣れない環境でたいへん疲れていますので、家でゆっくりと休ませます。ケガはないか、排泄や食欲に問題はないか、元気はあるかなど健康状態をチェックし、少しでも不調が見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。

飼い主さんにとっても貴重な経験に

パピーパーティーは、家にいてはできない経験を得られる貴重な場です。社会性が身に付かずに成犬になってしまうことで、他の人や犬とコミュニケーションが取れない、臆病または攻撃的な犬になることを未然に防止する効果が期待できます。

また愛犬が、同じ月齢の子犬たちとじゃれ合い、遊びながら社会性を身に付けるさまを間近で見られることは、飼い主さんにとっても大きな喜びであるはずです。子犬を飼っている、あるいはこれから迎え入れる予定がある方は、いちど検討してみてはいかがでしょうか?

 

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