愛犬が突然、「ズーズー」「ガーガー」「ブーブー」と音を鳴らして連続して息を吸い込んでいたら、びっくりしてしまいますよね。「心臓発作が起こったのでは?!」と心配して病院に駆け込んだ頃には、もう普通の呼吸に戻っている、なんてことも珍しくありません。一般的に「逆くしゃみ」と言われるこの症状がなぜ起きるのか、原因と治療法について解説します。

犬の「逆くしゃみ」とは、どんな症状?

 

逆くしゃみ」とは、どんな症状を指しているのでしょうか?

 

□ 突然、鼻や喉の奥のあたりから「ズーズー」「グーグー」「ブーブー」と音をさせながら、連続して息を一生懸命に吸い込んでいる

□ 苦しそうに呼吸をしていたが、しばらくしたら自然に治った

□ 音が止み呼吸が元に戻ったら、元気そうで普段と変わらない

 

上記のような症状なら、「逆くしゃみ」と言われるような一時的な発作性の呼気かもしれません。通常の「くしゃみ」は鼻から息を吐き出しますが、この場合は逆に息を吸う動作なので「逆くしゃみ」と言われています。興奮したときや水を飲んだ直後に起こりやすいという飼い主さんもいますが、たいがいは突然始まって長くても1〜3分くらいで自然に治まります。

 

犬の「逆くしゃみ」の原因と治療法は?

 

犬の「逆くしゃみ」は、なぜ起こるのでしょうか?じつは、その原因はまだよくわかっていません。ほとんどの場合は、生理的な現象、つまり治療の対象にはなりません。

 

気をつけなければならないのは、何か別の病気が「逆くしゃみ」のような症状を引き起こしている場合です。生理的な現象としての「逆くしゃみ」なのか、または別の病気が「逆くしゃみ」のような症状を引き起こしているのか、その違いを見極めることが大事です。1〜2歳くらいの若い犬なら、ほとんどが生理的な「逆くしゃみ」だと考えられますが、6〜8歳以上の場合は、鼻炎や心臓病や気管虚脱腫瘍などの基礎疾患が原因になっている可能性もあります。もし基礎疾患があるなら、それを治療することが「逆くしゃみ」の治療にもなるのです。

 

また「逆くしゃみ」は、小型犬種(チワワトイ・プードルなど)や短頭種(パグシーズーなど)に比較的多く起こると言われているようですが、特に犬種によっての違い、年齢によって発症度合いが異なることは証明されていません。

 

犬の「逆くしゃみ」、予防はできるの?

 

生理的な「逆くしゃみ」は、原因が解明されていないだけに、前もって起こらないよう予防することは難しいでしょう。

 

ただし、鼻から息を吸うときに、「ズーズー」「ガーガー」「ブーブー」と音が出るのは、「逆くしゃみ」だけの症状ではありません。鼻炎や心臓病や気管虚脱腫瘍などの基礎疾患が原因で、鼻の中や気管の通りが悪くなることで、音が生じる場合もあります。愛犬が苦しそうに呼吸をしている、変な音を立てて呼吸をしていると感じたら、その原因を探り早めに治療することが「逆くしゃみ」の予防につながるのです。

 

愛犬の「逆くしゃみ」が、いわゆる「逆くしゃみ」なのか、ほかの病気のサインなのか。獣医師に診断をしてもらうには、まず発作が起こっているときの様子を見てもらうことが大事です。そこで、おすすめしたいのが動画の撮影です。「逆くしゃみでは?」と思われる症状が出たら、すかさずスマホなどでその様子を撮影し、その動画を持って病院に行きましょう。

 

☞ワンちゃんのしゃっくりを見たことがない場合は、逆くしゃみと勘違いすることがあるかもしれません。【関連記事】『ペットと私の暮らしメモ』~犬も『しゃっくり』する?原因と対処法を獣医師が解説もご覧ください。

 

 

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アニーマどうぶつ病院 院長

村谷 親男

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