マラセチアは犬の病気のなかではごく一般的なものです。特に湿気が多い日本では、梅雨時期に発症する犬も少なくありません。治療は比較的簡単ですが、繰り返したり、外耳炎などほかの病気を引き起こしたりすることもあるので、正しくケアして予防に努めましょう。
マラセチアって何?どんな病気なの?
ぞくにいうマラセチアとは、マラセチア菌が異常に繁殖する「マラセチア性皮膚炎」のことです。マラセチア菌は、犬や人間の皮膚に存在する真菌で、ふだんはなんの害もありません。人間でいう水虫のようなもので、発症するとやっかいですが、そうでない限りおとなしく皮膚の上で生きている菌というわけです。しかし、体が何らかの不調をきたし皮膚の抵抗力が落ちると、異常に繁殖し、皮膚炎を発症させるのです。
マラセチアの症状
マラセチア性皮膚炎が発症すると、痒み、肌の熱感、赤みなどを引き起こします。最も辛い症状は激しい痒みで全身に転移します。最初に現れるのは、体の中でも特に菌が繁殖しやすい耳。続いて痒い耳を前足で掻くことで前足へ、そして前足を舐めることで口へ、口へ移ると自分で舐められるお腹やお尻へなど、広い範囲に次々と転移します。耳垢はふだんより粘度が高まり、濃い茶色から黒色に変色し、酸っぱいような独特な匂いを放ちます。慢性化すると皮膚が黒ずんだり毛が抜けたりします。
マラセチアの原因
原因は主に3つです。一つ目は、なんらかの異常で皮脂の分泌が増えること(脂漏)。マラセチア菌は皮脂をエサにしているため、皮脂が増えるとマラセチア菌も増えるのです。さらに、マラセチア菌が増えるとアレルギー反応からさらに増えるという悪循環に陥ります。
二つ目は、アトピーやほかの皮膚炎などで、皮膚の抵抗力が落ちること。
三つ目は、湿気などで菌が繁殖しやすい環境で生活していること。どこかでもらってきたり感染するわけではなく、自分の中にある菌が異常に繁殖することが特徴です。
マラセチアに注意が必要な犬種とは?
一般的な病気なので、どの犬種であってもかかりやすいといえます。なかでも耳が垂れている犬は、耳の内部に湿気がたまりやすく菌が繁殖しやすいので、耳が立っている犬に比べると発症しやすいと言われています。特にシーズー、ビーグル、ダックスフンドなどの垂れ耳の犬は気をつけましょう。そのほかにも、フレンチブルドッグやパグなど体にシワが多い犬種は要注意。シワのあいだに汚れがたまりやすく、マラセチアが増殖しやすいと考えられます。
治療法や予防法はあるの?自宅でできることとは?
マラセチアの治療法とは?
治療は難しいものではありません。週に2回、8週間ほどのペースで薬を飲ませます。ただし、一回治っても再発することが少なくありません。特に梅雨の時期は菌が繁殖しやすく、治ったと思ってもまたすぐにかかり、繰り返し発症しつづけることも。何度も繰り返しているうちに外耳炎や耳血腫などほかの病気につながりかねないので、根気よく治療を続け、あわせて予防を行いましょう。
マラセチアの予防法とは?
予防には、マラセチア専用のシャンプーを使うことが効果的です。専用シャンプーには、殺菌・抗菌効果のある薬剤であるクロルヘキシジンが含まれており、これが皮膚の余分な皮脂を取ることで、マラセチアの予防効果が得られるのです。ただし、誤った使い方をすると皮脂を取りすぎることに。そうなると逆に皮脂が出やすくなることもあるので、独断での使用はせず、必ず獣医師の判断を仰ぎましょう。
マラセチアは怖い病気ではありませんが、繰り返したり、ほかの病気につながったりすることがあります。梅雨の時期には耳に湿気がたまらないように気をつけ、少しでも痒がっている素振りが見えたら、ひどくなる前に病院に連れて行きましょう。
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かかりやすい病気
他の犬にうつる
人にうつる
予防できる
子犬に多い
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