ケンネルコフとは伝染性の呼吸器疾患の総称で、原因はウイルス、細菌、マイコプラズマ属菌と様々です。ケンネルとは犬小屋・犬舎という意味で、犬を飼育する環境のことを表します。コフは咳のことです。どの年齢の犬も感染の可能性がありますが、6週~6ヵ月齢の子犬が最も影響を受けますので、お家にきたばかりの子犬がコホコホ咳をするようなことがよくあります。原因となるウイルスのなかには犬ジステンパーウイルス犬アデノウイルス2型犬パラインフルエンザウイルスなどのワクチンで予防できるものから、犬アデノウイルス1型、犬レオウイルス、犬ヘルペスウイルスなどワクチンがないものまで様々です。細菌は通常Bordetella bronchisepticaという菌が発病原因となり、その後様々な種類の細菌が2次感染します。マイコプラズマ属菌はウイルスなどにより損傷した粘膜を利用して増殖します。

こんな症状が出たら気をつけて

気管が圧迫されているような咳をする。吐きたそうなのに吐けないような仕草にも見えます。また、発熱、苦しそうな呼吸、肺音の異常などがみられることもあります。重症例になると、食欲不振、呼吸困難、ぐったりするなどもみられます。

診療方法

飼い主のお話や犬の症状からケンネルコフが疑われる時には、以下の治療法が選択されることが多いです。

  • インターフェロン:ウイルスの活性を弱め、自己免疫力を上げる
  • 抗生剤:細菌に対して有効
  • 鎮咳薬:咳の種類によって使用するかどうかを決めます

咳がひどい場合には、ネブライザー※による薬剤吸引を行うこともあります。合併症がみられなければ10~14日ほどで回復します。気管支炎を併発しているおそれがある時にはレントゲン検査も行います。

※ネブライザー:超音波やモーターによって薬を霧状にする機械です。霧状になった薬を直接鼻や口から吸い込むことで治療をします。人でも喘息などの治療に使用されています。
 

予防方法

予防は難しいですが、毎年のワクチン接種をしっかり受けることで感染の可能性を減らすことは出来ます。また、多数の犬が密飼いされているところで認められる感染症のため、新しく子犬を迎えることを検討されているかたは、ブリーダー宅やペットショップなどからお家に来たばかりの子犬に対して、新しい環境に慣れるまでの間はゆっくり休ませることを心がけましょう。

 

うちの子おうちの医療事典

「うちの子おうちの医療事典」で子犬が注意すべき傷病を調べてみましょう!

□ 低血糖症

□ 水頭症

□ 骨折

□ 回虫症

□ ジアルジア症

□ コクシジウム症

□ ケンネルコフ

□ 犬パルボウイルス感染症

 

 

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Anicli24院長

三宅 亜希

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