犬の股関節は、骨盤にある寛骨臼(かんこつきゅう)というくぼみに後ろ肢の大腿骨頭(だいたいこっとう)というでっぱりがしっかり入り込んでいる構造をしています。股関節形成不全は、骨の変形によりこの寛骨臼と大腿骨頭がかみ合わないためおこる疾患で、大型犬によくみられ、関節内に炎症を起こし痛みが生じます。遺伝の関与が明らかになっていますが、栄養や運動などの環境も重要です。
こんな症状がでたら気をつけて
跛行(不自由な足どりであること)が見られる、座る時に横座りになる、歩行時に腰が左右に揺れる、頭を下向きにして歩く、階段やジャンプを嫌がる、走らないなど。 ただし、ほとんど症状がない場合もあります。
診療方法
立ち姿や歩様を観察し、触診します。その後、レントゲン検査を行い画像診断します。関節液検査、CT検査、MRI検査などが必要になることもあります。治療には内科療法(内服薬、体重制限、運動制限、運動療法、理学療法)と外科療法(股関節の手術)があります。
予防方法
大型犬に多発し、成長期より多く発症するため、股関節形成不全になりやすい犬種では症状がみられなくても、骨の形成が完成する1歳から2歳の間にレントゲン検査を受けることが薦められます。また、70%が遺伝的要因ですが、残り30%は環境要因であり、肥満は大きな原因になりますので、発症予防のために太らせないようにすることも大切です。
股関節形成不全になりやすい犬種
ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ジャーマン・シェパード、バーニーズ・マウンテンドッグ、ニューファンドランド、フレンチ・ブルドッグなど
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「股関節形成不全」は、「生まれつきの病気」である可能性や、「手術費用が高額」「子犬に多い」「大型犬に多い」などの傾向があります。さまざまな病気やケガを、下記のような切り口でも知ることができますので、
【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり
【対象】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い ■男の子に多い ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い ■生まれつきの病気
【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい
【うつるか】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる
【命への影響度】 ■ 命にかかわるリスクが高い
【費用面】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額